自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★2020秋の胸騒ぎ~上

2020年08月20日 | ⇒ドキュメント回廊

  2020年の年初では、区切りの良い年だと期待していたが、新型コロナウイルス感染拡大など世界史に残るとんでもない年になっている。猛暑が続くとは言え、季節はそろそろ夏から秋に移ろう。ただ、果たして秋晴れのさわやかな日常に戻るのかどうか。考えすぎかもしれないが、2020年秋はいろいろと胸騒ぎがする。

   「5G」対面動画、集団詐欺の新たなステージに

   きょうの午前中、知人の名前でパソコンにメールが届いた。「〇〇▽▽.Nike」という名前で、〇〇▽▽が知人のフルネームだ。知人はメールアドレスが抜き取られたに違いないかと直感し、メールを削除した。それにしても、企業名と知人名をセットにした巧妙な手口だ。以前も、自身のスマホのSMSに「お荷物のお届けにあがりましたが不在のため持ち帰りました。ご確認ください」と、宅配業者の不在通知のようなショートメールが届いた=写真=。その文字の下にURLがあった。どんな荷物が届いたのかと、そこにアクセスすると何も映らなかった。その瞬間、「やられた」と気づいた。即キャンセルをかけた。SMSを使った詐欺メール、「スミッシング詐欺」だ。

   その後、スマホには覚えのない電話番号からの着信が数度あった。こちらから電話をかけることはしなかったが、この詐欺メールは実に巧妙だ。というのも、荷物が着払いの場合は宅配業者から事前に荷物を届ける旨の電話がある。普通、荷物には届け出先の携帯番号が記されているので不在の場合、SMSメールがあっても不自然には感じない。その常識範囲の盲点を突いた詐欺メールだ。

   こうした詐欺がこの秋からさらにステ-ジアップして活発化するのではと憶測する。高速大容量と多数同時接続の通信システム「5G」がこの秋から本格的に普及し始め、キャリア各社も5G対応機種を発売している。その背景には、テレワークが一般化すると同時に、スマホでのZoom会議の需要が出てきたからだ。気心が知れた者同士の会話や、組織のリモート会議に使う分にはよいが、新たな詐欺だってありうる。

   たとえば有名証券会社の名を語った投資話がスマホのメールを通じて入り、Zoomで参加すると「犯人」は複数で劇団のようにそれぞれが投資家、ファイナンシャルプランナー役、弁護士役などの役柄を分担し、あの手この手で騙されるといったことにもなりかねない。あるいは人生相談、婚活、就活などスマホ面談という詐欺が横行するかもしれない。対面動画によるリアリティ性に人は騙されやすいのだ。

   ここで思う。スマホでの詐欺に対策の手を打つべきはキャリア、つまり携帯電話会社ではないか。事例としてはそぐわないかもしれないが、SNSではすでにフェイクや不適切な発言内容について規制をかけている。キャリアとして対策を打ってほしい。個人の責任論ではもう済まない時代にきているのではないだろうか。

⇒20日(木)午後・金沢の天気     はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする