今度は体操に飛び火した。どこの世界も権力者がいて、小さな会社であっても社長が絶対だったりする。社長がすべての権限をもっているものだから、彼の言うことを聞かなければ、その会社にはおれない。
国の場合は、人事権を内閣が持ったことから、役人は、首相官邸の顔色をうかがいはじめた。それどころか、検察も裁判官も同様である。彼らも人の子である。首相官邸の意向を無視したとあれば、報復が怖い。
どんな僻地に飛ばされるかもしれぬ。なんとか理由をたてて、官邸の意向に沿うべく、努力する。効果は抜群である。必ず、その報酬は得られる。こうなれば、誰だってそうするだろう、というのが世間の常識というものだ。
正義はテレビドラマでやればいい。現実は現実である。格好さえつけば、首相はその意向を通すことができる。結果が戦争になろうが、人類の悲惨な結果をもたらそうが、そんなことは関係ない。そう簡単には、そうはならないと考えているか、それとも、日本民族が一人前になるためには、少々の犠牲などものともしない、「豪胆な腹」をしているのだと思いたいのかもしれない。