昨年12月30日にレバノンに逃亡し物議をかもしたカルロス・ゴーンという人物はとてもマスクが似合う。昨年3月6日、一回目の保釈で東京拘置所から出てきた姿は、青い帽子に作業服姿、顔の半分以上はマスクで隠していた=写真=。その場を逃げるような姿だった。なぜ、このような姿で拘置所から出てくる必要性があったのだろうか。この作業服を着た意味は何か、と思ったものだ。このとき、保釈金10億円を納付したのだから堂々と出てきて、記者会見をすればよかったのではないか。もともと逃亡癖があったのだろうか。
ゴーン被告の逃亡先レバノンはこのところ災難続きだ。首都ベイルートの港湾地区で現地時間で4日、大規模な爆発が連続して発生し、100人以上が死亡、4000人以上が負傷した(8月5日付・共同通信Web版)。日本人1人も軽傷を負っているという。レバノンの首相は演説で、倉庫が6年前から危険な状態で放置されていたと指摘し、原因究明を約束した。2700㌧の硝酸アンモニウムが貯蔵されていたとみられる(同)。テレビ映像でもこの爆発シ-ンを視聴したが、「まるでこの世の終わり」と思うほどすさまじい大規模爆発だった。
ゴーン被告の住宅も被害を受けたようだ。妻のキャロル・ナハス容疑者(偽証容疑で逮捕状)が「私たちは大丈夫だが、家は壊れた。ベイルート全体が壊された」と話している(8月5日付・NHKニュースWeb版)
もう一つの災難。レバノン政府は3月7日、償還期限を迎える外貨建て国債12億㌦の返済について、財政難を理由に見送ると発表した。レバノンがデフォルト(債務不履行)に陥るのは初めて。同国は長年の汚職や政情不安を解消できず、深刻な財政危機に見舞われている(3月8日付・時事通信Web版)。財政悪化に苦しむレバノン政府は昨年10月、通信アプリの無料通話への課税案を発表したが、市民の抗議デモを受けて撤回。その後、国際送金や米㌦預金引き出しを制限したももの、通貨レバノン・ポンドの急落を招いた。反政府デモで暴徒化した市民と治安部隊の衝突も起きた(同)。
ゴーン被告はおそらく浮き浮きとした気分で逃亡の成功を祝ったことだろう。その後、降りかかる災難と国内の政情不安をどう見ているのか。国際手配されていて他国に逃げようがない。まさか、日本で裁判を受けていればよかったなどとと後悔してはいまい。
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