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三時知恩寺(御苑周辺散策16)


写真は、蓬莱の庭

室町時代後期に、宮中での1日6回の勤行のうち昼間の3回をここで行うようになったため、「三時(さんじ)」知恩寺というようになったそうです。
知恩寺の名の通り浄土宗で、入江御所ともいわれる尼門跡寺院です。

通常は全く拝観謝絶ですが、2006年の「京の冬の旅」、2011年秋の非公開文化財特別公開、2013年の「京の冬の旅」や2015年秋の非公開文化財特別公開で公開されました。
また毎年3/14には善導大師像の御開帳と法要があり、一般でも参加可能です。

アクセス
地下鉄烏丸線の烏丸今出川駅の3番出口を出て、今出川通を直進。
上京区総合庁舎前のバス停を過ぎ、3本目で大きめの新町通へ右折。
新町通が道なりに右に折れてすぐ先の右手にあります(簡易地図)。

拝観
表門から前庭を経て、玄関で拝観料800円を納めます。
本堂玄関から左手に進み、“本堂”に入ります。
秘仏の善導大師像が公開されました。
善導大師は法然上人が師匠と仰ぐ方です。
善導大師像は2010年に解体修理がなされました。

また京狩野派の狩野永納(山楽の孫)の“四季花鳥図屏風”も展示されていました。

次に書院です。
書院には一の間、二の間、三の間がありますが、2011年秋の非公開文化財特別公開では”一の間”だけが公開されました。
床の間には“久山昌隆尼像”の掛け軸がありました。
久山昌隆は戦国時代の公家近衛前久(さきひさ)の娘で、三時知恩寺を中興したそうです。
また襖には源氏物語の扇面が貼ってある“源氏物語扇面貼交襖(せんめんはりまぜぶすま)”です。

書院の前には”蓬莱の庭”があります。
苔、松などの植え込みや灯籠があり、中央には石組で囲い池を表現しています。
池の中には白砂、石橋まで掛っています。

2013年の「京の冬の旅」ではニの間、三の間も公開されました。
ニの間はお付の方の待合なので、シンプルです。
杉戸絵の鶴が印象的です。

三の間は武家の方をお通しする部屋です。
ニの間の杉戸絵の裏があり、亀が描かれています。
また襖絵は琵琶湖で漁をする”えり(魚編に人)漁図”です。

3/14 善導忌
10:30~11:00まで法要があり、以降は16:00まで善導大師像が御開帳されています。
須弥壇の前でお焼香をします。
御朱印も頂けます。
書院までは公開されていませんが、書院の手前の部屋までは入れて、そこから見える庭園に梅が咲いています。

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大聖寺(御苑周辺散策15)


写真は、玄関

御寺御所とも云われる尼門跡寺院です。
通常は非公開ですが、2013年と2020年の 京の冬の旅で3/1~3/18まで公開されました。

アクセス
地下鉄烏丸線の今出川駅の出入口2から出たすぐ左手にあります。
また市バスの場合は、51系統、59系統、102系統、201系統203系統で烏丸今出川にて下車です。
京都御苑があるのが南東角です。この反対の北西の角を北に北上します。
約120m歩いた左手に大聖寺の表門があります。

表門を入り玄関に向かいます。
入ってすぐの右手に「花乃御所」の石碑があります。
ここには足利義満が造営した花の御所がありました。

玄関で拝観料600円を納め、左手の廊下を進みます。
途中で右手に分かれるのが書院ですが、まずは直進し本堂へ。
ですから表門を入ってすぐの塀越しに本堂があることになります。
本堂は禅宗方丈の形式で、前に3間あり中央が室中の間で、その奥が内陣です。
3間の前には廊下のような“鞘の間”があります。
本尊は釈迦如来像です。
内陣に向かって右手奥が“貴人の間”で、金地に瑞鳥瑞花を描いた豪華な障壁画が目につきます。
また後水尾天皇から拝領した源氏物語屏風も展示してありました。

