今年に入ってすでに25作品(たぶん)もの韓国映画が劇場公開されました。(映画祭等での上映作は除く。) またこれからも「風と共に去りぬ」「渚のふたり(かたつむりの星)」「悪いやつら(犯罪との戦争:悪者たちの全盛時代)」「Snowpiercer(雪国列車)」「タワー 超高層ビル大火災」「サイコメトリー 残留思念」の公開が予定されており、さらには今韓国で公開中の「隠密に偉大に」の日本公開も決まったそうです。
私ヌルボ、1980~90年代は日本で公開される韓国映画のほとんどを観に行っていましたが「シュリ」や「JSA」が公開されて話題となった2000年以降、とくに韓流スターたちの出演作がやたらと増えてからは「選んで観る」ようになりました。
そして今年はこれまでに観た本数合計42本中、韓国映画はちょうど3分の1の14本です。その中で映画祭等での上映作や旧作をのぞいた数が10本。つまり一般劇場公開作品の4割しか観てないということです。(それでも十分に多いか・・・。)
で、それらについて韓国での観客動員数の多い順に次のような表を作ってみました。(韓国での上映禁止作品で、日本でも1館のみ(シアター・イメージフォーラム)のレイトショー公開の「ポドリ君の家族残酷史X 韓国の夜と霧」以外の9作品。)
※韓国で人気を博した映画で観てないものもたくさん。665万人動員の「私のオオカミ少年」も未見です。スミマセン。
作品名(韓国での観客動員数)・・・・見どころ&寸評・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「映画生活」の評点・・「DAUM」の評点・・私ヌルボの評点
「10人の泥棒たち」(1298万人)・・・リラックスして楽しむアクション・・・・・・・・・・・[82]・・・・・・・・・・・・・・・・[7.5]・・・・・・・・・・・・・・6
「王になった男」(1231万人)・・・・・・娯楽&感動の時代劇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[86]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・8
「ベルリン・ファイル」(715万人)・・・南北朝鮮諜報員の迫真のアクション・・・・・・[84]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.0]・・・・・・・・・・・・・・7
「建築学概論」(411万人)・・・・・・・・懐かしく切ない初恋と、そして今 ・・・・・・・・・・[71]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・8
「折れた矢」(345万人)・・・・・・・・・・・実話に拠る法廷劇が司法界の病巣を暴く・・[60]・・・・・・・・・・・・・・・・[9.5]・・・・・・・・・・・・・・4
「殺人の告白」(272万人)・・・・・・・・巧みなストーリー展開とアクション ・・・・・・・・・[84]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・8
「共謀者」(164万人)・・・・・・・・・・・・・臓器移植をめぐる事件が素材のミステリー・・[80] ・・・・・・・・・・・・・・・[7.2]・・・・・・・・・・・・・・6
「ある会社員」(111万人)・・・・・・・・「会社」はヤクザ組織に通底するか!?・・・・・・・・[85]・・・・・・・・・・・・・・・・[6.8]・・・・・・・・・・・・・・5
「嘆きのピエタ」(60万人)・・・・・・・・愛と怨恨への深い省察と芸術的映像・・・・・・・[80]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.7]・・・・・・・・・・・・・・9
さて、この表からわかること、そして思ったことは・・・。
・観客動員数は、観客満足度と多少は関係する。別の言い方をすると、それほどは関係ない。観た人の評価がすごく高くまた興行面でも大成功という、「千と千尋の神隠し」とか「ショーシャンクの空に」のような作品はむしろかなり少ないと言った方がよさそう。
以前ある所で、ヌルボが単純な娯楽本位の、終わったら「ああおもしろかった!」ですべてを忘れてしまうような映画を非難したら、ある人に「私はしんどい仕事のことを忘れて、いっときスカッとしたいんですよ」と言われて虚を突かれた感じがしたことがありました。たとえばそんな人たちをターゲットに宣伝攻勢をかけて動員数を伸ばす映画はたくさんあって、その意義も否定はできません。
・日本のファンは、アクション映画に対する評価が比較的高いようです。
「10人の泥棒たち」「ベルリン・ファイル」「殺人の告白」「共謀者」「ある会社員」と、撃ち合いだの格闘だのカーアクションだのてんこ盛り。「殺人の告白」の疾走する2台の車上のアクロバティックなアクション、なんで車を停めないんだろう?と思いながら観てましたが。
・同じアクション大作でも「10人の泥棒たち」と「ベルリン・ファイル」は感触が対照的。前者がノーテンキで、後者はそれなりに今の北朝鮮の問題を反映した緊張感があります。どちらにも出演しているチョン・ジヒョンの役柄がまさにそれを体現しています。
1つ前の記事に記したように、北朝鮮では海外で仕事をする者の子供を人質として残して置くとか、毒物注射のこととか、その特異な体制ゆえのもろもろがかなり知られてきているということ?
・ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作の「嘆きのピエタ」は60万人でも「よく入った」部類。受賞効果ってやつですね。高い点を付けたヌルボですが、好きな映画とはいえません。同じ暴力シーンが突出していた「息もできない」は思い出しただけでも涙が込み上げてきますが、コチラはそういうシーンはなし。ただ最後の上から俯瞰した場面は心の中で(うわー・・・)と衝撃の声を上げるばかりでした。
・韓国の「DAUM」の評点の中で「折れた矢」の高さが突出しています。予備知識なくこの映画を観た日本人は首を傾げるでしょう。
元になった事件は、入試問題のミスの隠蔽に抗議したことを理由(?)に解雇された金明浩(キム・ミョンホ)元・成均館大学数学科教授は再任用拒否の無効を求めて提訴しましたが棄却の判決。そこで金元・教授は「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」クロスボウを持ってパク・ホンウ判事の自宅アパートで待ち伏せして判事を狙い(?)傷つけた(?)・・・というもの。映画ではアン・ソンギが演じた教授は相当に思い込みの激しい人(?)のようですが、判事が「腹に受けた」という矢は行方不明だし、彼が当時着ていた衣服はなぜかワイシャツだけ血が付いていないとか・・・。どうも判事が当該大学OB(?)等々「ウラ」はたしかに疑わしい・・・。そんな韓国の司法に対する国民の不信、いや憤りがドカッと噴出した結果がこの高評価の背景といってよさそうです。その点は「トガニ幼き瞳の告発」とも共通していますね。
「DAUM」に寄せられたネチズンの代表的なコメントを紹介します。
「これが大韓民国の現実。(10.0)」←多数
「法治(rule of law)ではない、法を手段とする支配(rule by law)の痛い現実ね依然として民主化は完了していなかったことを見せてくれる映画。(8.0)」
「映画が大衆に語るメッセージを離れて映画自体だけみればおもしろくない。本当におもしろくない。(2.0)」←例外的
※話はそれますが、韓国が竹島問題を国際司法裁判所に持ち出そうとしないのは、世界的な影響力(「ロビー活動」の効力)を考えると、韓国は日本に勝てないという判断が国民の間にあるようです。自国内で「ロビー活動」(裏取引・裏工作)が通例化しているので、国際社会も「そういうもの」と思い込んでいるらしい(??)。慰安婦問題をめぐるアメリカでの「ロビー活動」は成果をあげているようですが・・・。
・もしヌルボが「今オススメの韓国映画は何ですか?」と問われたら、相手の好みとか人となり等によって答え方は違ってきます。最大公約数的には「王になった男」と「殺人の告白」。相手を見ずに「嘆きのピエタ」を薦めたりするとウラミを買う結果になったりして・・・。
この5年間だと「息もできない」や「過速スキャンダル」は誰彼問わず観てほしいのですが・・・。あ、「彼とわたしの漂流日記」も・・・。
私ヌルボ、1980~90年代は日本で公開される韓国映画のほとんどを観に行っていましたが「シュリ」や「JSA」が公開されて話題となった2000年以降、とくに韓流スターたちの出演作がやたらと増えてからは「選んで観る」ようになりました。
そして今年はこれまでに観た本数合計42本中、韓国映画はちょうど3分の1の14本です。その中で映画祭等での上映作や旧作をのぞいた数が10本。つまり一般劇場公開作品の4割しか観てないということです。(それでも十分に多いか・・・。)
で、それらについて韓国での観客動員数の多い順に次のような表を作ってみました。(韓国での上映禁止作品で、日本でも1館のみ(シアター・イメージフォーラム)のレイトショー公開の「ポドリ君の家族残酷史X 韓国の夜と霧」以外の9作品。)
※韓国で人気を博した映画で観てないものもたくさん。665万人動員の「私のオオカミ少年」も未見です。スミマセン。
作品名(韓国での観客動員数)・・・・見どころ&寸評・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「映画生活」の評点・・「DAUM」の評点・・私ヌルボの評点
「10人の泥棒たち」(1298万人)・・・リラックスして楽しむアクション・・・・・・・・・・・[82]・・・・・・・・・・・・・・・・[7.5]・・・・・・・・・・・・・・6
「王になった男」(1231万人)・・・・・・娯楽&感動の時代劇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[86]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・8
「ベルリン・ファイル」(715万人)・・・南北朝鮮諜報員の迫真のアクション・・・・・・[84]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.0]・・・・・・・・・・・・・・7
「建築学概論」(411万人)・・・・・・・・懐かしく切ない初恋と、そして今 ・・・・・・・・・・[71]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・8
「折れた矢」(345万人)・・・・・・・・・・・実話に拠る法廷劇が司法界の病巣を暴く・・[60]・・・・・・・・・・・・・・・・[9.5]・・・・・・・・・・・・・・4
