自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★森氏の「ミモレットの演技」

2006年03月12日 | ⇒トピック往来

 きょう夕食の酒のつまみにフランス産のチーズ「ミモレット」を食した。金沢市内ではなかなか手に入らないので、酒の量販店に予約して取り寄せたものだ。100㌘350円、チーズのコーナーでは一番値がはる。ミモレットが我が家の食卓に載るようになったのは例の「事件」がきっかけである。

 去年8月6日夜のニュースだった。参院で郵政民営化法案が否決された小泉総理が衆院解散を決意し、それを思いとどまらせようと森氏が官邸を訪ねたが、「殺されてもいい」と拒否された。その会談で出たのが缶ビールとつまみの「干からびた」チーズだった。会談後、森氏は握りつぶした缶ビールと干からびたチーズを取り囲んだ記者団に見せ、「寿司でも取ってくれるのかと思ったらこのチーズだ」「硬くて歯が痛くなったよ」と不平を漏らした。その映像を見たわれわれ視聴者は「小泉は命をかけている、本気だな」との印象を強くした。森氏が記者団に見せた憮(ぶ)然した表情がなければ、総選挙での自民党の大勝はなかったのではないか、と今でも思ったりする。

  その後日談であの干からびたチーズは高級チーズ「ミモレット」だったと報道され、さっそく市内を探し回ってくだんの店にたどり着き、取り寄せてようやく手に入れた。確かに歯応えは十分あるが、「硬くて歯が痛くなる」ほどではない。ミディアムに焼いたステーキを食する人なら、難なく口に入る。「歯が痛くなるなんて、オーバーな表現だな」といぶかってもいた。

  そして、きょう(12日)その理由が分かった。午前10時からのテレビ朝日の政治討論番組「サンデープロジェクト」で森氏が出演した。司会の田原総一朗氏が「あの干からびたチーズの会見は森さんの演技だったという説もありますが、本当ですか」と尋ねたのだ。森氏はニコニコしながら、否定はしなかった。ということは、やはり芝居だったのか。演技ならば「硬くて歯が痛くなった」との表現も辻褄(つま)が合う。

  とはいうものの、私にはあのシーンが演技だったとは思えない。あの時、森氏は衆院解散には反対だった。むしろ、「オレは本気なって小泉総理に解散を止めろと説得したんだ」と強調したいがためにオーバーな表現を使ったのだろうと推測する。

  ところで番組では、森氏は東京ではなく北陸朝日放送(金沢市)のスタジオから中継で出演していた。10日に告示された石川県議会議員補欠選挙(19日投票)に立候補している長男の祐喜氏(41)の戦いぶりが気になり、お国入りしたのだろう。9月のポスト小泉の後継はこれから、まず、自らの後継を固めようとの思いか。

 ⇒12日(日)夜・金沢の天気  あめ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする