遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
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おどろおどろしい

2014-01-20 17:01:06 | 


百田尚樹「モンスター」幻冬舎文庫 H24年刊

こう寒いと暖房のきいている部屋を離れたくない。読書にせいがでる。

今もっとも売れている作家の作品。
稀代の醜女が悲惨な青春時代をすごし、短大を卒業して製本会社に就職し、美容整形の存在を知る。手術によって一歩一歩美人への階段を登り、やがて絶世の美女へと変身する。それにつれ周りの自分に対する反応が少しずつ変わってくる。男の女性への対応が外見でいかに変わってくるか、本音はどこにあるかなどが、あますところなく暴かれる。主人公はそれを冷徹に見据え、あざ笑うかのように手玉に取る。主人公の行動と復讐心理は戦慄的といってもいい。

さすが百田と思うのはその舞台作りの旨さだ。プロの作家である。又男性でありながら女性心理(特に怨念)を抉りだすように描いているのが凄い。
エンターテメントとして一級であろう。

組織は腐敗する

2014-01-20 07:28:59 | 


横山秀夫「半落ち」講談社 2002年刊

友人が貸してくれた本で、刈谷に持ってきた本を読み尽くしたので、久しぶりに図書館に通い何冊か借りてきた。その内の一冊。

警察機関の内幕の描写では定評のある著者の作品。今回もその範疇だが、組織は警察内部と検察の主導権争いだ。いずれもマスコミ対策がかなり影響があるように書かれている。これが本当だとすると、マスコミはかなり重要な役割を果たしていることになる。特定秘密保護法が彼等権力にとって望まれるわけだ。

「半落ち」とは「完落ち」に対する警察用語で自白をまだ十分にしていない状態のこと。
ストーリーは定年間近で、教育掛かりを務める温厚な警部がアルツハイマーの妻を殺して自ら出頭するが、犯行後の2日間についてはガンとして口を割らない。その二日間に何があったのかをめぐり、警察と検察のメンツをかけた争いが展開する。何処の組織にもゴマすりと正義漢は存在する。その辺りの描写はややありきたりだが分かりやすい。

刑事、検察官、裁判官、新聞記者、刑務所管理官関わってくる構成も面白い。それぞれの立場にあるものが、それらしい考え方で行動する。
しかしながら、組織はいつもこんな具合に腐敗してゆくのだろうか。それでも現場はいくらか良さを保っているのだが・・。