「殺人の告白」(272万人)・・・・・・・・巧みなストーリー展開とアクション ・・・・・・・・・[84]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.6]・・・・・・・・・・・・・・8
「共謀者」(164万人)・・・・・・・・・・・・・臓器移植をめぐる事件が素材のミステリー・・[80] ・・・・・・・・・・・・・・・[7.2]・・・・・・・・・・・・・・6
「ある会社員」(111万人)・・・・・・・・「会社」はヤクザ組織に通底するか!?・・・・・・・・[85]・・・・・・・・・・・・・・・・[6.8]・・・・・・・・・・・・・・5
「嘆きのピエタ」(60万人)・・・・・・・・愛と怨恨への深い省察と芸術的映像・・・・・・・[80]・・・・・・・・・・・・・・・・[8.7]・・・・・・・・・・・・・・9
さて、この表からわかること、そして思ったことは・・・。
・観客動員数は、観客満足度と多少は関係する。別の言い方をすると、それほどは関係ない。観た人の評価がすごく高くまた興行面でも大成功という、「千と千尋の神隠し」とか「ショーシャンクの空に」のような作品はむしろかなり少ないと言った方がよさそう。
以前ある所で、ヌルボが単純な娯楽本位の、終わったら「ああおもしろかった!」ですべてを忘れてしまうような映画を非難したら、ある人に「私はしんどい仕事のことを忘れて、いっときスカッとしたいんですよ」と言われて虚を突かれた感じがしたことがありました。たとえばそんな人たちをターゲットに宣伝攻勢をかけて動員数を伸ばす映画はたくさんあって、その意義も否定はできません。
・日本のファンは、アクション映画に対する評価が比較的高いようです。
「10人の泥棒たち」「ベルリン・ファイル」「殺人の告白」「共謀者」「ある会社員」と、撃ち合いだの格闘だのカーアクションだのてんこ盛り。「殺人の告白」の疾走する2台の車上のアクロバティックなアクション、なんで車を停めないんだろう?と思いながら観てましたが。
・同じアクション大作でも「10人の泥棒たち」と「ベルリン・ファイル」は感触が対照的。前者がノーテンキで、後者はそれなりに今の北朝鮮の問題を反映した緊張感があります。どちらにも出演しているチョン・ジヒョンの役柄がまさにそれを体現しています。
1つ前の記事に記したように、北朝鮮では海外で仕事をする者の子供を人質として残して置くとか、毒物注射のこととか、その特異な体制ゆえのもろもろがかなり知られてきているということ?
・ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作の「嘆きのピエタ」は60万人でも「よく入った」部類。受賞効果ってやつですね。高い点を付けたヌルボですが、好きな映画とはいえません。同じ暴力シーンが突出していた「息もできない」は思い出しただけでも涙が込み上げてきますが、コチラはそういうシーンはなし。ただ最後の上から俯瞰した場面は心の中で(うわー・・・)と衝撃の声を上げるばかりでした。
・韓国の「DAUM」の評点の中で「折れた矢」の高さが突出しています。予備知識なくこの映画を観た日本人は首を傾げるでしょう。
元になった事件は、入試問題のミスの隠蔽に抗議したことを理由(?)に解雇された金明浩(キム・ミョンホ)元・成均館大学数学科教授は再任用拒否の無効を求めて提訴しましたが棄却の判決。そこで金元・教授は「法を守らない判事たちがいるということを国民に知らせるため」クロスボウを持ってパク・ホンウ判事の自宅アパートで待ち伏せして判事を狙い(?)傷つけた(?)・・・というもの。映画ではアン・ソンギが演じた教授は相当に思い込みの激しい人(?)のようですが、判事が「腹に受けた」という矢は行方不明だし、彼が当時着ていた衣服はなぜかワイシャツだけ血が付いていないとか・・・。どうも判事が当該大学OB(?)等々「ウラ」はたしかに疑わしい・・・。そんな韓国の司法に対する国民の不信、いや憤りがドカッと噴出した結果がこの高評価の背景といってよさそうです。その点は「トガニ幼き瞳の告発」とも共通していますね。
「DAUM」に寄せられたネチズンの代表的なコメントを紹介します。
「これが大韓民国の現実。(10.0)」←多数
「法治(rule of law)ではない、法を手段とする支配(rule by law)の痛い現実ね依然として民主化は完了していなかったことを見せてくれる映画。(8.0)」
「映画が大衆に語るメッセージを離れて映画自体だけみればおもしろくない。本当におもしろくない。(2.0)」←例外的
※話はそれますが、韓国が竹島問題を国際司法裁判所に持ち出そうとしないのは、世界的な影響力(「ロビー活動」の効力)を考えると、韓国は日本に勝てないという判断が国民の間にあるようです。自国内で「ロビー活動」(裏取引・裏工作)が通例化しているので、国際社会も「そういうもの」と思い込んでいるらしい(??)。慰安婦問題をめぐるアメリカでの「ロビー活動」は成果をあげているようですが・・・。
・もしヌルボが「今オススメの韓国映画は何ですか?」と問われたら、相手の好みとか人となり等によって答え方は違ってきます。最大公約数的には「王になった男」と「殺人の告白」。相手を見ずに「嘆きのピエタ」を薦めたりするとウラミを買う結果になったりして・・・。
この5年間だと「息もできない」や「過速スキャンダル」は誰彼問わず観てほしいのですが・・・。あ、「彼とわたしの漂流日記」も・・・。