自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★2020 先読み~逃げ癖

2020年01月04日 | ⇒トレンド探査

     先月30日レバノンに逃亡したことで物議をかもしているカルロス・ゴーンという人物はもともと逃げ癖があったのではないか。昨年3月6日、一回目の保釈で東京拘置所から出てきた姿は、青い帽子に作業服姿、顔の半分以上はマスクで隠していた。その場を逃げるような姿だった。なぜ、このような姿で拘置所から出てくる必要性があったのだろうか。この作業服を着た意味は何か、と思ったものだ。このとき、保釈金10億円を納付したのだから堂々と出てきて、記者会見をすればよかったのではないか。逃げ癖は、虚言を吐いたり、変装で身を隠したりと、現実逃れをやってのける。   

   ゴーン氏の逮捕は、有価証券報告書に自身の役員報酬の一部を記載しなかったとして金融商品取引法違反で2回。さらに、日産に私的な投資で生じた損失を付け替えたとする特別背任で3回目の逮捕。4度目の逮捕容疑は、ゴーン氏が中東オマーンの販売代理店に日産資金17億円を支出し、うち5億6300万円をペーパーカンパニーを通じてキックバックさせて日産に損害を与えた会社法違反(特別背任)だ。このオマーンの販売代理店を経由した資金のキックバックは、フランスのルノーでも疑惑が浮上している。しかも隠れ家を世界中に所有していると報道されている。犯罪性そのものに逃げ癖を感じる。

   もう一人、逃げ癖を感じる人物がいる。国と国との問題に真っ向から対応しない。問題を提起すると逃げて、別の問題を振りかざして戻って来る。韓国の文在寅大統領だ。2018年12月、能登半島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に対して火器管制レーダーを照射した事件。韓国政府は当初、「哨戒機を追跡する目的ではない」と説明していたが、その後一転して「レーダー照射はしていない」「日本の自衛隊機が威嚇飛行を行った」と全面否定している。

   2018年10月、朝鮮半島から内地に動員された元「徴用工」といわれる人たちが、日本企業を相手取って損害賠償を求めていた裁判で、韓国の最高裁は賠償を命じる判決を言い渡した。これに対して、日本政府は1965年の日韓請求権ならびに経済協力協定で、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を定めているので、韓国の最高裁が日本企業に対する個人の請求権行使を可能としたことは、「国際法に照らしてありえない判断」(安倍総理)と強く批判した。これに対して、文在寅氏は外交問題として向き合っていない。

   2019年8月、日本政府が輸出管理上のホワイト国(優遇対象国)から韓国を除外する政令改正を閣議決定した。これを受けて、文在寅大統領は「賊反荷杖」の四字熟語を使って日本批判を展開した。日本語で「盗人猛々しい」に相当する。素直に「改善する」と言えばよいのに、それを歴史と絡めて批判してくるところに無理がある。その後、韓国側は日韓防衛当局間で軍事機密のやりとりを可能にするGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を継続せずに破棄すると発表した。連動するように、韓国軍は島根県の竹島周辺で軍事訓練を行っている。破棄を決定していたGSOMIAを失効期限(11月23日午前0時)直前になって韓国側が回避を決めている。

   司法の場でも、外交の場でも、逃げ癖でその場はいったん逃れられたとしても課題解決にはならないことは言うまでもない。むしろ信頼を失って不利になるだけ、なのだが。

⇒4日(土)午前・金沢の天気    くもり

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする