遅いことは猫でもやる

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上質の物語

2014-01-12 15:01:54 | 



原田マハ「楽園のカンヴァス」新潮社刊
この処寒さが厳しいので、つい外出が億劫になり、ついつい家で本を読み耽ることが多くなる。その中で傑作に出逢った。

第25回山本周五郎賞受賞作品。帯に”2012年ナンバーワンの声”と記されている。
ピカソと同時代に活動したアンリ・ルソーの作品を巡るドラマである。

95歳に届こうかという伝説のコレクターと、26歳でソルボンヌ大学の博士号を取得した美術史専攻の美貌のルソー研究家、もう一人は同じルソーの研究家で、ニューヨーク近代美術館のサブ学芸員の二人が、コレクターの所蔵する、まだ世に出ていないルソーの作品の真贋を鑑定する。しかも古書に記されたそれにまつわる物語を読み進めながら、という構成である。ピカソを始めとする実在の人々も登場し、まるで「ビブリア古書店の事件簿」のような知的なゲームを彷彿とさせる。

物語の構成が複雑すぎず、シンプル過ぎなく、ストーリー展開のテンポが快く気持ちが良い。絵画に対する思い入れが程よく描かれている。古書を一日一章ずつ6日間にわたって読み進めて行き、絵画の真贋に資するという構成もシャレている。最後の謎解きも「永遠の0」の時のようで面白い。傑作と言って良いと思う。お薦めである