その外には書院と本堂でL字に挟まれた大きな庭園があります。
築山がなく広い平面的な庭園です。
最奥に石で表現した枯れ流れの川があり、石橋が2つかかります。
ここには紅葉があります。
その手前は一面広い苔の枯山水で、灯籠や松があります。
築山がなく平面的なお庭です。
また書院前には山桜、藤棚やカキツバタ“雲井の鶴”、白椿“玉兎”など四季折々の花があります。

書院は宮御殿とも云われ、上段の間になっています。
襖絵は望月玉川のものです。
手前の間の襖絵は秋草に鹿図、奥の部屋の襖絵は波に鶴図なので鶴の間といわれ、書院造りです。
ここには明治天皇の御椅子が展示してありました。
書院の庭園側の襖絵は竹鶏図で、蚊帳を吊る金具があったので寝所だったのでしょう。
ここには御所人形や、机、御地赤(おじあか)という幼女の着物などが展示してありました。

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高台寺 十牛庵2(旧清水吉次郎邸) 本館北側 庭園

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写真は、北側の庭園。

玄関を入った廊下の左手(北側)に進みます。
廊下は右クランクになり、その先の右手に8畳のお部屋があります。
高台寺 土井の時は普通のお部屋でしたが、今は大きなコの字のカウンター席になっています。

こちらの2階は手前が8畳間で、庭園を一望できます。
2辺の窓が庭園に面しているので、紅葉の際は眺めがきれいなようです。

さらに奥にお部屋が3つ。
奥の左手には庭園に面した6畳間。
右手奥に3畳間があり、茶室の小間のような密室感です。
右手前には市内側に面した4畳半があります。
こちらも市内側に面しているので、窓の正面に八坂の塔が見える絶景です。

庭園
庭園は張り出した舞台の左手(北側)は広い砂利道が拡がり、奥には斜面の地形を利用した高い築山があります。
その築山の際を細い川が流れ、築山の上からは落差10m程の雄滝が流れ落ちます。

庭園の左手から築山にも登りました。
途中に休憩できる平地があり、いずれはここで一服出来るようにしたいそうです。
築山の頂上は非常に高く、ここからも市内の景色が一望出来ます。

張り出した舞台の右手(南側)は露地庭園のようになっており、本館と連続して前述の広間の茶室 闊遥(かつよう)があります。
そして庭園の中央には、茅葺の茶室 慈庵(じあん)が建っています。
慈庵は2畳台目で、中にも入れました。

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高台寺 十牛庵1(旧清水吉次郎邸) 本館南側

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写真は、本館の大広間。

元は両替商 清水吉次郎の邸宅 十牛庵で、今はひらまつが経営する料亭です。
庭園は7代目小川治兵衛の作庭、数寄屋建築の本館は上坂浅次郎と北村捨次郎によるものです。

アクセス
東大路通から高台寺南門通に入ります。
坂を登ると左手がねねの道と高台寺、正面は維新の道、右手奥が二年坂になります。
二年坂を進みます。
約50m先を左折します。
さらに約50m先の右手に、十牛庵の表門があります。

本館と別館(レストラン)があります。
本館は懐石が21,000円と31,000円ですが、平日の昼間なら14,000円のもあります。
別館は4階で、昼は6,000円、8,000円、12,500円、夜は10,000円と12,500円です。

通常は他のお客さんがおられるので、他の部屋を見たり庭園に出たりは難しいですが、2020年にNHKカルチャーの企画「高台寺 十牛庵 本館・庭園見学と京懐石」で、すべてのお部屋と庭園を見せて頂きました。

表門から既に重厚な数寄屋建築です。
その左手に鉄筋コンクリートの別館 不急館があります。
予約してその時間にお伺いすると、案内の方が待ち受けておられます。
表門をくぐり緩やかな石段の道を登ると、右手に玄関があります。

