北陸にもようやく春がやってきた。風には冷たさが残るものの、金沢市の中心部、兼六園に通じる広坂通りには花見のぼんぼりが取り付けられ、春のムードを醸し出している。その広坂通りを歩いていると、旧・県庁の正面にある2本の巨樹の目立つ。
この2本のシイノキは「堂形(どうがた)のシイノキ」と呼ばれ、この界わいのシンボルともなっている。樹齢が400年とも推定され、国の天然記念物(1943年指定)なのだ。幹のまわりが5㍍から7㍍もある巨樹だけに、枝葉を円形に広げてバランスをとっている姿がなんとも威風堂々とした感じだ。
いつもは通勤バスの車窓から眺めるだけなのだが、きょうは春の日差しに誘われた歩いて近寄ってみた。不思議な感覚にとらわれた。まるで、森に入ったような気分になったのである。枝葉からこぼれる日差しがわずかな風に揺れている。野鳥のさえずりもして、「里の錯覚」に陥る。不思議な光景だった。
このシイノキの持つオーラ(樹霊)なのか、単なる春の迷いなのかは分からない。話はこれだけである。
⇒24日(土)午前・金沢の天気 はれ