細川家茶道具より
これも利休の逸話です。
「秀吉公の御前で、利休と天王寺屋宗及とが順番に点前を披露するように
命じられた。その時利休は何事もなく点前を終えたのであるが、次に点前
をした宗及は、心中おやかならざるところがあったのか、天目台の端に柄
杓の熱湯のしずくを落としてしまった。
このことで、『利休は宗及に勝っている』と秀吉公は判定なさり、以後は
利休の茶法を聞かれるようになられた、ということである。
名物の天目台には、熱湯のしずくの跡がついて疵物になってしまったと、
これも細川三斎のかたったことである。」
(筒井紘一著 「利休の逸話」より)
たった一滴のしずくが、歴史を変えたのでしょうか。
名物に「しずく」で、残念がっていた細川家ご先祖。
その天目台というのはもしや、は上の写真の一つでしょうか。
しずく一つにも心の有りよう、点前の有りようが表れてしまうのですね。
炉縁や畳や、台にしずくを落として、
「すみません~」と拭いている皆さん、
私も含めて、ちょっと身が縮む思いですね。
名物でなくとも、しずくの落ちないお点前を目指したいものです。
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