玄関を入ると左右に長い廊下があります。
この廊下は南北方向で、お部屋は奥のお庭に面した山側と、玄関側の市内側に分かれます。

玄関の正面左にかつての応接間で、今は客室になっている1間があります。
こちらの障子の桟が曲線になっており、見事です。

まずは廊下を右手に進みます。
廊下の天井の一部が船底天井になっているところもあります。
1番手前に18畳、書院造りのお部屋があります。
お庭の正面に面しているメインのお部屋です。

さらに奥にはお庭に張り出した舞台のある45畳の大広間があります。
庭側が板張りの舞台で、芸舞妓さんの舞や能などもこちらで舞われるのでしょう。
こちらの床柱は梅ですが、梅は大きくなる過程で曲がることが多いので、こんなにまっすぐなのは非常に貴重なんだそうです。

そしてこの上の2階は10畳間で、市内の景色が見えます。
手前には八坂の塔、遥か向こうには左大文字船形も見えます。

1番奥まで進むと、8畳の茶室 闊遥(かつよう)があります。
外はお庭の南側で、苔のきれいな露地庭園になっています。

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2020 6/23の拝観報告2 本館内、食事(高台寺 十牛庵 本館・庭園見学と京懐石)最終

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写真は、本館中央にある18畳の間。

庭園から本館内に戻ります。
今まで3回こちらに食事に来ていますが、毎回他のお客さまがおられ内部の全貌は未開のままでした。
今回は晴れてその全貌を拝見することが出来ました。
詳細は明日から2回の本編で掲載しますが、「なるほど、こういう感じか」と納得しましたw

よくある部屋の配置ですが、1階は広間で、2階は小さな個室。
そしてそれぞれのお部屋にいろいろな造作や見せ場があります。
それぞれが違うだけに、1つ1つ楽しみたいですよねw

こちらも場所的に市内側のお部屋の景色はやはりいいです。
窓枠に「画のように見える八坂の塔」は、やはり栄えますね。

庭園と屋内の見学は12:10頃まで。
そこからは食事です。

今回は新型コロナの影響もあり、21名の参加者を3部屋に分け、場所を広く取っての食事。
これもゆったりしていてよかったです。
食事は下の写真です。


スペースの都合で順序が入れ替わっているところもありますが、数字の順で出てきています。
鱧やアユの塩焼きなど、お食事そのものも凝っておられて美味しかったですし、お皿などの器にこだわりを感じました。

14:00頃にお食事も終わり、帰り際には十牛庵のきれいな冊子も下さいました。

ここからまた仕事に戻りました。

屋内外とも十分に堪能できた講座でした。
現在既に7/30(木)に再度同様の講座を募集しておられます。
よろしければ参加してみてください。

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2020 6/23の拝観報告1 庭園(高台寺 十牛庵 本館・庭園見学と京懐石)

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写真は、庭園南側にある茶室 慈庵。

火曜日です。
3月にNHKカルチャーの講座で「高台寺 十牛庵 本館・庭園見学と京懐石」が中止になったと書きました。
その企画が早くも開催されることになりました。
当初は40名参加予定だったそうですが、日程変更によるキャンセルが半分ほどあり、残った21名で開催となったそうです。

朝からまずは仕事に行き、約1時間大きな変わりがないかをチェック。
そして現地に車で向かいます。
11:00に現地に集合。

アマ会からはあきさらささん、frippertronicsさん、松戸在住さん、京loveさんと僕が参加しました。
参加者を庭園見学組、屋内見学組の参半分に分けて、後ほど交代のパターン。
今回は全体でも20名なので、半分なら各組10名。
この人数だとかなり見学しやすいです。

僕たちはまず庭園から。
こちらの料理長の藤原さんが付いて説明してくださいました。
大まかには庭園の北側は築山を背景に広いスペースを取り、南側は茶室を置いた露地庭園のようになっています。
築山の際に細い川が流れていますが、個人的にはこの川をもうちょっと大きくして主張があるお庭の方が好きですねw

そして築山の上にも登りました。
元々の斜面の地形を利用していると思うのですが、かなり高いです。
途中に階段の踊り場のように広くなったところがあり、今後はここで一服出来るようにしたいそうです。

