自在コラム

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★鯛の唐蒸しの誤解

2013年02月08日 | ⇒メディア時評
  金沢では、郷土の伝統料理のことを「じわもん」と呼ぶ。治部煮(じぶに)は結構有名でお手軽料理かもしれない。そぎ切りにした鴨肉を小麦粉をまぶし、だし汁に醤油、砂糖、みりん、酒をあわせたもので鴨肉、麩(金沢の「すだれ麩」)、しいたけ、青菜(せりなど)を煮て煮物碗に盛る。肉にまぶした粉がうまみを閉じ込め濃厚な味にある。これまでじわもんを結構味わったつもりだったが、誤解もあった。


 前々回に紹介した金沢の料亭「大友楼」でいただいた「鯛の唐蒸し(たいのからむし)」=写真=が誤解の一つだった。二匹の鯛の腹に卯の花(おから)を詰めて大皿に並べたもの。婚礼に際して供される料理。、「にらみ鯛」や「鶴亀鯛」と呼ばれることもある。嫁入り道具とともに花嫁が持参する鯛を、婿側が調理して招待客にふるまうのがならわしである。子宝に恵まれるように、銀杏・百合根・麻の実・きくらげ・人参・蓮根などを入れた卯の花を鯛の腹一杯に詰め、雌雄二匹の鯛を腹合せにして並べる。これまで、知人や同僚の婚礼の披露宴に出席して、何度か口にした。が、正直見栄えだけ豪華でおいしくない料理との印象が残っていた。それが誤解だった。

 大友楼で、食事を運ぶ仲居さんからこう説明された。「おからを召し上がってくださいね。タイよりおからがおいしいのですよ」と。その通りにした。なんと、あのおからが芳醇な香りと旨味のする、まるで鱈子の煮つけのように味わい深い。そして、麻の実がほどよい歯触りのアクセントになっているのだ。そして、鯛の身はというとこれまで味わってきた味気のない、脂の抜けた身なのである。つまり、蒸す過程で鯛の肉の旨味がおからに吸収されているような感じだ。

 婚礼料理と聞いていたので、「めでたい」鯛が主役だと思って、これまでおからには手を付けなかった。つまり、パサパサの鯛の身ばかり食べていた。おからは鯛を膨らませ、大きく見せる「演出」だと思っていたのである。知らなかった。見栄えは鯛、味はおからなのである。くだんの仲居さんは「そのような方は土地(金沢)の方でも多いですよ」と。主役は鯛だと勘違いして、鯛の身ばかりをつまんでしまう。どちらかというと男性の客に多いそうだ。

 ところで、「唐蒸し」の由来だが、「おから蒸し」がいつの間にか「から蒸し」となった説、また、長崎を訪れた加賀藩の留学生が中国料理風の鯛のけんちん蒸しの調理法を持ち帰ったことが「唐蒸し」となったとする説などいくつかある。

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