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■外山欽平油絵個展 (2016年4月4~9日、札幌)

2016年04月09日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 外山 と やま欽平さんは函館の画家で、毎春札幌で個展を開いているほか、函館でも盛んに発表している。以前から抽象画に取り組んでいたが、1998年からはアルファベットを年に1文字ずつ取り上げている。同年が「A」で、今年は「S」まできた。

 活字に近いものから、筆記体のように崩した字体まで、おなじアルファベットでも、線の走りぐあいはさまざま。細いレモンイエローや赤の線は、筆ではなく、キャンバスを傾けて絵の具を走らせている。
 その線の周辺は、さまざまな青でおさえ、背景はビリジアン、オリーブグリーンといった多様な緑色が覆っている。よく見ると、背景の緑の全面を、滝が落ちるように絵の具が幾筋にもなって流れ落ちている。
 これは、絵の具の成分が分離したもので、外山さんいわく
「すぐに乾いてしまうアクリル絵の具ではできない。ようやく、これのやり方がわかってきて、コントロールできるようになってきた」
とのこと。

 右上の作品は「S-23」。
 小さな作品で試作してから、大きな作品に取り掛かる。今年もF100を12点そろえた。

 ところで、アルファベットを100号の絵にすることに、なんの意味があるのかと思う人はいるだろう。

 しかし、裸婦や花瓶や小樽運河なら「意味」があって、アルファベットなら意味がないという、その根拠はどこにあるのだろう。
 そもそも、絵に「意味」が絶対に必要なのだろうか。

 ジャスパー・ジョーンズは星条旗を絵にして、「記号」も絵画にすることを示した。

 絵画であるためには、意味やモティーフよりも前に、まず線や面、色彩などが必要なのだ。


 話は変わって…。

 外山欽平さんとは毎年、ギャラリーで異なる話題になることが多いのだが、今年は「油絵の具」の話になった。
 高価で、乾きが遅く、においがきつい油絵の具のかわりにアクリル絵の具を使う人が増えているが、やはり油絵の具じゃなければダメだと、外山さんは言う。
「アクリル絵の具は、何年もつか分からない。やはり、油絵の具じゃなきゃ」
 まあ、ファン・アイクを見れば、油絵の具は500年以上もつのはわかります。

「塗って削って、また色を重ねて…というプロセスを踏まない絵が増えている」
という外山さんの危惧は、そのとおりだと思う。
 油絵独特のレイヤーの重なりによる色の表現が、衰退しているのだ。

 そんなわけで、C室では外山さんが「外山欽平けずり紫陽花展」という妙な題の個展を同時開催している。
 絵の具を削って描いたアジサイの絵が並んでいる。

 それにしても「油絵個展」と銘打っているのに、外山さんに
「アクリルですか?」
と聞く人がいるというから、世の中はおもしろい。


2016年4月4日(月)~9日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)

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