築山の頂上からは下に滝が流れ落ち、ここから市内側を見ると、八坂の塔がすぐそこ。
さらに背後には市内と西山まで。

本来はさらに南側に築山を下って、前述の茶室の横あたりに降りてくるのですが、今そちらは整備中なので元来た道を引き返しました。

築山を降りてからは庭園の南側へ。
慈庵(2畳台目)の中にも入れて下さいました。

お庭に降りて、築山にも登れて満足でしたw

明日は後半の屋内と食事です。

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Aman 京都(旧紙屋川庭園)

写真は、天ヶ峯への石段。

Aman(アマン)京都は、2019年鷹峯に開業したラグジュアリーホテルチェーンです。
同ホテルの敷地は元々、西陣の織物屋が造った紙屋川庭園です。

アクセス
西大路通を北上するか、北大路通を西へ進みます。
その2つの通りがぶつかる点の北側に細い道があるので、それを北上します。
約650m直進するとT字路に付き当たるので、そこを右折します。
途中でしょうざんリゾートの入口を過ぎて、前述のT字路から約450m進んだ左手に、Aman京都の入口があります。

Aman京都に行くには、宿泊するか食事に行くかです。
ラグジュアリーホテルですので、宿泊は1泊30万から100万します。
食事で行く場合は、モーニング、ランチ、アフタヌーンティー、ディナーがあり、モーニングとランチにはピクニックもあります。
普通の食事だと後述のザ リビング パヴィリオンで頂くことになるので、庭園散策は出来ません。
しかし庭園ピクニックだとお庭の中でお食事を頂くため、食後に庭園をある程度散策出来ます。

今回はランチの庭園ピクニックに申し込んだ報告です。
庭園ピクニックの食事代は8,000円で、最大4名まで。
それに税とサービス料に加えて、庭園使用料30,000円が1グループあたり必要です。
ですから最終的には4人で行っても、1人20,000円ぐらいは必要です。
ただし前日の降水確率が50%以上だとピクニックは中止で、室内での食事となり庭園使用料は不要です。

入口から入りまっすぐにアプローチを進みます。
ゲートを越えると右手に鷹庵が見え、さらにその奥にきれいなロータリーと正門があります。
ここで車を降ります。

正門の左手に坂の小路がありますが、これは後程。
右手にはアライバル パヴィリオンがあり、正面突き当たって左手に石を敷き詰めた大きな道がまっすぐに貫きます。
ここに敷き詰められた石が巨石で、中には直径3m弱ぐらいのものまであり実に見事です。
この道の手前にザ リビング パヴィリオンがあり、通常の食事プランはこちらで頂きます。
紅葉のきれいな庭園を見ながら食事をします。
天気や気候が良ければ、デザートをテラスで頂くことも可能です。

このまっすぐの石畳の道を進んだ右手に通常の宿泊棟が並んでいます。
宿泊棟を超えて奥に進むと、右手に旧表門と思われる大きな石の門柱が残っています。
石畳の道は左にクランクし緩やかな石段の奥には、さらにもう1棟宿泊棟があります。
この左手の細い石段を上り、小高い小道を戻ってくると後述の和ダイニングデッキにつながります。

さて正門に話を戻し、左手の小路の坂を登ります。
この坂をまっすぐ進むと、最初に右手に細い分岐があり、この先は庭園ピクニックの和(なごみ)ダイニングデッキがあります。
さらにその先の右手の分岐の坂を登ると、スウィートの鷹ヶ峯と鷲ヶ峯のパヴィリオンがあります。
道をまっすぐに登ると、天ヶ峯の頂上に至ります。

庭園ピクニックは最初の右手の分岐を進みます。
細い道は苔がきれいで、左手の石垣の上には鷹ヶ峯と鷲ヶ峯のパヴィリオン(スウィートルーム)があります。
鷲ヶ峯のパヴィリオンを越えた真下あたりのスペースが和ダイニングデッキで、こちらで食事を頂きます。
食事は事前にカツサンドかちらし寿司かを選べて、今回はカツサンドです。
箱を組み合わせたお重で、意外と量が多いです。

