自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆コロナ禍 1億人の感染・200万人の死 

2021年01月17日 | ⇒メディア時評

   時折チェックしているジョンズ・ホプキンス大学のコロナダッシュボ-ドによると、新型コロナウイルスの感染者は世界全体で累計9449万人、死者は同202万人となっている(日本時間で7日午後4時現在)=写真=。この勢いだと今月中には感染者は1億人を突破するだろう。このとき、世界の論調はどう動くのか。

   国別ではアメリカの死者が累計39万人超で最多だ。アメリカに次いでブラジル、インド、メキシコ、イギリスとなっている。この5ヵ国を合わせた死者数は世界全体のほぼ50%を占める。こうした数字からもアメリカは中国に対して厳しい論調を突き付けている。

   新型コロナウイルスの発生源などについて調べるWHOの調査チームが14日に中国・武漢に入ってのに合わせて、アメリカのポンペイオ国務長官は、中国科学院武漢ウイルス研究所に関する「新たな情報」として声明を発表した(1月16日付・NHKニュースWeb版)。ポンペイオ氏は「アメリカ政府には、感染拡大が確認される前のおととし秋、研究所の複数の研究員が新型コロナウイルス感染症やほかの季節性の病気とよく似た症状になったと信じるに足る理由がある」と主張。加えて、「研究所は新型コロナウイルスに最も近いコウモリのコロナウイルスを遅くとも2016年から研究していた」「中国軍のための極秘の研究に関わっていた」と発表している(同)。

   ポンペイオ氏の言及の背景には裏付けがあると憶測する。アメリカのハーバード大学教授が中国政府からの学術・研究協力の名目で多額の研究資金などを受け取っていたことを報告していなかったとして、アメリカ司法省は2020年1月下旬、教授を「重大な虚偽、架空請求、詐欺」の容疑で訴追(逮捕は2019年12月10日、その後、21種類の生物学的研究を中国に密輸しようとした罪で起訴)している。教授はハーバード大学化学・化学生物学部のチャールズ・リーバー氏で、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野で世界最先端の研究を行っている化学者。リーバー氏は中国の武漢理工大学の「戦略科学者」として2011-16年までの雇用契約を結んでいた(2020年2月6日付・ニューヨーク・タイムズWeb版記事「China’s Lavish Funds Lured U.S. Scientists. What Did It Get in Return?」)。   

   リーバー教授は「武漢理工大・ハーバード大共同ナノテクノロジー研究所」を設立。教授がアメリカ国防総省と国立衛生研究所から研究資金を受け取っていたころ、武漢理工大学に出向いていた。アメリカ側はその後の捜査で、リーバー教授から証言を得ていると考えても不思議ではない。こうした証言をベースに、ポンペイオ氏は「研究所は新型コロナウイルスに最も近いコウモリのコロナウイルスを遅くとも2016年から研究していた」「中国軍のための極秘の研究に関わっていた」などと述べたのではないだろうか。

   WHOの調査チームには、ウイルスのサンプル調査だけでなく、中国での内部告発者からのヒアリングなど徹底した調査を行ってほしいと願うのはアメリカだけでなく世界の要望だろう。

⇒17日(日)午後・金沢の天気  あめ


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