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ヘロヘロ&事故遭遇記

2003-07-31 22:12:46 | 登山・ハイキング
ヘロヘロ&事故遭遇記
―温泉登山部史上最高峰へ登頂―

■一日目
 am7:20いつものメンバー6人(Tリーダー、G夫妻、T氏、私達夫婦)で春日井駅発。時折の雨交じりの曇天ながら、車中は賑やかに中央道を走り、長野道みどり湖PAで休憩。天候の回復が見込めないので、表銀座コース(中房温泉起点)を断念し、とりあえず上高地に入ることに決定。
10:50沢渡着 「こっちこっち」と半ば強制的に駐車場に誘導されると、「6人なら、タクシーのほうが安い」と係りの人が声をかけてきた。切符売り場で見ると、バス代は@900円×6=5400円、タクシー5000円。でも六人は乗れないというと、「前に二人、後ろに四人乗る」と涼しい顔。折角のご好意なので、タクシーで上高地へ。7/19日連休最初の日とあって、道路は大混雑。釜トンネル(現在工事中)大正池畔は渋滞、一時間以上かかってバスターミナル到着。
売店で長野名物のおやきを頬張り、12:10いよいよ出発。大勢の人が賑う河童橋横を通り抜け、小一時間で明神池到着。早速岩魚の塩焼きを肴に生ビールで乾杯。さらに名物岩魚の骨酒で小宴会。骨酒は随分味が沁み出していてとてもおいしい。
おでんを追加して更に盛り上がりました。
1:50宴会を切り上げ、河畔の道を気持ち良く進む。梓川の水は透明ガラスのように澄み、オゾンいっぱいの空気が旨い。幸い薄日が差してきて、前途に希望がでてくる。道端にカラマツ草の白い花が多くなってきたら、徳沢園。テント場前で一休みして、3:00発。さすがに行きかう人が減ってきて、いい道を進むと、一時間で4:00横尾山荘着。なんと此処には風呂がありました!
風呂上りに部屋でまた一杯。よく飲むパーテイ(隊)です。今度はビールにワイン。G家持参のつまみのおいしいこと。ソフト貝柱、梅海苔、?昆布などなどの珍味で舌鼓。協議の結果明日からの行程を、涸沢―奥穂高―岳沢に変更。
夕食もおいしく頂いて、8:00に就寝。

■二日目
 未明3:00頃から廊下が騒がしくなり、いびきの大合唱で、少々寝不足気味であるも、4:00起床。談話室のTVで天気予報をみて、どこやらのおじさんが、「この辺りだけは大丈夫降らない」と根拠の無い楽観論を振りまくのがおもしろい。
朝飯は5:00から。15分前から並んだが、タッチの差で2回目に回される。
待ったのは10分ほど。みんな朝は早い。相変わらずの曇天の中、5:50分山荘発。
山荘前の新しい橋を渡って涸沢へ。屏風岩を回り込んで、涸沢本谷橋を渡ってから、登りが少し急になってくる。青空が少し見えてきて、南岳の稜線も見え、気分も明るくなってきました。遅咲きの桜が咲いていたそうですが、私は見逃してしまいました。
土の道が岩の道にと変化してくるなかの登りをあえぎながら進む。前穂高―奥穂高の稜線は相変わらず雲の中。林の上の吹流しを目指して、雪渓を横切るとそこが涸沢ヒュッテ。
8:45着。モノトーンの雪と岩、色とりどりのテントの涸沢カールを見渡して、
ヒュッテのテラスで大休止。Tリーダーが持参のコンロを取り出して、コーヒーを沸かしてくれました。甘露甘露。暖かい物が体に染み透ります。
9:20発 涸沢山荘横をとおり急登。雪渓横で休憩していると、説明好きのおじさんが、色々話をしてくれた。距離計を持っていて、「ここから奥穂高までは直線で1100mだ」「頑張ってください、一歩登れば一歩近づく」この言葉にどれだけ励まされたことか。
10:20頃、雪渓を横切る手前で、激しい降雨。全員カッパ着用。10:45ザイテングラート取り付き。いよいよ岩尾根への登り。涸沢から奥穂高岳への往復組とすれ違うことが多くなる。11:10渋滞始まる。一方通行で待つこと多し。ガスが濃くなり、前が見えない。11:35分「後20分」の標識あるも、12:10まだ着かないので休憩。ところが歩いてみると、そこから3分のところが山荘でした。みんなヘロヘロになって雨の中を到着。ヤレヤレ、ヘロヘロ。
穂高山荘はかなりの混雑。早速昼飯をとる。といっても、生ビールは欠かせない。それにラーメン。同じテーブルに、タイガースファンで伊勢から来た方がおり、東海三県とは、愛知・三重・岐阜か、愛知・岐阜・静岡か、といった話で盛り上がる。
Tさんが下から背負って上げてきた、ワインを此処で開け、またも話は盛り上がる。乾燥室で濡れたものを乾かし、夕食までの時間は思い思いに過ごす。
夕食はいかにも山小屋といったメニューでしたが、朴葉味噌と言うのが出色でした。横尾山荘は良かったなどと、高度差を考えない発言をしながら、カイコだなの部屋に戻る。同部屋に富山の元気の良いおばさんと、昨年ネパールに行ったご夫婦がおり、話し好きのTさんはとうとう「カトマンズさん」と呼ばれてしまっていた。天気予報はすぐれず、8:00就寝。

