自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆パンデミックを防げ

2020年01月20日 | ⇒メディア時評

      中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について、当初は感染が限定的という報道だったが、それが直近の報道だと人から人への感染に広がっているようだ。深刻さを物語るように、中国で肺炎患者が増えていることを受けて、WHOの事務局長が22日にスイスのジュネーブで緊急の会合を開くことになったと報じている。まるで、パンデミック(pandemic)、世界的な感染の広がりを示唆する動きではないのか。

   武漢以外に北京、広東省でも患者が確認され、感染者はすでに200人を超えている、という。20日のニュースでさらに深刻になった。イギリスの大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンの感染症の専門家チームが、1)武漢とその周辺の人口、2)海外で見つかった患者数、3)武漢の国際空港から海外に旅行する人の数、などから患者の数を推計した。その結果、今月12日の時点で武漢では患者数1700人以上に上る可能性があると発表しているのだ(20日付・NHKニュースWeb版)。

  中国では今月24日から旧正月の春節の大型連休に入ると、日本を含め世界中に中国人観光客が訪れることになる。WHOの事務局長の緊急会合は、このタイミングで世界各国に注意を呼びかける意味合いがあるのではないだろうか。

  今夜遅く、この事態に習近平国家主席は情報を直ちに発表するよう関係部門に直接指示を出した、と報じられている。習主席の指示は、「感染拡大に関する情報を直ちに発表し、科学的な予防知識を広めるよう」と求めたという(20日付・NHKニュースWeb版)。その背景には中国が悪名を買った、例の2003年の新型肺炎SARS問題がある。徹底的に情報を隠して感染が拡大したのだ。8100人が感染し、770人余りが死亡したとされる。この教訓から、情報提供を強化する姿勢を強調したのだろう。

  それよりむしろ、春節には海外渡航を全面的に禁止するくらいの強い指導力を発揮してほしい。(※写真は人から人の感染の可能性を伝えるイギリスBBCニュースWeb版=20日付)

⇒20日(月)夜・金沢の天気   くもり

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