或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

フェルメール

2005-08-12 07:17:18 | 300 絵画
ちょっと前に“群青色”から“瑠璃色”に話が展開し、ラピスラズリから17世紀のオランダの画家フェルメール(1632–1675)につながりました。彼の作品に興味を持ち始めたのはごく最近。というのもこれまでは19世紀以降の印象派しか眼中になかったから。美術館に行っても時間がなくて、印象派をみるのでいつも精一杯。(笑)

彼は筆が遅かったらしく、描いた絵画の数が多くみても60点。現存する作品が40点もありません。家はもともとは裕福な家系だったようですが、描く絵が少なく、お金のやりくりは苦しかったようです。

その少ない作品の中で一番ストレートにラピスラズリの青、つまりウルトラマリンが感じられるのが、上の写真の初期の代表作「牛乳を注ぐ女」(1959年)。スカートの青がまぶしいですね。これが代表的な、いわゆる“フェルメールブルー”。モデルがキレイ系だともっと良かったのに。(笑)

下の写真は私のお気に入りの晩年の作品で、「ヴァージナルの前に立つ女」(1673年)と「ヴァージナルの前に座る女」(1675年)。くすんだ“フェルメールブルー”が渋くていい感じです。

でも色ってホント難しいですね。濃さや混ぜる色のほんの少しの差で印象がずいぶん違う。実はフェルメールの作品が展示してある美術館にけっこう行ってます。今から思うと実物の色を見る良いチャンスだったのに、見とけば良かったなあと、つくづく後悔してます。

彼の作品の中で最もポピュラーなのが「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」。フェルメールと彼女の関係を描いた同名の小説が映画化されており、次回はこれを紹介します。

ヴァージナルの前に立つ女ヴァージナルの前に座る女


Joyce Cooling

2005-08-10 06:08:44 | 200 ジャズ
久しぶりにJMさんの“連携TB企画第46弾/夏バテ対策はGoodMusic!“へのエントリー。皆さんさすがに夏バテでしょうか?こんな時はスマートなさらりとした音楽で“クールダウン”したいものです。

今日紹介するのは、“クール”つながり?で、珍しい女性ギタリストのジョイス・クーリング(Joyce Cooling)のアルバム。サンフランシスコを中心に活躍している彼女のアルバムには、「Playing it cool」(1997年)や「Keeping cool」(1999年)のように、何故か“クール(cool)”って単語が多いんです、まあクールの意味が違いますけど。(笑)

女性って、例えばピアニストなんかだと、なんとなくタッチのしなやかさとか、アクセントのつけ方なんかで女性と分かる場合が多いのですが、この人は全く分かりませんでした。最初ジョージ・ベンソン系の若手の白人男性かなって。試聴してもらえば分かりますが、内容的には、ウエストコースト系のメローフュージョン。なんたって敏腕トミー・リピューマのプロデュースですから。

バンドをやっていた立場から言うと、女性ボーカルっていうのはウエルカム。バックの男連中が競って奪い合うって構図。でも、経験がないので分かりませんが、バンドメンバーに女性がいると、飲みに行った時の会話の内容も変わるんじゃないかな。

「今日のライブに来ていた、右奥の席の白いノースリーブの子、あれタイプなんだよな」、とかそんなくだけた話しか普通しませんでしたが、ジョイスみたいなキレイ系の子がメンバーにいると、なんか緊張して音楽だけの格調高い話になるのかな?なんてお節介な想像をしてしまいました。(笑)

上の写真は、彼女の3枚目のアルバム「Third Wish」(2001年)を聴きながら、先週ドライブがてら遊びに行った山陰の海岸。やっぱり夏は海がいいですね。

Playing It CoolPlaying It Cool

Keeping CoolKeeping Cool

Third WishThird Wish

オートキャンプ

2005-08-09 06:51:41 | 900 その他
娘が急に友達と山陰にキャンプに行くと言い出し、倉庫の奥に眠っていた道具を引っ張りだしました。思えば最近行ってません。やはりキャンプは子供が小・中学生の時だけかも。

よく行ったのは島根県の浜田とか三瓶山。当時オートキャンプがブームになり始めた頃で、ポツポツと温水シャワーとか、サイト個別の水道や電気とか、設備の充実した所ができてました。私もいったん始めると凝る方で、道具はけっこう揃えたかな。テント、ターフ、テーブル、イス、バーナー、ランタン、シュラフ、マット等。でも一番凝ったのはテーブルウエア。

キャンプって最初は行くだけで楽しいんだけど、回数を重ねると、もっと他の楽しみ方は?と欲が出ます。一度オシャレな家族の隣りになり、その料理とテーブルウエアの素晴らしさに感激。夕食の料理が、我々は紙コップや紙皿で定番の焼肉、彼らはちゃんとした食器でイタリアン。

