自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「春節のパンデミック」

2020年01月24日 | ⇒メディア時評

         中国の衛生当局はきょう24日、武漢市で感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎の患者数が830人、死者は25人に達したと発表した(24日付・日経新聞Web版など)。一方、WHOは23日の緊急会合で、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言は時期尚早との判断を下した。前回のこのブログで取り上げたが、中国の発表のタイミングが絶妙で、「WHO対策」は実に巧妙だ。

   WHOが緊急会合を開き、新型コロナウイルスの状況が国際的に拡大、他の国に公衆衛生上の危険をもたらし、国際的な対策の調整が求められると判断されれば、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」として、事務局長が緊急事態を宣言することになる。これは、中国にとっては非常に不名誉なことになると中国指導部は考え、緊急事態宣言はなんとしても避けたかったのではないか。

   そこで、WHOが22日にジュネーブの本部で緊急会合を開き、コロナウイルスへの対応を協議することを発表した日(20日)に、習近平国家主席が情報を直ちに発表するよう関係部門に直接指示を出した。22日のWHOの緊急会合では結論が出ず、23日に継続協議で時期尚早との判断が出たのを確認して、今回の新たな数字を公表したのではないか。

            コロナウイルスの問題性は次なるステージに入ってきた。きょうから始まった中国の春節連休の「大移動」で、日本でもニュースが飛び交っている。沖縄・那覇市のドラッグストアでは、PM2.5やウイルスを99%カットするなどの記載がある高機能マスクを200個を入荷したが、中国人観光客の購入でその日で完売した(24日付・沖縄タイムスWeb版)。

    旅行で東京を訪れていた武漢に住む40代の中国人男性が、来日する前の今月14日から発熱があり、22日になって東京都内の医療機関を受診したところ、肺炎の兆候がみられたため入院、24日未明に新型コロナウイルスに感染していることが確認された(24日付・NHKニュースWeb版)。春節のパンデミックが始まったか。(※写真は厚生労働省のホームページより)

⇒24日(金)午後・東京の天気   くもり   

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