自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆無常なるかなGDP「マイナス27.8%」の衝撃

2020年08月17日 | ⇒ニュース走査

    能登へマイカーで盆帰省したが、道路は例年のこの時季に比べはさほどの渋滞ではなかった。新型コロナウイルスの感染拡大で帰省を見合わせた人も多くいたのではと推測する。もう一つの要因は、例年ならば列を連ねるように見かける観光バスをほとんど見かけなかった。能登は夏場の観光需要は高いが、ことしはかなり落ち込んでいるのではないだろうか。

   さきほど午前9時、内閣府はGDPの速報値(4-6月)を発表した。物価変動の影響を除く実質で前期比マイナス7.8%、このペースが1年間続くと想定した年率換算ではマイナス27.8%減だ。リーマンショック後の2009年の1-3月のGDPはマイナス17.8%だったので、それを大幅に超えたことになる。

   すでに民間のシンクタンクは4-6月期の実質GDPは前期比年率換算でマイナス27.9%と算定し、リーマンショック後を超えて最大の落ち込みになるだろうと予測していた(7月31日付・日本総合研究所公式ホームページ)。これで、3四半期連続のマイナス成長となる。昨年10月の消費税増税からマイナス成長が続き、それにコロナ禍が追い打ちをかけたかっこうだ。

   リーマンショックどころではない、世界恐慌の様相を呈してきたのではないだろうか。ことし4月から6月までのGDPの伸び率は、アメリカが年率換算でマイナス32.9%となるなど、世界で歴史的な落ち込みとなっている。まさに、「コロナ恐慌」の前兆だ。

   この数字は冒頭で述べたような実感として伝わる。民間シンクタンクは、大幅なマイナス成長の要因について、政府の緊急事態宣言や自治体の休業要請の下、外食や旅行を中心に個人消費が大幅に落ち込んだことや、自動車の輸出が減少したことなどを挙げている。

   では、第2四半期(7-9月)の展望はどうか。先の日本総研は以下予想している。コロナ禍による内外の活動制限緩和を受けて持ち直しに転じるものの、V字回復は期待薄。7月入り後の感染再拡大を受けて、国内の小売・娯楽施設への人出の回復が頭打ちとなるなど、消費の回復力は脆弱。入国制限の緩和は当面、一部の国からのビジネス目的に限られるとみられるなか、インバウンドも実質ゼロの状況が続く見通し。さらに、進捗ベースで計上される住宅や建設などは、今後一段と悪化する見込み。

   先行きが暗い。パンデミックの経済リスクが数字として顕在化してきた。ふと庭先を眺めるとムクゲの花が夏の日差しに映えて活き活きとしている=写真=。花は毎年変わらず咲くが、人の世は変わってしまう。先人たちはこれを「無常」と称した。「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」(平家物語)

⇒17日(月)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする