伊坂幸太郎「マリアビートル」角川書店刊 平成22年
マリアビートルとはてんとう虫のことである。
畏友が貸してくれた本の中で比較的多く入っているのが、伊坂幸太郎でだ。今までのものはなにかフワフワしてつかみ所のないような構成のものが多いような気がした。作者の著書7,8冊目にして「お!これはっ」と感じた。小説の構成も、4,5組の登場人物が同時スタートで
色々な小事件を起こす。それが東北新幹線の中へと舞台が移り、ひとつのストーリーに収斂されていくという構成で、気が利いている。小賢しい中学生がその中心にいて、大人を翻弄するのも面白い。
あくまでもエンターテイメントなので、終盤、呆気無く登場人物が殺されてしまうが、その分気楽に読める。人物描写も個性豊かだし、特徴がよく出ている。「機関車トーマス」を知っていればもっと面白く読めるかもしれない。