ブログ「風の谷」  再エネは原発体制を補完する新利権構造

原発事故は放射能による公害。追加被曝阻止⇒放射性廃棄物は拡散してはいけない⇒再エネは放射能拡散につながる⇒検証を!

福島県全域から汚染木材を集めて加工するCLT工場を、あの大熊町に建設。木の中心部分の汚染は2000bq/kg!

2015-06-29 | CLT バイオマス 木

 CLTとはCross Laminated Timberの略称で、ひき板を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大判のパネルを示す用語。

日本では2013年12月にJAS(日本農林規格)が制定されました。JASでのCLTの名称は、「直交集成板」となっています。

CLT生産拠点 県来年度にも着工 大熊が有力 

福島民報 2015/06/20 09:24 

 県は東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域に、国内最大規模となる建築用のCLT(直交集成板)生産工場を整備する。被災地の産業振興と県内全域の林業再生を目指した取り組みで、東京五輪・パラリンピックの関連施設で製品が活用されるよう国と調整する。大熊町が復興拠点に位置付ける同町大川原地区が工場の設置場所として有力視されており、平成28年度にも着工する。 

■東京五輪活用目指す
 19日に開かれた6月定例県議会本会議の代表質問で、柳沼純子議員(自民党、郡山市)の質問に小野和彦県農林水産部長が答えた。 
 東日本で初のCLT生産工場となり、国内最大級の年間5万立方メートルの出荷を目指す。 
 県は7月中に産学官による検討会を設け構想を具体化する。県内の建設業者などでつくる県CLT推進協議会、原発事故に伴い避難区域が設定された12市町村、復興庁、木材を扱う民間企業などが参加する予定で、27年度は工場の設置・運営主体を決め、設置場所を選ぶ。国内外で需要調査に取り組む。 
 設置場所として浮上している大熊町大川原地区居住制限区域だが、30年度に開設予定の常磐自動車道大熊インターチェンジ(仮称)に近く、高速道路を使い県内全域からCLTの原料となる木材を集めやすいというメリットがある。 
 早ければ29年度内の完成を目指す。東京五輪・パラリンピック選手村の宿舎などに活用するよう政府に求める。災害公営住宅での導入も検討する。 
 県は原発事故に伴う県産材への風評対策として、生産工場に木材のモニタリング設備を設ける方針だ。 
 国内林業の成長産業化を目指す国土交通省と林野庁は昨年11月、CLT普及のロードマップを発表。36年度までに、CLTの国内年間生産量を現在の1万立方メートルから50万立方メートルまで増やす方針を掲げている。 
 県CLT推進協議会は今年2月、湯川村に東日本初となるCLT共同住宅を建設した。竹下亘復興相や今井敏林野庁長官らが相次いで視察し、本県での取り組みを支援する考えを示した。 
 県林業振興課は「CLT産業の先進地を目指し、林業再生につなげたい」としている。 
 国内では岡山など西日本の3県でCLT生産工場が稼働している。 


(管理人より) 以前にCLT(直交集成板)の記事を書きました。

汚染状況重点調査地域でCLTの実証事業。福島産の木材が岡山県の工場でCLTに加工される! 

↑記事を読んでいただいたら今回のCLT工場の件がよくわかるかと思います。

ついに、福島県全域の木材を使うと堂々と宣言し、福島県産木材の放射能汚染を懸念する声が上がることに対して「風評」と福島民報は報じました。

何度も言っていますが、設置場所として浮上している大熊町大川原地区は高濃度放射能汚染地で居住制限区域。そのようなところで更に福島県全域の木を集めてCLTを生産しようというのです。残渣はペレットなどに加工されるでしょう。

ここで 森敏 東京大学農学部名誉教授の6/3付のブログ記事をご覧下さい。☟全文転載

    

スギの心材の中央部分に放射能が集積しつつある、というデータが出始めた。

以下の1,2の二つの報告は福島のスギの心材の中心部分の放射性セシウム濃度が高くなっているという検査結果で一致している。この放射能が、樹皮や維管束部分から中心軸に向かって、集積しているのか、それとも、根から移行してきているのかが、興味あるところである。心材の中心部分を縦に切って、放射能の立体分布を示す必要が出てきたと思う。そういう研究は森林総研が明日にでも、じゅうたん爆撃的にできることだと思うのだが。それともすでに農水省からの公式のデータがあるのだろうか?(小生が見過ごしているのかもしれないが)


1.(飯舘村/福島再生支援東海ネットワーク事務局 からの転載)

スギの芯部からセシウムが検出される!