■三日目
 外は雨。朝飯に生卵がつく。元気出せ!とのサインか。
5:30分発。雨の中いきなりの急登。鎖、はしごあり。岩肌は冷たく、雨ですべる。カッパで視界は狭いし、昨日の疲れは残っている。濡れていて、ルートは探し難い。悪条件が重なる中、落ちたら危ないと両手も使って登る。緊張しながら、何でこんなことしているんだろうと自問自答していたとき、ふと職場で現場の人たちは、こんな苦労を毎日しているのではないだろうかと感じ、この程度のことで音を上げてはダメだと思い直して、登り続けた。
 6:30 ガレ場の急登から少し傾斜が緩んできたころ、ガスの中に奥穂高山頂。祠が祭ってある山頂が二つ。真新しい方の山頂によじ登って、3190m登頂。我が温泉登山部史上の最高峰です。直ちに記念撮影。相変わらず一面のガスの中、視界はゼロ。あっけない登頂でした。6:45南稜の頭通過、昨日の伊勢の人たちと、抜きつぬかれつで前後する。今度は下りの鎖場、やせ尾根下のトラバースといやなところ続出。これが晴れていたら、絶景を見ながらなのにと残念がることしきり。ただ逆に、下が見えないので恐怖感が少ないのは救われました。
8:00 前穂高岳への分岐、紀美子平着。リーダーが「前穂高へ行きますか?」と聞くも、全員直ちに「行かない」と衆議一決。小梨平で山のクリーン作戦協力者に、ごみと引き換えにバンダナをくれるキャンペーンをしていたことを思い出し、小さなごみを拾って、ビニール袋に入れる。
此処からの下りがまた大変。雷鳥平などという斜面は良いほうで、鎖と梯子の連続。こんなに急だったか、と38年前の記憶に無い岩場を降りる。いよいよヘロヘロ度が増してくる。また、一旦降ろした足を踏みかえるのに苦労すること、柔軟体操を十分してくる必要も痛感。
 11:00 2.3の中年組と、韓国のパーティを先行させ、森林限界を越えて下る。
梯子を二つ降りてしばらく行ったところで、なにやら騒ぎがある。道端から30mくらい下がったところに遭難者がいるらしい。そこにいた女性が、「看護婦ですが何かできることありますか」と叫び、「出血している」と下から応答があると、周りの人たちから、手早くタオルを集め、直ちに現場に下りていった。ヘロヘロのわが身に比べ、その職業意識と、気力に感動した。我々にできることが無いので、そのまま下ると、途中で山岳救助隊の人とすれ違う。「これで三日連続だ」「今日の事故はひどそうだ」といっておられた。
沢を渡って12:15 岳沢山荘着。我夫婦はヘロヘロだったので、同行の4名の方に、我々を置いて、どうぞ上高地まで降りてください。と申し出たら、「いや、皆一緒だよ」といって一緒にデポしてくれたのには感激。
小屋に着いて、間もなく救助ヘリが小屋に到着。しかし現場はガスが懸かりそこから行けない。事故パーテイの人たちも二人を残して降りてきた。話によると、最後から二つ目の梯子を降りるときに落ちた。話をしながら降りていた。150M程滑落した。首の骨を折り、頭から出血をしているので状況は悪い。ヘリの要請は家族の許可がないと飛ばない(最後に支払いの問題で紛糾しないためだそうです。代金は50万くらいだろうと言っておられました)予定が遅れるのは勿論のこと、事後の処理で、上高地で泊まらねばならないだろうと覚悟していた。結局ヘリは4時間ほど待機していたが、天候が変わらないので、帰ってしまった。夕方晴れたとき、再び上高地から2台飛んできたが、帰りは、シートに包んだ遺体を下げて降りていった。同行の人はさらに警察での事情聴取を受けるとのこと。我々の体力からして一歩間違えば同じようなことになっていたかも知れないと、気が少し滅入る。 
夕方晴れて、明神の三本槍、天狗のコルも見えてきた。テラスで入れてくれた、リーダーのコーヒーが食後の楽しみでした。
夕食までは、山小屋の今井君と仲良くなって、また宴会で大いに楽しみました。8:00就寝。 

■四日目
 朝は、すっきり晴れて今までの天気はなんだったのかと言う風情。奥穂高、、天狗のコル、畳岩、間の岳、西穂高、吊り尾根、一望の絶景です。上高地も早朝は雲の下でしたが、日が上がるにつれ、大正池、ホテルの赤屋根、なども見え、霞沢岳、焼岳も噴煙が見えていました。
 今日はちょっと遅めに6:40発。ゆっくりと、穏やかな道を、降りました。
スタートしてすぐに、Gさんの奥様から頂いたブドウ糖は、昨日もでしたが、リゲインよりも効くような気がします。
途中で、岳沢の風穴という冷やっこい風が流れる天然クーラーで涼をとった りして.9:20分上高地着。マガモと岩魚の泳ぐ河畔を下り河童橋で終点。最後はやっぱりおやきで〆めました。(G氏は上高地コロッケなるものでしたが・・。)

帰途、沢渡から白骨温泉に回り、煤香庵というところで温泉に入り、温泉入浴後、そこでもビールと日本酒を嗜んだことはいうまでもありません。
なにやら、温泉登山部は、温泉登山グルメ部になってきたような気がしないでもありませんが、なにせリーダー以下とても気持ちの良い仲間と一緒なのでどんな状況でも楽しい山行になります。次の山行が楽しみです。


最後まで駄文をお読みいただきありがとうございました。