或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

マウリッツハイス美術館展

2012-09-05 05:54:59 | 300 絵画
どうしても、いや絶対に見ておきたかった絵の中の1枚が、フェルメールが描いた「真珠の首飾りの少女」(1665年)。だけどまさかこの絵を日本で見ることができようとは。マウリッツハイス美術館展が開催されるということを知ったのは今年の春だったかな、とにかく見逃す訳にはいかないなと。開期は東京が6月から9月、神戸が9月から12月と長いので、必ずチャンスは来ると。

先週の火曜日、千葉での仕事を午前中に終えて、午後からは広島へ帰るだけという日程が決まってからというもの、頭の中は、この絵のことばかり。帰りの新幹線を何本か遅らせ、なんとか1時間ぐらい確保できるスケジュールを立案して。幸いアクシデントもなく、午後3時過ぎに上野の東京都美術館へ到着。並ぶこともなく、すんなり入場券を購入できたまでは良かった。

驚いたのは展示室へ入るゲート。けっこう人が並んでいて。中へ入ると、とりあえず一目散に、もう1点のフェルメール作品である「ディアナとニンフたち」(1654年)の前に。さすがに人だかりができていて。残存している彼の作品中、唯一の神話画。画題のせいもあるけど、その特異な訴求性という観点ではフェルメールらしさに欠け、いまだに贋作疑惑があるのもうなづけた。

時間がないので、とりあえず本命をと、その後は「真珠の首飾りの少女」へ直行。するとフロアの半分くらいがロープで仕切られていて、100人ぐらいが列を作って並んでいた。「待ち時間は30分程度でございます」とのアナウンスが。少々焦ったけど、つくづく平日にして良かったなと。これが土日だと、どうなったことやら。この辺りからかな、胸がときめき始めたのは。

絵に近づくにつれ、その特徴的なターバンの青色が垣間見えてきて。自分の興味は、それがどんな青なのかということ。いよいよ絵の正面に立ち、まじまじと確認したけど、想像通りの赤みのない、くすんだ薄く渋い青だった。なんか妙に安堵したかな。それにしても、漂ってくるオーラはどうだ。他の作品と異なり、物語性がない分、彼女の瞳がこちらに訴えてくる。その後は、他の作品は一切鑑賞せず、時間が許す限り並んでいる客の後ろでずっとこの絵を眺めていたのは当然の結末だった。