自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★被害者権利「日本が故意に衝突、損害賠償を」

2019年10月13日 | ⇒ニュース走査

  数十年に一度の重大な災害が予想される特別警報が出された台風19号。各地で爪痕を残し、13日朝、台風の中心部は東北三陸沖の太平洋側に抜けた。ネットニュ-スで被害状況をチェックしているが、長野県の千曲川の堤防が一部決壊し住宅地が浸水。また、長野市のJR新幹線車両センターも水没して、北陸新幹線の車両が水に浸かっている状態で終日運休が決まった。時間が経つにつれ、さまざまな被害状況が確認され、今回の台風のすさまじさが見えてくる。

  もう一つ「北の台風」が吹き始めた。12日付のロイター通信Web板(日本語)は「北朝鮮が日本に賠償要求、故意に沈没漁船に衝突と主張」との見出しで、今月7日に起きた能登半島沖の日本のEEZ(排他的経済水域)内での北朝鮮漁船と水産庁取締船との衝突について、北朝鮮側の発表を報じている。

   ニュースを以下要約する。朝鮮中央通信社(KCNA)が12日に報じた内容として、北朝鮮外務省の報道官は声明で、日本側が故意に衝突した犯罪的な行為だと指摘、将来このような事案が発生しないよう日本は対応すべきだと主張。さらに「日本政府に沈没船の損害補償を強く求める。このような事態が再び起これば日本は望ましくない結果に直面することになる」と指摘。漁船が急旋回したため衝突したとの日本の主張に対して、通常の航行状態だったと反論し、「日本は意図的な行為を正当化しようとしている」と非難した。

   なぜこれほど北は強気に出てくるのか。衝突から損害補償の請求まで仕掛けられたワナではないか。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。北朝鮮は衝突があったEEZは自国の領海であると以前から主張している。日本側が領海を侵犯した上、公船が漁船に体当たりしたと自らの立場を正当化する戦略として仕立てたのだろう。これからことあるごとに「北朝鮮の領海での日本側の意図的な衝突、損害賠償を請求する」と高いボルテージで言い続けるだろう、北朝鮮は被害国だという「権利」の主張だ。

   北朝鮮では近海の漁業権を中国に売却したため、漁民が危険を冒して大和堆などの沖合に出ざるをえない事情があると言われている。ロシアのEEZに入り拿捕が相次ぎ、日本のEEZの方が拿捕されないので「安全」と見くびっている。おそらく北による違法操業は今後も当面止むことはないだろう。日本は水産庁が撮っている今回の衝突映像を国際社会に公開すべきだ。衝突が単なる事故なのか、故意に衝突した「事件」なのか。厄介なボールが日本に撃ち込まれた。(※写真は、日本のEEZで違法操業する北朝鮮の漁船=海上保安庁の動画から)

⇒13日(日)午前・金沢の天気     くもり

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