食後は分岐の坂まで戻り、天ヶ峯まで散策しました。
登坂は普通の山道で、もみじが茂っています。
途中の右手には蓮池があり、さらに登ります。
すると道が右に曲がります。
曲がった正面に上写真のような石段が拡がります。
こちらの石段も巨石が使われており、さらに苔むした外観が圧巻です。
神護寺の石段にような雰囲気もあります。

これを登った頂上が天ヶ峯です。
中央には鞍馬寺の翔雲台のような四角のエリアがあり、もみじの切れ間からスポットライトのように光が差して神秘的でした。



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2020 6/20の拝観報告(アマン京都 庭園ピクニック)

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写真は、和(なごみ)ダイニングまでの道。

やっと府県の移動が出来るようになった週末です。
この日は最初は4月に予約していましたが、コロナ禍で延期になった件のリベンジ企画でした。

11:30に二条駅西口に車で向かい、桜さん、あきさらささんと吉田さんを乗せます。
4人で向かったのが、鷹ヶ峯にあるアマン京都です。
2019年に開業したばかりのラグジュアリーホテルで、元々こちらは紙屋川庭園というお庭がありました。
その跡地を利用して造られています。

そのお庭を何とか見たいと思い、今回企画しました。

お庭が観たいので、ランチ。
しかも普通のランチではお庭をウロウロは出来ないようでしたので、庭園ピクニックにしました。
庭園ピクニックとは、屋外にお食事を持ち出して頂くプランです。
お食事代は最大4名までで、1人8,000円。
税とサービス料が別途必要ですが、さらに1グループあたり庭園使用料なるものが必要で、それが30,000円!
結局4人でも1人20,000円ぐらいしますw

詳細は明日の本編に掲載しますが、正門からザ リビング パヴィリオンへ。
こちらの石畳の巨石がスゴイ!
そして庭園へ。
庭園の中にある和(なごみ)ダイニングでお食事。
開放感いっぱいで、マイナスイオンに癒されます。
お食事は事前にカツサンドかちらし寿司から選べますが、今回はカツサンド。
こんな感じです。


ゆっくり過ごして、帰り際に庭園の山の上にある天ヶ峯に。
普通の山道を登り、角を曲がると現われる見事な石段。
アレは演出ですねw

12:00にお邪魔して2時間半ぐらいいましたが、とてもよかったです。

同行の皆さんも満足されたようでしたが、お付き合い頂きありがとうございましたw

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金剛能楽堂3 茂山狂言会 後半(御苑周辺散策14)

写真は、能舞台。

16:00頃から5つ目の“鬼ヶ宿(おにがやど)”です。
これは井伊直弼が第9代の茂山千五郎に書いた本で、この初演の数日後に直弼は桜田門外の変で横死しています。

内容は、ある男が久しぶりに女の元を訪れます。
表面上は歓迎するも、本当はもはや愛想が尽き追い返したい女。
そこで女は酒が切れているという理由で、里まで男に酒を買いに行かせますが、その際に「ここらは最近鬼が出る」とウソをつきます。
男が戻ると女は被布を頭から被り、酒を交わし男はご機嫌。
そして酔った男が顔を見せろと被布をめくると、鬼の顔が!
驚いた男は逃げ去るというオチです。

少し被布をめくるまでの下りが長いです(笑)。
約30分。

最後は“二人袴”です。
内容は、ある男が婿入り(結婚後、舅の家に挨拶に行くこと)することになったのですが、この男がしょうがない“甘えん坊”で、1人は嫌だから兄に門前まで同行を求めます。
当初兄は門前で待っていたものの、舅の下人に見つかり中に呼ばれます。
しかし正装たる袴は1つ。
そこで当初は代わる代わる外で袴を履き替えて参上しますが、とうとう2人とも一緒にと云われます。
袴を取りあった2人は、とうとう前後で袴を引き裂いてしまいます。
そこで2人とも前垂れのように袴を付け、決して後ろを向かない戦法でいくことに決します。
しかし舅の舞を所望され、最後は後ろに袴がないことがバレて逃げ出すというオチです。

最初の舞は膝立ちで前後左右に動くだけの舞。
インベーダーゲームみたいで、動きだけでも爆笑です。
テンポもよく視覚的にも可笑しいので、これは万人が笑うでしょう。
約30分で、17:00に終演しました。

非常に面白く値打ちがありました。



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金剛能楽堂2 茂山狂言会 中盤(御苑周辺散策13)

写真は、玄関ロビー。

15:30再開です。

3つ目は“以呂波(いろは)”。
シテは茂山鳳仁くん(4~5歳)。
千五郎氏の孫で、初舞台です。アド(ワキ)は千五郎氏が務めます。

内容は、幼い息子に父が手習いを教える設定です。
最初から「イロハニ・・・」と一気に教えようとすると、息子は「そんなにいっぺんにはムリ」といいます。
そこで「イ」、「ロ」、「ハ」と順に教えるのですが、その度に息子は連想するものを言い出すばかりで埒が開きません。
そこで父は「すべてを真似ろ」といいます。
すると息子は父の言動のすべてを真似始めます。
命令口調もなにもかも。
これに怒った父は息子を引っ張り突き倒しますが、やおら立ち上がったは息子が今度は父を引っ張り突き倒すというオチです。

なんせシテが4、5歳の子。
ちゃんと出来るのかハラハラ。親の心境です(笑)。
しかしセリフもしっかり覚えているし、なにより所作がカワイイです。
癒し系でした。
約10分の演目です。

4つ目は小舞の“柳の下”と“宇治の晒”です。
シテはそれぞれ茂山竜生くんと、茂山虎真くんの双子の兄弟で、先の鳳仁くんのお兄ちゃんです。
それぞれ5分ずつぐらいの短い舞です。

こういうのは毎年観ていると、年々の成長が見えて面白いのでしょうね。




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金剛能楽堂1 茂山狂言会 前半(御苑周辺散策12)

写真は、金剛能楽堂の全景

京都に本拠を置く能の金剛流の能楽堂です。
場所は烏丸一条下がる、虎屋本店の少し南です。
地下鉄烏丸線、今出川駅の6出口を出て右折し200m程歩いた左手にあります。

玄関を入ると大きなエントランスホールになっています。
ホールの左手には池のある中庭があり、庭の中央奥には舞台があります。
ホールの正面奥に扉があり、その奥に能舞台がすぐにあります。

今回は2013年2月9日の茂山狂言会(大蔵流の茂山千五郎家の会)の模様です。
能舞台の左手には橋掛かり(長い廊下)があり、能舞台の正面から見るのがS席で6000円、橋掛かり側から能舞台を左手より見るのがA席だったようです。
チケットは茂山千五郎家に電話しても買えますし、ローソンチケットでも買えました。

13:30開場、14:00開演です。
最初に太鼓、大鼓。小鼓、笛が登場され、ひとしきり演奏がありました。

そして最初の演目“御田”です。
シテは12代茂山千五郎氏の長男の茂山正邦氏です。
内容は神職と氏子の早乙女たちが田植えの儀式を行うようすを描いたもので、神事の要素が強いようです。
約30分でした。

2つ目は“縄綯(なわない)”です。
シテは茂山千五郎氏。
内容はバクチ好きの主人を持つ下人(シテ)は、主人のバクチの“かた”に騙された恰好で太郎殿に引き渡されます。
しかし怒った下人は太郎殿の命令に一切従わず、得意の縄綯すら“したことがない”と拒否します。
困った太郎殿と主人は相談して、一旦主人に引き戻し、縄綯ができる様子を太郎殿に陰から見せることにします。
家に帰って喜んだ下人は、背後で主人に縄取りをしてもらいながら縄綯をしますが、その際に「太郎殿のお内儀が不細工だ」、「赤子が可愛くなくてイジメた」だの悪口の限りをご機嫌で語ります。
しかし途中で背後の主人と太郎殿が入れ替わっており、さあ大変というオチです。
普通に笑えます。
約40分。

この後に約10分の休憩がありました。




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護王神社(御苑周辺散策11)

写真は、鳥居と狛猪

丸太町駅の出入口2番を出て左折します。
有栖川宮旧邸を通過して、約500m烏丸通を直進した左手に「護王神社」の鳥居があります(簡易地図)。

和気清麻呂が祭神です。
宇佐八幡宮に向かった際に襲撃され足を怪我しますが、無数の猪が護衛し、足の怪我も治った伝説があります。
そのためここは狛犬ではなく、狛“猪”で、本殿右の護王大明神にお参りすると足腰の病が治るそうです。

拝観は無料です。
鳥居を潜った右手に社務所、正面に拝殿、奥に本殿があります。
右手に猪の手水舎、右手奥に和気清麻呂公像と君が代にも歌われる大きなさざれ石があります。
足腰の病気がある方はお参りされるといいでしょう。
また猪年の初詣の際は、非常に混雑します。

秋の特別展
体育の日がらみの3連休、社務所客殿で特別展が無料で開催されます。
拝殿左手の社務所の大玄関から入り、右手に進みます。
左手に応接間があり、さらに廊下を進んだ奥に2間の広間があります。

2023年は奉納書画・刀剣展で、中央のガラスケースには刀剣が、周囲には上村淳之や富岡鉄斎などの猪の掛け軸などが展示されていました。




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京都府庁旧館(御苑周辺散策10)

写真は、2012/4/6の祇園しだれ桜

有栖川宮旧邸を下立売通で左折します。
約350m直進した右手にあります。
バスの場合は、府庁前で下車し第二赤十字病院のある釜座通(かまんざ)を進んだ突き当たりにあります(簡易地図)。

平日は下立売通沿いの正門から入れますが、土日祝は右手に進んだ新町沿いの通用門から入ります。

京都府庁の真正面に明治37年に竣工した旧館があります。
設計したのは松室重光です。
口型の構造で、中庭の中央には立派な祇園しだれ桜、右手には紅一重枝垂れ桜、左手には松平容保ゆかりの容保桜があります。
最初の2つは御苑の糸桜と同じぐらい早咲きで、春は見事です。

建物内はいつでも無料で入れますが、重要文化財の旧知事室、旧食堂、正庁と旧議場には火曜日から金曜日および第1、第3、第5土曜日の10:00~17:00に見学出来ます。

正門から入ると正面に2階への階段があります。
1階の右手奥にはカフェのsalon de 1904(前田珈琲)が日曜日以外営業しています。
廊下右手の1番手前には待合室があります。
店内は最奥から入ります。
3部屋あり、1つ目の部屋は木の腰板にしっくいの格天井、2つ目の部屋と3つ目の部屋は側壁のアーチ状のスパニッシュ・スタイルが目につきます。

古く趣のある階段を上がって2階へ。
廊下の左手の方に旧書記官室があり、そちらに係りの方がおられます。
この部屋の右手に旧応接室を経て正庁、左手に旧食堂と旧知事室があります。
赤いカーペットが敷かれており、ドアや窓の上にはアールヌーヴォーのような草花の意匠がなされ、天井は中央が白い漆喰、周囲が木の折上小組格天井です。
左手には正面のバルコニーがあり、上には丸窓が3つ空いています。

旧食堂、旧知事室
いずれの部屋にも暖炉があり天井は折上小組格天井ですが、知事室の方が折上部分も格天井も意匠が凝っています。
その他の内装は正庁と同じような感じです。

京都府議場は正庁や旧知事室とは反対の北側にあります。
旧本館竣工110周年記念事業の一環で、2014/11/15の15:00~17:00、2014/11/16の10:00~12:00と15:00~17:00に初めて内部が公開されました。
今は上記のように火曜日から金曜日および第1、第3、第5土曜日の10:00~17:00に見学出来ます。

