味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

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文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

権威・武力に屈しない、強い人間になりたいものです。『孟子』

2009-09-17 15:06:09 | 論語

タイトル----権威・武力に屈しない、強い人間になりたいものです。『孟子』 第162号 21.09.17(木)

〈天下の広居に居り、天下の正位に立ち、天下の大道を行く。志を得れば民と之に由り、志を得ざれば獨り其の道を行う。〉(新釈漢文大系『孟子』明治書院)

通訳「仁という最も広い住まいに暮らし、礼という天下の正しい位置に位って事を行い、義という最も大きな道を堂々と歩いて行く。自分が望むように用いられた時には、人民とともに仁・礼・義を実践し、自分の思想が世に入れられなければ、それに屈せず、身を退いて独りで正しいと思う道を行って行く。」(前掲書)

〈富貴も淫すること能わず。貧賤も移すこと能わず。威武も屈すること能わず。此れを之れ大丈夫という。〉(前掲書)

通訳「いかに富貴の快楽を以て誘惑されても、その精神を溶かして堕落に陥れることは出来ず、またいかに貧賤の苦しみで責め悩まされても、その道義の志を変える事をせず、さらに如何なる権威や武力で圧力をかけても、その志を曲げさせることは出来ない。こういう不屈の男を、誠の大丈夫というのである、と。」(前掲書)

 身体も小さく、気も小さい私には、とても出来そうにない、夢のような人間像である。でも、「南洲翁遺訓」はじめ多くの古典を読んでいけば、カラ元気で出来るのではないか、などと空想することもある。エ―イ、どうせ死ぬ時は死ぬときだ、と敗れかぶれではないが、一歩一歩足を踏みしめていけば、どうにかなるような気がするのである。

 鹿児島県の空手道連盟事務局長をしていた時の事である。日本武道館で開催される空手道公認段位審査会に望んだのであった。過去、強そうなお歴々が次から次に受験するが合格しなかった。どうせ、合格しなくても日本武道館というところで受験したい、と思い望んだのであった。受験前には誰も反対しなかった。どうせ合格する筈がないからお前も行ってみろ、ということであったと思う。ところが間違って合格してしまったのである。合格してから「貴方は受験する資格が無かった」と電話で言って来た男がいた。面白い男だった。その男は十回行っても合格しなかったのである。一種のヤッカミであった。そしてその男は「推薦六段」という免状を貰った。何回受験しても合格しない場合、都道府県で組織のために協力している者は特例で認めていたのである。その男は「推薦六段」というところに自分の写真を貼付し、推薦の文字が見えないように工夫していた。健気な自分への心遣いだった。そして、あろうことか、翌年から、また、六段の試験を受けに行ったのである。

 吃驚したのは全日本空手道連盟であった。前代見聞の珍事であった。誰が何をしようが勝手である。人に危害を加えるわけではないからだ。私は全く実力はないが、天が顔を背けるようなことはしたくない。そういう男に天は「大丈夫」とは言わないだろう。真の実力者とは、皇刀軒流四代宗家の大先生の如き人物を言うのである、と思う。まさしく、これ大丈夫という、男子である。

 そのヤッカミ男が呼び掛けて、事務局長の私に難癖をつけて体育協会で大騒動が持ち上がったのであった。鹿児島県高等学校空手道顧問の先生方の内、一人を除き私に非はないとして擁護してくれた。それ以来私は、連盟を退き勉学に勤しんだ。くだらない役員を辞めて学問をせよ、という天の警告だったと理解している。その時、当方は四名、相手方はかねて連盟にも顔を出すこともないような人まで40名位が押し寄せたと思う。私を擁護してくれた先生は、貴方一人にこれだけおしかけてくるとは、貴方は大した大物なんですね、と言ったことがある。誰が何と言っても私は屈しなかった。悪くないからである。

 その後、奄美出身の境隆太(仮名)という男が、貴方は県一番の凄い実力者だから、私と一緒に連盟を組織しましょうと言ってきた。有難うございます、と言って動かなかった。そういう類は10件近くあった。誰がこようと私は動かなかった。そういうものに魅力を感じないからである。学問道場をやろうと言えば、あるいは動いたかも知れない。そういう組織を作り何々部会長などという肩書きはまっぴらである。それよりも一人どっしりとして「大丈夫、ここにあり」として漢詩でも創っていた方がより楽しいのである。学問の伴わない組織はチンピラ組織と一緒で、すぐ喧嘩したりくっついたりするのである。子供の火遊び見たいなところがある。出来るものなら、皇刀軒流四代宗家に、「大丈夫」の道を学びたいと思料する昨今である。


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