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北海道美術ネット別館

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■旭川市教育委員会所蔵絵画作品展 ~抽象画の世界~ (2024年12月6日~25日2月5日、旭川)●抜海へ、冬の旅(5)

2025年01月31日 11時14分33秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前。(3)はこちら)

 正式な展覧会タイトルは上記の通りですが、事実上の村山陽一展です。
 戦後、旭川を拠点に開かれた北海道アンデパンダン展などで活躍し、早逝した村山(1926~61)の絵画15点と、旭川生まれで戦後日本の抽象画を代表する画家として知られる難波田龍起なん ば た たつおき(1905~97)の「群像B」が展示されています。
 
 ところで、村山陽一の画業を振り返る際にたびたび言及されてきたのが、フランスの美術評論家で戦後日本の画壇にアンフォルメル旋風を巻き起こしたミシェル・タピエ(1909~87)です。
 ただしこの話は、グーグルでネット検索してもヒットしないようですし、今度の展覧会を取り上げた新聞や会場の紹介パネルなどにも触れられていません。

(前略)村山が、たまたま、「第十回読売アンデパンダン展」に出品したグワッシュの作品について、二度目の来日をしていた、アンフォルメルの理論的主導者、ミシェル・タピエに新聞の展評で名をとりあげられたことがあった。
(「美術手帖」1986年11月号「地方通信」佐藤真史)


 読売アンデパンダンは戦後の前衛美術史を語る際にはかならず取り上げられる展覧会なので、ご存じのかたも多いでしょう。
 赤瀬川原平著『反芸術アンパン』(ちくま文庫)によると、第10回は1958年に開かれており、おもな出品者には、工藤哲巳、因藤寿、池田満寿夫、野口弥太郎、荒川修作、河原温、古沢岩美、三木富雄、多田美波、松沢宥、田名網敬一、菊畑茂久馬、高松次郎、吉村益信、藤原有司男、山口勝弘など、画壇のベテランから現代アートの若手まで、そうそうたる顔ぶれがみられます。
 そんな中にあって、パリからやってきた著名な評論家が、全国的にはまったく無名の画家を取り上げたということは、旭川の関係者の間で話題となり、大きな励みにもなったにちがいありません。

 村山の作品は、初期こそ人物像のなごりをとどめていますが、徐々に抽象の度合いを強めています。
 54年の「浮遊する街」あたりからは、色も中間色主体から、原色の割合が高まり、黒い部分も多くなります。ホワン・ミロは黒い線を効果的に配しましたが、村山の黒はもうすこし広い部分を占めており、絵全体を引き締めています。  
 ポロックのようなドリッピングの跡はありませんし、ストロークを前面に出すタイプともいえません。初期衝動という概念で片づけてしまうわけにもいかないでしょう。ただ、いままでに見たことのないような絵画をつくろうという熱い意欲はひしひしと感じられます。

 「展示作品一覧」によると、作品は次のとおりです。ただ、画材がそのまま題になっているのは、奇妙な気がします。
・抽象人物 (1953年)
・抽象人物 (1953~54年頃)
・街B (1954)
・無題
・浮遊する街
・無題
・デッサン (1956)
・グワッシュ (1956頃)
・暦 (1957)
・グワッシュ (1958年頃)
・無題
・グワッシュ
・作品
・グワッシュ (1960)
・無題 (1960頃)



2024年12月6日(金)~25年2月5日 (水)午前10時~午後5時
旭川市民ギャラリー(旭川市宮下通11 上川倉庫蔵囲夢内)



・旭川駅から約520メートル、徒歩6分



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