自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登さいはての国際芸術祭を巡る~10 日常とハレのアート

2023年10月23日 | ⇒トピック往来

   これがアートと言えるのだろうかと思うが、アートと言われればアートに見える。そんな不思議なアートだ。地域の商店街には個性的な看板文字が並ぶ。それを「のらもじ」と名付けて、デザイン的な魅力を見出すチームがある。デザイン・アーティストである下浜臨太郎、西村斉輝、若岡伸也ら3氏による「のらもじ発見プロジェクト」。確かに、商店街の看板文字は独特だ。刃物の店は尖った感じの文字に、ホビーの店は丸みを出して楽しそうな=写真・上=。地元の人々にとっては見慣れたものかも知れないが、文字そのものが土地の風土になじんで個性が光る。

   プロジェクトでは、珠洲市飯田町の商店街の看板から採集した文字から書体をつくり出し、スタンプを制作。鑑賞者は専用ポストカードを持ち商店街を巡ることで、街歩きも楽しみながらこの場所ならではのユニークな文字に出会うことができる。

   能登半島は土地柄、地味なイメージだが、祭りのときは派手な衣装をまとって祭りのメイン行事でもあるキリコを担ぐ。珠洲ではその衣装をドテラと呼ぶ。これを男衆が着て、キリコを担いで街中を練り歩く。ベネズエラ出身のドイツのアーティスト、ソル・カレロ氏はかつて祭りの衣装などを扱っていた衣料店をリノベーションオして、作品として仕上げた。『La tienda Maeno』。いくつかの作品の中で目立つのが、壁に掲げられたドテラと床のカラフルな色のペインティングだ=写真・中=。特定の場所の特性を活かして制作する表現を「サイト・スペシフィック・アート」というそうだ。この作品はまさに珠洲の祭り文化と衣装店から構想を得て、表現したものではないだろうか。

    コロンビア出身でシドニーを拠点に活動するマリア・フェルナンダ・カルドーゾ氏の作品『種のタイムカプセル』。かつて保育所であった場所に、珠洲に自生する松ぼっくりやツバキなどの実を用いてインスタレーションを描いている。床に置かれたこれらの実は、子どもたちでにぎわう光景をイメージする=写真・下=。種を守り、育むことがタイムカプセルなのだと表現している。

⇒23日(月)夜・金沢の天気    くもり


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