自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★韓国経済のキナ臭さ

2006年05月18日 | ⇒メディア時評
 韓国の新聞のインターネット版(日本語)をたまに読む。日韓関係がぎくしゃくしているので、隣は何を考えているのだろうかと思うからである。今月15日付、17日付の中央日報の記事を読んで外交以上に韓国の経済に関心を持った。

 17日付の記事。見出しは「アジア太平洋地域諸国のうち、ゴールドカードを最もたくさん使っているのは韓国人」。ビザカード・コリアによると、今年3月現在、韓国人が保有しているビザ・ゴールドカードは1400万枚で、アジア太平洋地域全体のビザ・ゴールドカードの34%を占め、日本(480万枚)より3倍も多い。ゴールドカードよりワンランク上のプラチナカードの場合、韓国は260万枚(日本5万枚)になる。この数字を見る限り、4600万人の国民の3人に1人がゴールドカードを持つ、アジアでもっとも裕福でエクセレンな国が韓国となる。

 ところが、15日付の記事。見出しは「国民1人当たりの総所得は1万4000㌦、世界50位」。韓国銀行が世界銀行の「世界発展指数」を整理した資料によると、市場為替レートを基準に、韓国の04年の1人当たり国民総所得は1万4000㌦で、比較対象208ヵ国のうち50位。この数字はポルトガル(1万4220㌦、49位)に次ぐ。ちなみに世界1位は1人当たり5万6380㌦のルクセンブルク、米国は4万1440㌦で5位、日本は3万7050㌦で9位だ。

 日本でゴールドカードの保持者と言えば、年齢30歳以上で年収500万円以上、プラチナカードだと役員クラスが持つものと一応見られている。となると、個人所得が世界で50位ほどの韓国がクレジットカード利用ではアジアで一番の顧客というのは、一体どういうカラクリがあるのかと疑問がわく。そこでインターネットで調べてみると、以下のような実態が浮かび上がってきた。

 韓国政府は内需拡大策の一環としてクレジットカードの普及を推進してきた。中学生までもが複数のクレジットカードを持つケースもあるという。大人の場合、1人で20枚も所有している人もいる。その結果、使い過ぎてカード破産する人が続出し、カード破産者は400万人に達する。また予備軍も含めると国民のおよそ20%の人がクレジットカードの支払いに苦しんでいるという。以上は、韓国経済に詳しい深川由紀子氏(東京大学大学院教授)が日本の衛星放送「BS-i」の経済番組「グローバルナビ」(05年5月)で語った内容だ。

 しかも、18日付の朝鮮日報の記事「膨らみ続ける韓国の資産バブル」や「バブル崩壊は迫っているのか」を読むと、ソウル中心部の1平方㍍当たりの地価は6000~6500㌦に急騰している。同じ面積の東京の不動産価格は1万ドルで、ニューヨークのマンハッタンは1万1000ドル程度だが、日本人の国民所得が韓国の2.6倍程度であることを考えると、ソウルの不動産価格の方が格段に高い。しかも韓国では個人資産の80%が不動産投資に回っているという。1980年代後半の日本の不動産バブルと似ていて、朝鮮日報が報じるように、そのバブルはいつ弾けても不思議ではない段階なのだ。

 庶民はカード破産、資産家はバブル崩壊の危機と何やらキナ臭い。こうなると、金融当局が不動産バブルを鎮めようと金利を上げれば、今度は国民全体の20%といわれるカード破産者とその予備軍の首を絞めることになる。これがひいては金融破綻へと連鎖するのではないか。にっちもさっちもいかなくなっているのである。早晩、ノ・ムヒョン大統領の失政が問われることになろう。

⇒18日(木)夜・金沢の天気  はれ
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