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「川俣正「アパートメント・プロジェクト」1982-86 ドキュメント展 ~ TETRA-HOUSE を中心に」のパンフレット

2023年09月05日 16時15分23秒 | つれづれ読書録
 表題の展覧会(英語名は「KAWAMATA TADASHI Apartment Project 1982-86」)は2023年7月7日(金)から9月7日(木)まで、東京都江東区の竹中工務店東京本店にあるギャラリー エー クワッドで開かれた(つまり、このテキストを書いている時点ではまだ会期中である)。
 この展覧会のゲストキュレーター正木基さん(道立近代美術館→目黒区美術館の元学芸員)から連絡をもらい、筆者は見に行く予定を立て、8月28日のトークショーを予約していた。なんといっても1983年の「テトラハウスプロジェクト(TETRA-HOUSE 326 PROJECT)」は、北海道の現代アート史に一時代を画した出来事であり、そのことをテーマにした展覧会を見に行きたいと考えたのだ。


 
 
 しかし実際は、仕事が多忙にすぎた上、トークショーの直前にポリープ切除の小さな手術をしたこともあって、東京行きを断念せざるを得なかった。
 トークショーをキャンセルする電話をギャラリーにかけた際、ダメもとで、巡回展の予定と図録の有無について尋ねてみたところ、巡回は分からないが、図録(パンフレット)の小冊子はあるという。さっそく送ってもらうことにした。1冊500円で、送料と振込料を足しても千円に満たない金額で入手できたのは幸運だったと思う。

 図録は28ページ。
 1980年の「プロジェクト・ワーク・イン・高山」(現在の岐阜県飛騨市)を皮切りに、82年のヴェネチア・ビエンナーレ、宝ハウス205号室(東京都杉並区)、83年の「大手門・和田荘/素材と空間展」(福岡市)、SLIP IN 所沢、TETRA-HOUSE 326 PROJECT(札幌市中央区)、84年の「工事中」(渋谷区代官山)、86年の「SPUI PROJECT」(オランダ、デン・ハーグ)が、豊富な写真や、川俣自身のテキストなどによって振り返られている。今回の展覧会の会場写真もある。

 他のプロジェクトが1~2ページなのに対し、「TETRA-HOUSE 326 PROJECT」だけは6ページが割かれており、故中森敏夫氏や真鍋庵氏の文章も載っている。
 もちろん筆者はリアルタイムでこの話を知らないし、見に行ってもいない。ただ、図録に写真が載っている、藤木政則さんの奇抜なパフォーマンスや、道特画廊でのシンポジウムは、映像で見た記憶がある(それがいつ、どこで、何の機会だったかはさっぱり思い出せない)。

 道内のアートだけでなく、美術館やギャラリーのホワイトキューブを抜け出し、普通の家や生活空間に大量の材木や板を持ち込んで、外壁や内部を一時的に変容させる(一定の時期が終われば木材は搬出され、もとに戻る)川俣正らしいアートが展開されるきっかけになった一連のインスタレーションでもある。

 札幌の話なので、札幌に巡回してこないかなと思うのだが…。



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