常念が見える部屋から

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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

夏水仙

2006年08月17日 | 季節の便り
美しい花なのだけれど、向き合うとどうしても一歩下がってしまう。
お盆のころ、葉が枯れ絶えた地面から腕のように花茎を伸ばし開花する。
子供のころは彼岸花と呼んでいた、彼岸花が群生する墓地は夜も昼も耐え難い恐怖に満ちていた。
野菜畑に行くためにどうしても墓地の横を通らなければならない。
夏休みの夕暮れ間近に、野菜の収穫を言いつけられた時の心細さは今でも忘れられない。
背丈ほどに伸びて、夕焼空の下で手招くように揺れる彼岸花は美しい中に妖気を感じさせる凄さがあった。
子供が好きになれる花ではない、長い間 彼岸花は忌花としてその脇を通り過ぎるたびに胸の動悸が高鳴った。
ナツスイセンと知ったのは、はるか後のことである。
もし最初に夏水仙と知ったら、この花に抱く感情は大きくか変わっていただろう。
コメント
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