優れたルポルタージューというのは最初からひたすら客観的な文章で構成されているため、森の茂みの中を歩いているように周りが見えない感じだが、あるページから突然に視界が開けて森全体が見えるように全体構成が理解できるようになる。読み終えると、あたかも自身がその場に立っているかのような爽快な読後感があるものだ。
アメリカのネット革命の旗手とまでいわれたAOLがタイムワーナー社との合併に踏み込んだものの、その後に放逐されるまでの栄光と挫折を描いたルポルタージュ、「虚妄の帝国の終焉」(アレック・クライン著、ディスカヴァー・トゥエンティワン社刊)を読んでいる。実はまだ第3章「世紀の取引」を読んでいる途中で、茂みの中である。それでも、アメリカのメディアとインターネット産業をめぐる大事件として記憶に新しい。370㌻の出だしの3分の1ほどしか読み進んだあたりから、人間の相克と葛藤が次ぎ次ぎと展開されていく。このブログを書いている時点で私も読んでいる途中だが、それでも書評をしたためたくなるほどのボリユーム感がすでにある。
マイクロソフトがAOLの買収を仕掛けたとき、AOL側が「もし、オンラインサービスが技術の問題だと考えているのなら、これはマイクロソフトにとってベトナム戦争になるよ」とすごんだ話や、マイクロソフトがネットスケープとの「ブラウザー戦争」でAOLを味方に引き入れて、ネットスケープを追い落としたいきさつなど実に詳細にリアリティーをもって描かれている。
AOLの転落はタイムワーナーを飲み込むかちで合併を発表した2000年1月が「終わりの始まり」で、これからページにはAOL側の不正会計疑惑の発覚、そしてスティーブ・ケースの放逐、そして瓦解への道と進んで行く。事実は小説より奇なり、とはこの著作のことかもしれない。そしてこの場合、野望より司直を巻き込んだ滅びの構図により真実味を感じさせる。
⇒22日(月)朝・金沢の天気 くもり
アメリカのネット革命の旗手とまでいわれたAOLがタイムワーナー社との合併に踏み込んだものの、その後に放逐されるまでの栄光と挫折を描いたルポルタージュ、「虚妄の帝国の終焉」(アレック・クライン著、ディスカヴァー・トゥエンティワン社刊)を読んでいる。実はまだ第3章「世紀の取引」を読んでいる途中で、茂みの中である。それでも、アメリカのメディアとインターネット産業をめぐる大事件として記憶に新しい。370㌻の出だしの3分の1ほどしか読み進んだあたりから、人間の相克と葛藤が次ぎ次ぎと展開されていく。このブログを書いている時点で私も読んでいる途中だが、それでも書評をしたためたくなるほどのボリユーム感がすでにある。
マイクロソフトがAOLの買収を仕掛けたとき、AOL側が「もし、オンラインサービスが技術の問題だと考えているのなら、これはマイクロソフトにとってベトナム戦争になるよ」とすごんだ話や、マイクロソフトがネットスケープとの「ブラウザー戦争」でAOLを味方に引き入れて、ネットスケープを追い落としたいきさつなど実に詳細にリアリティーをもって描かれている。
AOLの転落はタイムワーナーを飲み込むかちで合併を発表した2000年1月が「終わりの始まり」で、これからページにはAOL側の不正会計疑惑の発覚、そしてスティーブ・ケースの放逐、そして瓦解への道と進んで行く。事実は小説より奇なり、とはこの著作のことかもしれない。そしてこの場合、野望より司直を巻き込んだ滅びの構図により真実味を感じさせる。
⇒22日(月)朝・金沢の天気 くもり