それからはフォークとかナイフを揃えて。特産の肉とか魚を現地調達して食べながら、ちゃんとしたグラスでワインを。自然の開放感の中で、心地よい風が吹いて、リッチな気分で...。すいません、浸ってました。(笑)

これを一度やるとやみつきに。ただこれだけ凝ると、さすがに設営や撤収に苦労するので、一泊二日を避けて、有休を取ってできるだけ二泊三日にしてました。私の凝りように、カミさんと子供はあきれてましたけど。(笑)

写真はその頃撮影した三瓶山のキャンプ場の近くの草原。サイクリング等をしながら自然を満喫しました。今となってはいい思い出。当時キャンプ場でよく聴いていたキーボードのロニー・リストン・スミスの傑作「Visions of a new world」(1975年)を紹介しておきます。今思えばソフト&メローな最高のフュージョン。私が無人島に持っていく5枚に入る1枚です。

Visions of a New WorldVisions of a New World

ヒロシマ

2005-08-07 07:49:08 | 890 広島
昨日は8月6日。そう、第二次世界大戦の末期、広島に原爆が落とされた「原爆の日」。暑かったですね。暑ければ暑いほど、この原爆記念日と8月15日の終戦記念日は、なんか気持ちが高ぶるような気がします。

私は広島生まれの広島育ち。原爆には普通の人より関心が高いかもしれません。もし私の両親が被爆でもしていたら、それは全く別の次元の話になるんでしょうけど。今日はこの「原爆の日」にまつわる話をいくつか紹介します。

今年は60周年ということで、テレビでいろんな番組をやってました。面白かったのがNHK特集。中でも印象に残ったのが、7月30日放送のNHKスペシャルのドラマ「空白の絵本」(1991年)。過去の特集番組の中からのアンコール放送。

主演が樹木希林とl深津絵里。初めて広島へ来た二人の経験を、広島の映像をふんだんに織り交ぜながら描いており、その中で「ヒロシマ」の意味を問うもの。内容も淡々として良かったのですが、深津絵里が飛び切りかわいい。若いなあ。その意味で今“月9”でやってる「スローダンス」は、年齢的にも適役なんだなあと、妙に感心しました。

そして昨晩は、「平和巡礼2005」と題した広島平和記念公園の特設ステージからのコンサートライブ。いろいろなソリストが競演。バックは佐渡裕指揮の広島交響楽団+ワールド・ユース・オーケストラ。驚いたのは、初めて見たヴァイオリニストの五嶋龍。世界的に有名な五嶋みどりの実弟。まだ弱冠17歳なのにオーラが出てました。とにかく弾く姿が美しい。弓の動きなんか鳥肌もの。素晴らしい。

それで後になって思い出したのが、数日前の市内のとあるスポットでのロビー・コンサート。10名ぐらいの外国人の弦楽アンサンブルが演奏していたので、立ち止まって聴くと、これが上手い。曲は、チャイコフスキーの“弦楽セレナード”。懐かしかったなあ。今思うと、彼らはワールド・ユース・オーケストラの一員だったんですね。

放映を見ていて、なんだか“折り鶴”を作りたくなって、折り方をネットで捜して折ってみたのが写真の2羽。下手ですねえ。小学校以来で、出来映えは小学生以下。まあこれが私の故郷広島の「原爆の日」へのささやかな気持ちでした。

菊地雅章(4)

2005-08-06 04:25:39 | 200 ジャズ
前回「ススト(SUSTO)」(1980年)を紹介し、私の中の菊地が1974年でストップしているとお話しましたが、今日が最終回。ストップしてるなら、もうそれで終わりじゃないの?と思われるかもしれませんね。ただ彼が最近アコースティックに回帰し活動していると知り、代表作の一つである「テザート・ムーン(Tethered moon)」(1991年)のCDを買ってみました。

残念ながら私の好きな菊地の姿、1970年前半の、あの日本が香るメロディーやハーモニー感覚はなく、もっとピュアでシンプルなものに変わってました。ただある意味では感動。つまり長い間音楽をやってたどり着く場所って、こういう所なのかなって。特に3曲目のコール・ポーターの名曲“So in love”は、もう好みを超越して美しい。自己陶酔の極み。キーワードは「肯定すべき腐敗」。

それで湧いたイメージが日本酒の大吟醸。米粒の雑味を削ぎ落として造られた酒が、菊地の音楽にオーバーラップ。でも大吟醸はフルーティーで甘い色香があるんですが、彼の今の音楽はかなり辛い(からい)ですね。

CDに小林恭二のエッセイが。でも“テサード・ムーン(繋がれた月)”というアルバムタイトルの意味がよく分からない。調べた限りでは、ギリシャ神話の月の女神のアルテミスが金の鎖でつながれている姿じゃないかと想像してます。でもこれってヤバイ。アニメとかSMとか、私の好みじゃない方向につながりそう。(笑)

ということで、享楽的な私にとっては辛い(つらい)アルバム。80歳ぐらいになると楽しめるのかも。でも音楽を聴いて、これだけ時代の流れを感じたのは初めてでした。

写真はレンブラントがアルテミスを描いた、マドリードのプラド美術館にある「アルテミス(Artemis)」(1634年)。これじゃちょっとコスチュームを着せて鎖でつなぐムードじゃないですね。良かった。(笑)

テザード・ムーンテザード・ムーン

ハイ・ファイ・セット

2005-08-04 06:31:04 | 220 POPS
今日は懐かしいグループの紹介です。というのも以前の“Musical Baton”の記事で自分がノミネートした曲が気になっていて。実は角松以外はCDもLPも持ってなくて、よく聞いた憶えがあるだけ。それでTSUTAYAに行って捜してみると、さすがに最近のは置いてあるけど、ハイ・ファイ・セットは見つからず。もう30年も昔の曲なんですね。まさにナツメロ。年をとったなあ。

それで最近、広島駅の隣にあるフタバ図書っていう書店の地下にCDレンタルコーナーを発見。昔のジャズ・フュージョン・ポップスの品揃えが凄い。TSUTAYAの5倍ぐらい。もうびっくり。

広島駅が通勤途中にあるので、これからは当分通いますね、間違いなく。旧作は1W単位5本で1050円だから借りやすい。この店見つけたのは、ひょっとして今年嬉しかったことベスト3に入るかな。(笑)

それでさっそく借りたCDの中の1枚が、下のハイ・ファイ・セットの2枚組ベスト盤。37曲入ってたんだけど、今回全部聴いてみて一番良かったのは、やっぱり「スカイ・レストラン」(1975年)。曲も歌詞も両方好きなんです。作詞:荒井由実、作曲:村井邦彦、編曲:松任谷正隆。

”食事に来たけど誘われたわけはきかない”とか、”なつかしい電話の声に出がけには髪を洗った”とか、なんか微妙なシチュエーション。

女性にとっては哀しい曲ですね。写真はこの曲の前に出たハイ・ファイ・セットのデビューアルバム「卒業写真」(1975年)のジャケット。私が持っている数少ないポップスの中の1枚。なんと買ったらラッキーにも彼らのサインが入ってました。(笑)

GOLDEN☆BEST/ハイ・ファイ・セットGOLDEN☆BEST/ハイ・ファイ・セット

NY回顧(3)[タクシー]

2005-08-02 06:26:11 | 800 観光
前回ニューヨークに着いて、ホテルとか五番街の記憶がないという話をしましたが、それじゃ何が最初に一番印象に残ったの?って質問が出そうなので先にお答えしておくと、それは写真のタクシー。別名イエローキャブ。

この言葉はなんかワイセツな響きがありますね。誰でも乗せることから転じて、旅先で誰とでも付き合う尻軽な日本人女性への蔑称。第22回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した家田荘子の同名小説(1991年)が脚光を浴びてからは、日本でもこの言葉はポピュラー。最近じゃこれを社名にしている芸能プロもあったりして、日本人もなかなかシャレがきいてます。

灰色や茶褐色のビルが多い中で黄色は目立ってました。それで乗ったタクシーの汚いこと。運転手はアラブ系?客席との間の金網の仕切り。車内では何やら中近東っぽい訳の分からないチャカポコ音楽。もうムード満点で、このまま何処かにさらわれるんじゃないかと思いました。(笑)

このインパクトが強くて、夜出歩く時も地区や路地を綿密に確認して、絶対に表通りしか歩かないように。いざという時のために、少額キャッシュ入り差し出し専用財布も用意して。でも結局何もなし。当たり前か。さすがに表通りは深夜でも人通りが多かったなあ。

“タクシー”つながりでロバート・デ・ニーロ主演の「タクシードライバー」(1976年)を紹介しておきます。ニューヨークのけだるさと、狂気と悲哀が交錯する名作。サントラ盤持ってます。バーナード・ハーマンの音楽とトム・スコットのサックスが映像にマッチしていて最高でした。

タクシードライバー コレクターズ・エディションタクシードライバー コレクターズ・エディション

タクシー・ドライバータクシー・ドライバー