自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆タカサゴユリは敵か味方か

2019年08月22日 | ⇒トピック往来

   わが家の庭にタカサゴユリ(高砂ユリ)が咲き始めた。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」の花の美しさは見事だ。ヤマユリのような高貴な香りはないが、人目をひく花だ。

    タカサゴユリをよく見かけるのは斜面地で、日陰でも日なたでも同じように咲いている。肥料分の少ない斜面地でもすくすくと繁殖するチカラ強い植物である。植えた覚えはないので、おそらく種子が風に乗ってやっきて、わが家に落ちて育ったのだろう。旧盆が過ぎたこの時節は花の少ない季節で、茶花として重宝している。雑草の力強さ、そして床の間を飾る華麗さ。なんとも、したたかなタカサゴユリではないか。 

    しかし、立場が異なればタカサゴユリは外敵、目の敵だ。国立研究開発法人「国立環境研究所」のホームページには「侵入生物データベース」の中で記載されている。侵入生物、まるでエイリアンのようなイメージだ。これによると「和名」はタカサゴユリ、 ホソバテッポウユリ、 タイワンユリ、「学名」はLilium formosanum、「英名」はFormosa lilyだ。「自然分布」は台湾で、「生息環境」は荒地、道端、堤防、高速道路法面、温度選好性、亜熱帯~温帯とある。「繁殖生態」は風媒花、自家受粉可、種子を大量に風散布、 繁殖期:花期は7~9月。ここからが敵対的な表現だ。「生態的特性」として、日当たりの良い法面や道路わき、空き地などに侵入する、とある。「侵入経路」として、観賞用として導入、高速道路法面などでよく見かけるようになった、と。「侵入年代」は1923~1924年、「影響」として、在来種と競合、ウイルス媒介、交雑、影響を受ける生物:在来植物とある。

    「防除方法」は緑化資材にしない、抜き取り刈り取り。面白いのは「備考」だ。「近年各地で繁茂しているが花がきれいなためなかなか駆除されない。少なくとも外来種であることを周知する必要がある」と。そのきれいな容姿に国民はだまされてはいけない。「侵入生物」であることをもっと宣伝して駆除せねば、との苦々しい思いが伝わる文章ではある。

⇒22日(木)午前・石川県珠洲市の天気     あめ     


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★夏の甲子園、場外論戦 | トップ | ★寝不足の「甲子園レジェンド」 »

コメントを投稿

⇒トピック往来」カテゴリの最新記事