自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆読売調査、内閣不支持54%の暗雲

2020年08月10日 | ⇒ニュース走査

           読売新聞社の世論調査(今月7-9日実施)で、安倍内閣の支持率は37%で前回調査(7月3-5日)の39%から下がり、不支持率は54%と前回52%より高くなった。不支持率54%は2012年12月からの第2次安倍内閣では最高となった(8月9日付け・読売新聞)。読売新聞の調査でこの数字だ。安倍内閣の正味期限はすでに切れているのかもしれない。

   読売の調査で不支持が50%を超えたことは2012年12月の第2次安倍内閣発足以降で3度あった。直近では2018年4月調査で53%。森友学園への国有地売却や財務省の文書の改ざんをめぐる問題が沸騰したころだ。2017年7月調査では52%。森友・加計学園問題などでの批判の高まりと、小池都知事が率いる都民ファーストの会の都議選で圧勝で、不支持が前回から11ポイントも跳ね上がった。2015年9月調査で51%。このときは安全保障関連法で世論が揺らいだ時期だった。

   では、今回の不支持の高まりの理由は何なのか。やはり、新型コロナウイルス対策についての無力感だ。ウイルス対策を巡る政府のこれまでの対応を「評価しない」は66%で、前回(7月調査)の48%より上昇、「評価する」は27%で前回45%より大幅に下がった。そして、安倍内閣がコロナ対策の指導力を発揮していると思わない人が78%にも上っている(同)。

   今では店頭でのマスク不足は解消され、自由に購入できるのに、さらに8000万枚、118億円もの布マスクを介護施設などに追加配布するとのニュースが7月下旬に流れて、呆気に取られた。 7月22日から始まった「Go To キャンペーン」の混乱も不支持率の高まりに影響しているのだろう。

   ただ、今回の読売調査で内閣支持は前回から2ポイント下がったとは言え、37%ある。さらに、今回の調査で「同じ人が長く首相を続けることは、日本にとって、プラスの面が大きいと思いますか、マイナスの面が大きいと思いますか、それとも、プラスとマイナスの面が同じくらいだと思いますか」がある。最も多かった回答が「プラスとマイナスの面が同じくらい」で42%だ。長期政権は必ずしもマイナスではないというイメージを持っている人が多い。政党支持率は「自民党」33%、「立憲民主党」5%、「支持する政党はない」46%と前回とほぼ同じだ。

   安倍政権は不支持が57%もあるものの、政権から引きずり降ろすべきだとの強いメッセージをこの世論調査からは読み取れない。どちらかというと、「安倍さん、これまで頑張ってきたけれど、そろそろ降りるべきですね」くらいのニュアンスか。

   内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」とされる。第2次安倍内閣での支持率の最低は2017年7月調査の36%だ。第1次安倍内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売の内閣支持率は29%だった。これに比べるとまだまだ余裕だ、と本人は思っているかもしれないが、安倍内閣に暗雲が垂れ込めてきたことは間違いない。

⇒10日(祝)午後・金沢の天気     はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする