晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読 日本の地名 8/23

2011-08-23 | 雨読

2011.8.23(火)雨

 「日本の地名」鏡味完二著 角川新書 昭和39年5月再版 260円 購入価384円
 地名に関する古典と言うべきもので、それ以前には金田一京助、柳田国男、金沢庄三郎、山口弥一郎、中島利一郎、松尾俊郎氏などが、アイヌ語や朝鮮語を元にした地名研究や各地の地名考証、地名に関する研究方法などの論文や書を世に出している。本書はこれら先人の地名研究を元にして科学的に学問として確立されるべく本書を出されたようである。地名を統計的に調査したり、分類したりされている。
 面白いのは方言の作るファン、つまり扇状形である。例えば関西弁と関東弁の境を様々な言葉を対象に線で結ぶと日本海側は親不知あたりが扇の要となり太平洋岸では桑名から富士川辺りの広い範囲になる。これを尾張ファンというそうだ。言葉の拡がりが地形に左右されるという証左である。方言も地名も所詮人によって運ばれるものだから、あの親不知を越えるのは大変なことだったのだろう。
 地名の分布というのも面白い。日本地図の中に同一地名の部分を点として表すとその地名の拡がり方、伝搬の仕方が理解できる。山名の~岳の分布やスミヨシ、コンピラなど面白い現象が現れる。
 いずれも大変な作業だが、地名学いう学問として確立するためにはそういった科学的な方法が必要となるのだろう。もっとも参考になるのは、ある土地を選んでそこの地形図、大字小字、郷名など記して、その地の歴史を考察する作業である。本書では岐阜県吉城郡上宝村中尾、愛知県葉栗郡北方村(いずれも当時)を選んで書かれているが、実に見事にその地の歴史が地名から解読できるのである。これこそ地名を研究する目的ではなかろうか。Img_3562
 
「日本の地名」と「地名の語源」はタイトルは違うが中身は一緒である。同じ角川から出版されているのだが、それって詐欺っぽい。


 地名を科学的に分類すると共に、解りやすい辞書を作られたのが氏の功績である。本書についても半分は日本地名小辞典という辞書になっている。
ただ、一般的な国語辞典や漢和辞典のように単純な使い方はできないのが、地名辞典である。地名というのがあまりに奥深く、一般的に表現できないというのが最大の理由だが、その後の研究が進み新たな意味が多く発見されているからである。こういった辞書から地名由来を書き出して公表しているケースをよく見るが、そんな単純なものなら地名考証なんて必要がない。辞書を作るより、各地の地名を検証する本を書かれた方が良かったような気がする。

今日のじょん:本格的な雨が降って遂に合羽を着ることになった。以前ほど嫌がらないのは諦めの境地か。やっとなり始めたゴーヤを食べさせたら、トマトスープで煮込んだのは食べるけど、酢の物のは食べないそうだ。ゴーヤの味というよりスープや酢の味で食べてるみたい。Img_3561
 

コメント
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