ゴールデン・ウイーク期間中の3日、珍事が起きた。有田陶器市が開催されている佐賀県有田町で強風で仮設テントが揺れ、中の棚に陳列してあった皿や小鉢などの陶器が次々と吹き飛ばされ割れた。被害は9点(19000円相当)だった。問題はその原因。午後2時10分ごろ、FBS福岡放送の取材ヘリコプターが上空を飛び、ヘリが低空で通過した直後に突風が吹き、テントの中にあった棚の上の陶器が飛ばされたという。
テレビ局側は「当時は高度150㍍を維持していた。上空から吹き下ろしの風が吹いていて、ヘリの風と相まって被害が出たのかもしれない」と説明した。以上が新聞各紙からピックアップした内容だ。しかし、航空法では、ヘリの最低飛行高度は例えば人家の密集した地域の上空では半径600㍍の範囲の最も高い障害物の高さにさらに300㍍の高度を加えとなっている。カメラマンが被写体に近づこうとすれば、高度を下げるしかない。そこでカメラマンは強くパイロットに低空を飛ぶよう希望したのだろうかと推測する。今回は皿や小鉢だったものの、一歩間違えて、子どもが吹き飛ばされていたなら大事件になっていた。
もう一つ、今度は法をめぐる風圧を新聞から拾った。4月に赴任した高松地検の川野辺充子検事正が就任会見で、男性記者が「年齢をうかがいたい」と質問した。検事正は「女性に年を聞くんですか、すごいですね」と答えなかった。今度は女性記者が「要職の方には年齢を伺っています」と食い下がったが、今度は「中央官庁でも公表しない方向になっています」と年齢の公表を断った。しかし、別の人事案件で法務省は一度は学歴と生年月日を非公表にしたものの、記者クラブが要求して、公表した例がある。川野辺検事正の場合は最終的に公表したものの、その混乱の原因となっているのが個人情報保護法である。
もともと民間の情報を守ろうとしたのが個人情報保護法であり、官庁が独占している情報を出させようとするのが情報公開法なのである。なのに「官」がちゃっかりと個人情報保護法の隠れ蓑をまとっている。つまり、官庁が個人情報保護法を盾に情報を出し渋っているのである。そこをマスメディアは見抜いているから今回の川野辺検事正に対する生年月日の公表要求のケースのように、官が情報を出し渋れば渋るほどマスメディアの風圧も厳しさを増すという構図になる。
端的に言えば、官庁の情報に関しては情報公開法の枠組みで整理したほうが一番すっきりするのである。まして公人である要職の人事などなおさらだ。
⇒3日(水)夜・金沢の天気 はれ