一昨年の暮れ以来の一年以上間の空いた展覧会見物でした。
選んだのは、銀座の松屋で開かれている「利休のかたち」展。
デパートのイベント会場なら、それほど広くないので、
歩く距離も少なくて大丈夫かと思ったからです。
朝一番の入店でしたので、とても空いていて、ゆっくりと見られました。
いつも感じるのですが、
これほど完成された美を超えられることはできないのではと。
力強さを内に秘めながらも、静かで、
全てを透過してしまうような空間を醸し出しているように思えました。
一か所だけ撮影OKの場所がありましたので。
利休の花入れの写しがかかっていました。
竹花入 「尺八」
あのよく知られた三つの竹花入れ、
「園城寺」「尺八」「夜長」の一つですね。
当然のごとくどれもが素晴らしい道具でしたが、
思わぬものに心が残りました。
桐の「丸卓」の色でした。
数百年を経た黒く光る姿がいいなあと。
我が家の二十年以上稽古に使って、
兵どもが夢の後のようにシミのついた丸卓を思い浮かべて、
どうしたらあのように時代が付いて、美しく年を取らせられるのかと。
そして、せめて生きている間だけでも、
全ての道具を丁寧に使って、いとおしんであげなくてはと、
新年の決意のごとく改めて思いました。
最後に、もうすでに代を譲られた先代の楽吉左エ門さんの黒茶碗。
今は直入を名乗られていますが、
時がまた次の代に移ったことを知らされた思いでした。
前日に続く外出でしたので、
歩きすぎで膝に影響が出ないかと心配でしたが、
前日友人に「素晴らしい回復力ね」と言ってもらえたことが、
私に安心感と勇気を与えてくれました。
時には自分ではもどかしく、これで大丈夫なのかと思ってしまうので、
プラス思考に導いてくれる言葉は嬉しく本当にありがたいです。