自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★2020 先読み~五輪後の景気は

2020年01月01日 | ⇒トレンド探査

   ゴーン、ゴーンとまるでお寺の鐘のようにテレビや新聞で鳴り響いている。きょう元旦の紙面は、日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が秘密裏に中東のレバノンに出国していた問題を取り上げている。ヨーロッパの複数のメディアは、計画が数週間前から周到に準備され、妻のキャロルが重要な役割を担ったと伝えている(1日・NHKニュース)。

   このような脱法行為が許されるはずがないだろ。ゴーン氏は保釈の条件で海外への渡航が禁じられていた。このため、東京地裁は保釈を取り消し、納められた保釈金15億円は没収する。仮にゴーン氏が帰国した場合には身柄が拘束され拘置所に勾留される。不可解なのは、日本の出入国在留管理庁のデータベースにゴーン氏が日本から出国した記録がまったくないことだ。法律の抜け道をくぐった脱法行為による出国ということになる。この方が重大だ。誰が指南したのか。あるいは、日本の司法制度がそれほど緩いのか。このニュースはさておき、2020年の先読みを試みる。まず、日本の景気は。

     東京オリンピック後に日本の景気は低迷するのか

   オリンピック後に不動産市場が低迷し、建設需要も冷え込むのではないか。老朽化した公共インフラを更新すればよいとの論もあるが、では労働力の確保はどうなる、財源の確保はどうなるのか。日銀は大規模な金融緩和を続けているが、いつまで続く。金融緩和を続けていけば必ずひずみが出るのではないか。また、日本の最大の貿易相手国、中国の経済はすでに「成長の限界」に来ているのではないか。リーマンショック後、中国は積極的なインフラ投資などで経済成長を果たしてきたが、その成長モデルはもう通用しないだろう。そして、11月3日にアメリカ大統領選挙が行われる。これか世界の経済、日本の景気にどう影響するのか、だ。

    アメリカと中国の貿易交渉、これからの見通しは

   米中貿易交渉の第1段階の合意については、アメリカの中国への輸出が2倍に、中国が今後2年間でアメリカの農産品の購入を2000億㌦(22兆円)相当を増加させると報じられた。今後の米中貿易交渉で、日本がとばっちりをくらうことにもなるかもしれない。アメリカに輸出される中国製品には、日本製の電子部品や材料が多く使われている。アメリカが中国製品に制裁関税をかければ、実質的には日本製品にも高関税がかかることになる。米中の貿易交渉が今後テクノロジーをめぐってはエスカレートすればするほど日本への打撃が大きくなるのではないか

    デジタル人民元はドルに対抗できる通貨となりうるのか

   中国が構想しているデジタル人民元はデータ改ざんが難しいブロックチェーンの活用が基本とされる。とくに、マネーのやり取りを追跡できるようになれば、マネーロンダリングや詐欺、脱税といった犯罪の抑止になる。注目すべきは、中国国内の不動産バブルが崩壊するなど債務問題が一段と深刻化する中で、このデジタル人民元は吉と出るか、凶と出るか、だ。一方、アメリカはフェイスブックのリブラを警戒している。リブラを認め、世界的に普及すれば、国際決済で40%のシェアを占めるとされるドルそものもが形骸化する可能性も出てくる。

    「5G元年」、情報技術と産業はどこまで融合していくのか

   情報技術をさまざまな産業分野に結びつける動きが加速している。金融では「FinTech」と呼ばれる造語ができ、教育では「EduTech」、農業では「AgriTech」、広告では「AdTech」、医療では「HealthTech」と言うように。テクノロジー(Technology)と既存産業との融合は「Society5.0」とも言われているが、その在り様もある意味で問われている。「5G元年」ともいわれる2020年はどのように展開していくのだろうか。

⇒1日(水)午後・金沢の天気      はれ

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