ガリバー通信

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島サミット

2012年05月27日 | 日本の課題
 日本と太平洋に浮かぶ島国、地域が集う「第6回太平洋・島サミット」が沖縄県・名護市で開催されて、昨日「沖縄キズナ宣言」を採択して閉幕した。

 ここ数ヶ月以上、テレビや新聞で見る現在の日本の首相である、野田佳彦氏の表情は殆ど厳しいというか、消費税をはじめとする国会論議や与野党論議だけでなく、民主党内の政局や突き上げもあって、さえない顔が続いていたが、この日本が主導する「島サミット」に限っては、ご機嫌という感じで笑顔が随所に見られた様子であった。

 太平洋・島サミットの参加国、地域は日本と赤道直下を含む南太平洋地域に位置するミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル、ツバル、キルギス、サモア、ソロモン諸島、バヌアツ、パプアニューギニア、パラオ、トンガ、クック諸島などのまだまだ発展途上の経済力の弱い国々、地域とハワイ州(米国)やオーストラリア、ニュージーランドなどで、今回初めて米国が参加し、フィジーは欠席したという。

 いずれにしても、三年毎に開かれている島サミットであるが、日本が主導的に提唱し、過去6回とも日本で開催し、その内今回も含む半分が沖縄での開催と言う特徴のあるサミットであり、昨年春の日本の東北地方を中心に大きな被害をもたらした大地震に伴う大津波なども含む海洋に囲まれた国と地域の多様な諸問題の解決と対策に対する協議を国際的に行うという目的の大切なサミットとなっているのである。

 特に今回は、昨年の日本の大地震と大津波の経験からの防災協力や海洋の安全保障に関する協力を盛り込んだ「沖縄キズナ宣言」と題する共同声明を発表し、特にアジアの大国にのし上がった中国の海洋資源目当てと覇権主義的な攻勢に対する、国際的ルールの順守などを求める背景を持つ、課題に対する確認が行われた模様である。

 日本は、今後三年間に最大5億ドル、約400億円の援助を提供し、米国などと連携し、島しょ国に太平洋災害早期警報システムの構築や、世界銀行と協力し、自然災害リスク保険を整備したり、海洋資源の持続可能な開発、管理、保全を確保し、国連海洋条約を順守し、天然資源開発で積極的な役割を果たすとの骨子を宣言の内容としている。

 尖閣列島だけでなく、南沙諸島をはじめとする東アジアや南太平洋周辺での中国や韓国、日本、そして関係国であるフィリッピン、ベトナム、台湾などとの領土問題などは、その多くが海洋資源の利権を巡る争いであり、特に中国の覇権主義的攻勢は、ここ数年顕著に積極的かつ洋上での挑発的行動にまで及んでいる現状があり、米国も極東アジアである、この地域での防衛ならびに安全保障面での対応にシフトしつつある課題を重視しているのである。

 こうした太平洋・島サミットに参集している国、地域の内のフィジー、ミクロネシア、トンガ、バヌアツなど五カ国はサミット開催を牽制するが如く、中国共産党指導部の序列第四位の人民政治協商会議主席が、これらの国々と地域の政治家視察団と北京の人民大会堂で会談したと、中国新華社電は伝えていて、中国は各国の事情に即した発展を尊重し、各国の経済発展と民生改善を支持するとして、サミット関係国である日本、米国を意識した政治的パフォーマンスを行っている。

 いずれにしても、確かに21世紀に入って12年目の世界経済と日本を取り巻く環境、資源開発、軍事的緊張など、多様な課題が山積する現在において、この太平洋・島サミットも重要な関係国会議となっていることは間違いないのだが、どうも野田首相の久しぶりの笑顔を見ていると、今後の中国、韓国、台湾をはじめとする日本の国益とリンクする東アジアの国々との外交的政策も友好な交流はいいことだが、厳しい領土問題や利害対立に対して、強いリーダーシップを発揮し、日本を代表する発言ができるのかと疑心暗鬼にならざるを得ない、「ノー天気さ」を感じてしまうのは私だけではあるまいと思うのであった。

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