広島大が蕨平のスギを伐倒後輪切りにしたものを計測したところ、中心部からセシウム合計1,279 ベクレル/kg(134 が293、137 が986)を検出したとのことであった。

ちなみにこのスギの樹皮部はセシウム合計2,915 ベクレル/kg、そのすぐ内側の篩部では同2,493、1〜3 年層で479、4 年以内層で320

これで見ると中心部の方が樹皮、篩部を除く外側より濃度が高いということになってくる。

これを紹介して頂いた飯舘村のI さんによれば、中心部のカリウム40 の濃度も高い(樹皮30 に対して77)ことから、経時変化でカリウム同様セシウムを中心部に集めてくる性質があるのでは…と。

同じサンプルを頂いて、こちらでの計測もすることとし、改めて秋口でのサンプル採取の必要を確認(2011 年冬のサンプリングでは中心部は全く検出されず)。

それにしてもこれが事実とすれば、将来の福島産木材は全く利用不可ということになってしまう。極めて深刻な事態と言わねばならないだろう。



 
2.(「ふくしま再生の会」のホームページからの転載)   

ふくしま再生の会では、多くの樹木の断面の放射性セシウム測定データを持っており、杉に関しては原発事故3年半後にして、心材の中心部分が放射能が高くなってきていることには再現性があるとのことである。以下に一例を示した。この図は輪切りの断面を、中心線に沿って一定幅で切り取ったものを、周辺から順次測定している。図の縦軸の9,10番目当たりが中心部分にあたる。



(森敏)

追記:われわれは2012年にすでに、スギではないが、ウルシの樹液の中でCs-134,Cs-137が体内をめぐっていることを以下の論文にしている。カリウム(K-40で測定)と動態は異なっていた。最初に樹皮に付着した放射性セシウム(2011年3月15日に最初にプルームが通過した時には落葉樹であるウルシの樹は全く葉が無かったので)と、根から吸収されたり体内にすでに蓄積しているカリウムとは、体内での動きが異なるのである。この論文はgoogle scholarから入って無料でダウンロードできます。 

Satoshi Mori , Akira Hirato , Keitaro Tanoi , Kouki Takeda , Takashi Yamakawa and Hiromi Nakanishi (2012) Radioactive cesium flow inRhus vernicifera.  Soil Science and Plant Nutrition. 58, 611-617.

 

 森敏 東京大学農学部名誉教授は、福島県内のデータをもとに、福島の木の心材の中心部分の放射性セシウム濃度が高くなっていることを指摘しています。セシウムがどのように移行してきたのかは不明ですが、経年で放射性物質が中心部に移動したことは明らかです。

さらに、森教授がグラフを引用していたサイト、「ふくしま再生の会」を見て驚いたのでデータを転載します。

 

 

 

原発事故直後は樹皮の汚染だけだったのが、時間が経って、木の内部にまで汚染が入り込んでいることがわかりますね。中心部で最大2000ベクレル/kgもあります。

私は木が汚染された水を吸い上げるからではないかと考えました。つまり、放射性プルームによるフォールアウトが土壌を汚染し、地下水を汚染し、その水を地中から吸い上げた木が内側から汚染されていく。どんなに表面の樹皮を剥いても、中の木の部分も汚染されてしまっている木。

そのように汚染された木をCLTに加工してもいけないし、燃やすことが前提のペレットなどの木質バイオマスのチップにしてもいけないと思います。モニタリングをすればいいというものではありません。

食べて応援と同じように「測って安心」にしようという意図でしょうが、基準値を高くして少ないサンプリング検査、セシウムのみの検査、さらにインチキの排ガス検査などモニタリングに信頼など置けません。

もうすでに、上のようなデータが出ているわけですからこのような事業を進めることは本来おかしいはずです。

汚染木の木材加工品を全国に流通させるということは、汚染高⇒汚染低 といった放射性物質の移動を意味します。

「復興」「再生」という看板を掲げることで、事業に対して文句を言わせない仕組みにされているのです。2000ベクレル/kgの木をペレットにして燃やしていいはずがありません。

放射性物質は集中管理が基本であるにも関わらず、放射性物質を移動・拡散することになります。震災がれき広域処理の時と同じです。

放射能汚染が明白な福島県で、木材加工の工場を建てるなどという、こんな間違った政策を進めているのが、やはりこのプロジェクトです。

 

 農林水産分野イノベーション・プロジェクト 第1次とりまとめ 平成27年6月1日 農林水産分野検討分科会


 

 

ここでも、「木質バイオマス発電」、「植栽ロボット」といった文言が出てきています。発電施設の建設も導入されることが書かれていますので、

「再生可能エネルギー」や「ロボット」開発関連の補助金が使われるということです。

再エネメーカー=原発メーカー=原子力ムラ

 

大熊町などの汚染地域に再エネ関連施設の建設を公共工事として行うことは、原子力ムラ企業にとって、放射能汚染を隠蔽できる、再エネやロボットで儲ける、再エネで原発を温存できるといった点で何重にもおいしい事業なのです。

しかし市民にとっては公害事業。

●放射能廃棄物(汚染木質バイオマス)を燃やされて、被曝を追加される

●膨大な税金が再エネに流れて、避難と真逆の方向になる

●結果的に住民を汚染地域におしとどめることになる

 

被曝回避を言う脱原発市民、脱原発有名人、脱原発有名ブロガーが、このようなCLT工場の間違いを指摘しないのはなぜでしょうか?

 

福島県だけの問題ではないということが浮かび上がります。

被曝回避、震災がれき広域処理反対派市民は、このCLT問題になぜ口を閉ざしているのでしょうか?

被曝と再エネがつながっていることに目をつぶっては何も解決しないと思います。


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