遅いことは猫でもやる

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ターキー

2015-04-03 02:38:26 | 雑感
 浄土に咲くと言われる蓮の花

七面鳥。クリスマスのご馳走かと思っていたら「気の利かない役立たず」というスラングとしてもつかわれるそうだ。
昨日、長男の電話の受け答えに「よくぞ成長してくれた」と感激したのには、私自身の消え去らぬ苦い思い出があるからなのです。

32,3の頃だったか、正月休みを家族ぐるみで高山で過ごしたことがあった。雪の残る三之町で酒屋巡りをして、しこたま日本酒を買い込んだ帰り道、尊敬する伯父さんの家に立ち寄った。
商売もうまかったが、人情味が厚く、いつもお宅には人の出入りが絶えなかった。私は幼年時代一年近くこのお宅に預けられ、子供がいなかった伯父さんは、真剣に養子に貰いたいと私の親に申し込んだそうだ。厳しくも暖かく育てられた私は、その後学生時代もトラックの後ろに乗って、荷降ろしなどのなどのアルバイトをし、年末には静岡県まで集金をしに行ったこともあった。

とにかく人並み以上にこの家では可愛がられ、その後女房と婚約した際真っ先に報告に行った。突然現れた二人に伯父さんは狼狽し、我が家に電話をかけてその真偽を確認したほどであった。どうもその時まで、まだ婿養子に迎えるという心づもりをしていたと思われる。

それはさておき、正月四日に訪れた時、伯父さんはがんに罹っており、はやりの紅茶キノコなどを供してくれた。その効用などを説明しながら、「おい、このままもう一度みんなで高山へ行かないか?」と真剣に言い出した。勿論私は現役で、明日から仕事始めの忙しい業務が待っているので、また今度にしようと断った。その時の表情はいかにも残念そうで今でも目に浮かぶ。日頃はしつこくない伯父さんが二度も三度も同じことを言ったのに、それを断ったのは、まことに気の利かない男であった。いくら仕事はじめとはいえ、会社の仕事などどうにでもやりくりはつくはずであったが、「私がやらなくては」という若い者特有の自負心が、彼の心を忖度する余裕を失わせていた。おそらく伯父さんは病状を悟り、最後の思い出つくりにと私を誘ったのだろう。そんな気持ちを察することができなかった、未熟な自分を悔やんでも悔やみきれない。思い出す度に後悔の念に苛まれる。

それに比べ、通夜の夜の長男の電話での受け答えは打てば響くように人の気持ちがわかっている。鳶と鷹、ターキーと鴨くらいの差がある。