お茶のお稽古にいらしている方から、突然、
「お花も教えてください」といわれました。
確かに華道の師範免許は持っています。
一応玄関には看板も下げてあります。
でもこれは飾の様なもので、
もう実質40年近くも、真剣に花を活けたことはありません。
花といえば、茶花一辺倒で過ごしてきました。
時々は母が買ってきた花を分けてもらって、
年に何度か活けたりしたでしょうか。
でも母の花を観ると、いつも私の出る幕はありませんでした。
私の華道の師匠は母でしたから。
母の晩年の10年間を一緒に暮らしたとき、
元気なうちに母から学べるものはできるだけもらっておこうと、
意欲を出したこともあったのですが、時遅しでした。
奥義を受け取る前に他界してしまいました。
そんな程度の腕前の私ですから、教えてくださいといわれてもね。
「基本の型ぐらいなら教えられますけど、正式にはちょっと。
今は時代も違っていますから、だいぶかわっているでしょう。」
と答えると、
「お免状がほしいとか、花展に出すとか、そんなのは全然なくていいのです。
生活の中で花を楽しめる最低のことができれば。」と。
そんなことを言われて、取り出した懐かしいしい教則本。
ちゃんと取ってありました。
それから勉強していたころのノートも。
活けたお花のスケッチをしたり、写真を撮って貼ったりしてあるノートです。
茶花は、流儀花とは違うので、
かえって流儀の型が邪魔をすることもあるともいわれました。
ですから全く別と考えなくてはならないですが、
生活の中でどちらも生かせたら、素敵なことですね。
母の残していった花器もたくさんあります。
突然の申し出に、ちょっと刺激されて、
また少し生け花にも親しんでみようかしらと、思っています。