自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★マーラー交響曲『巨人』、闇と光の相克

2019年10月06日 | ⇒ニュース走査

   きょう(6日)午後、久しぶりに石川県立音楽堂に出かけた。バイオリンを弾く知人が出演する「石川フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会」=写真・上=。ジョン・ウィリアムズの『スターウォーズ』組曲では、「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)で指揮者がライトセイバーを持ち出して指揮したのには思わず笑い。グスタフ・マーラーの交響曲『巨人』では、ウトウトと眠りかけていたのに第4楽章の冒頭でシンバルの強烈な一撃をくらってビックリ。勝利感に満ちたフィナーレで、ブラボー屋たちも思わず叫んでいた。アンコールの同『花の章』は最後にハープがポロリンと演奏をしめたのが印象的だった。

   この演奏を聴いていて、さまざまなニュースが脳裏に浮かんできた。『スターウォーズ』では、アメリカの配車大手「ウーバー・テクノロジーズ」が「空飛ぶタクシー」をアメリカ・テキサス州ダラスとロサンゼルスでの試験飛行するのに続いて、オーストラリアのメルボルでも始めるというニュース(6月)を思い出した。垂直着陸が可能な電気小型航空機を活用する空飛ぶタクシーは、無人機ではなくパイロットが操縦する。空のライドシェアの先駆けでもある。「Uber Air」のホームページにあるPR動画=写真・下=は、空を飛ぶというイメージよりも、高層ビルを宇宙船に見立てて、その空間をつなぐというモビリティ(移動)の発想が映画『スターウォーズ』をイメージさせるのだ。

  『巨人』の演奏を聴いていて、揺れる香港をイメージした。今月1日のニュースでは、中国建国70年の軍事パレードよりも、香港の若者たちの必死の主張に耳を傾けた。マーラーが思い描いて作曲したのは、まさに生きる希望ではなかったと感じる。自由な言論、自由な議論、自由な社会活動、自由な経済、自由な学問研究など、香港が一国二制度という枠組みで守ってきた歴史を絶対に揺るがせないという若者の熱意と、マーラーの激しく情熱的な全楽器による演奏(第4楽章「嵐のように激しく揺れ動いて」)が実に響き合う。 

   一方で、『巨人』の同じ第4楽章には混沌とした「闇」を連想させる部分もある。関西電力と行政の原発立地の闇というイメージが膨らむ。エネルギーという公共性の高い事業なのだが、現在の科学では核廃棄物を処理が不可能である。原発にはそうした社会的な負の部分がどうしてもつきまとう。「闇金」を回し合いながらお互いを慰め合っているとしか思えない。マーラーの曲は、深く濃い「闇」をクライマックスの凄まじい「光」でその「闇」を打ち消して終わりを告げる。名曲である。

⇒6日(日)夜・金沢の天気     くもり時々はれ

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