正面と議場の後方が一段高く、中央に議長席があります。
そこから放射状に議員席があります。
外周の2階が傍聴席になっています。
明治30年代の建築ですが、床下には鉄パイプが敷かれており、床暖房になっていたそうです。
また周囲の壁は漆喰で、天井は格天井です。
窓や扉などの植物の意匠は、アカンサスだそうです。




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平安女学院3 有栖川宮旧邸(御苑周辺散策9)

写真は、平成の植治の庭

丸太町駅の出入口2番を出て左折し、約250m烏丸通を直進します。
右手の“下立売御門”を越えるとすぐにT字路になります。
これが下立売通で、左手前の角が平安女学院です。
この左向こうの角に平安女学院の“有栖館”こと「有栖川宮旧邸」があります(簡易地図)。

2008年からは平安女学院の所有で通常は非公開ですが、京都御所の一般公開に合わせて内部の特別公開をしています。
参観時間が10:30~16:00と、やや開始が遅いです。

まず有名なのは、烏丸通からも見える見事な門前の枝垂桜です。
近年の調査で、豊臣秀吉ゆかりの醍醐寺の桜の子孫と判明しました。

正面の青天門で参観料500円を納めます。
右手前方に玄関、左手に長屋門があります。
2024/3/23~3/29の記念公開の際は、こちらが出入口でした。
玄関から玄関棟に入り、左の客間棟に入ります。
客間の板間は能舞台と呼ばれ、奥には上段の間があります。
庭側には細長い“鞘の間”が隣接し、前庭は11代小川治兵衛作庭の“平成の植治の庭”があります。
落ち着いた枯山水様の庭園で、優美です。

奥の廊下から“住居棟”に移動しますが、途中の中庭に、1株で紅白の花を咲かせる桃の木があり、“源平桃”と云われています。

住居棟では様々な展示があり、ここで1周して玄関棟に戻り終了です。




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革堂(御苑周辺散策8)

写真は、本堂。

下御霊神社を出て左折し、さらに90m進んだ左手の竹屋町通とのT字路の突き当りに革堂(こうどう)があります(簡易地図)。

最寄りのバス停は河原町丸太町です。
丸太町通を進み、寺町通を左折した先の左手です。

正式名称は行願寺です。
開山の行円上人は元猟師で、いつもシカの革を着ていたため革聖と言われ、革堂の由来になったそうです。
ここは西国観音霊場の三十三所巡礼の第19番札所として有名です。

拝観は無料です。

山門を入った正面に本堂があり、本尊は千手観世音菩薩ですが通常は非公開です。
右手には大きな地蔵菩薩像がお祀りされています。

本堂の左手に進みます。
右手に宝物館、左手に愛染堂と寿老神堂があり、寿老人は都七福神巡りの1つです。
突き当りに鎮宅霊符神堂、その左に鐘楼、さらに左奥に加茂明神塔があります。

1/17と1/18には本尊の千手観世音菩薩が開帳されます。
本尊の千手観世音菩薩は本堂の外からです。
お顔は見えますが、垂れ幕で手の先などの末梢は見えないです。
どの道、単眼鏡持参がおすすめです。

また8/22と8/23には“幽霊絵馬”が終日公開されます。
本堂前の賽銭箱の上に設置されるので、かなり近いです。
年季の入った木の板で、右側に幽霊の影、左下には鏡のような影が見えます。

西国33か所霊場草創1300年記念特別公開
2016年10/30~11/13の8:00~16:30まで、内陣と本尊の公開がありました。
拝観料は1人500円でした。
本堂右手から入り、受付をします。
内陣の奥、お厨子の前まで行って本尊の千手観世音菩薩像にお参り出来ました。
千手の前腕や上腕部からも無数に手が出ており、一瞬鱗のように見えるのが特徴的でした。

また外陣の格天井には、9×20+1=181面の木彫りの花鳥彫刻が施されていました。

2017年3/11~3/17の特別公開では、革堂といわれるようになった由来である行円上人の鹿革衣が本堂内、地蔵菩薩像の前に展示されました。

また10月の藤袴祭では、宝物館2階の広間で立礼席の呈茶があります。




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