ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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ツルニンジン? ケンポナシ? 日本ではなじみのない韓国の食材

2019-08-26 23:23:12 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 今年2~3月の韓国旅行の記録については、次の2つの記事にまとめました。
 → 雑談・韓国旅行(2019年2~3月) [その1]「パイノパイノパイ」のことなど
 → 雑談・韓国旅行(2019年2~3月) [その2]弘大(ホンデ)の和食店、トゥムルモリ等々のこと
 7泊8日の旅だったので、ネタは一杯。かなり端折って書きましたが、今回はそのこぼれ落ちた部分から、新たに仕入れた小ネタを紹介します。

 清渓川の基点、つまり、あの赤と青の巻貝のオブジェからすぐの所では、大綱引き大会に備えて巨大な綱を作っていました。(下左) 日本でも北海道から沖縄まで全国各地で大綱引きが行われていますね。

   
 この大綱引きは記事の本論とは関係ナシ、です。
 綱引きの場所のすぐ南側。清渓川沿いの道で歩道に埋め込まれたプレートが目に留まりました。(上右)
 何だろう?と思って見てみると・・・。

   
 <한성권번 터(漢城券番址>とあります。(日本ではふつう「検番(or見番)」と表記するが、朝鮮では「券番」。)
 その説明文を読むと、次のように書かれています。
 日帝強占期に制度的に女性の人権を弾圧した代表的な妓生組合があった場所
 うーん、なんかすごく一面的だなー。券番には妓生の管理という側面だけでなく、伝統的な技芸の伝習といった面もあったことは、→学問的な論文を読むまでもなく、いろんな一般書や、券番を舞台にしたハン・ヒョジュとチョン・ウヒ主演の映画「愛を歌う花」を見ればおおよそわかるのに・・・。

 この券番の話も記事の本論とは関係ナシ、です。(スミマセン)
 地図(上右)のは大綱引きの場所、はプレートの場所ですが、プレートの南側のビル(右画像)を見てみると・・・。
 「서울특별시(ソウル特別市)」云々と書かれた看板が2つ。都市基盤施設本部等、ソウル市の庁舎の1つのようです。その左手に「한미리(ハンミリ)」とあるのは、このビル内の店のようです。後で調べたら「わりと名の知れた高級韓定食のお店」なのだそうです。→コチラの記事に詳しく書かれていますが、画像を見るとフンイキも料理もなかなかのもの。ただ、やっぱりお値段の方はベラボーとまではいかないけどちょっとナニかな?と・・・。ま、いつか機会があれば・・・。(^^;)
 えっ、これもまた本論じゃない!? ひらにお許しを・・・ m(__)m

 さて、私ヌルボがこの日注目したのは、同ビルの北西角にあった店の看板です。(下左)
 やっと本論です。(やれやれ)

   
 なぜ注目したかというと、<더덕봅(トドクパプ)>という文字が目に入ったから。
 トドクは、私が昨年11月ソウルに行った時に初めて食べたモノ(下左)です。(→コチラの記事参照。) その時、けっこう格の高い食材だという話も聞いたような・・・。なるほど、ソウルの中心部に格調高そうな専門店もあるのか、と思いました。そして3つ並んでいる店名中1番上の산채향(サンチェヒャン.山菜香)というのがそのトドク専門店の店名です。(上右)

   
 上左はヤンニョムを塗って焼いたトドックイ(더덕구이.トドク焼き)。昨年食べた時に撮った写真です。トドクはツルニンジンという和名の植物(上右)で、ウィキペディア等には根の部分を漢方で用いるとありますが、私ヌルボは全然知りませんでした。(たぶん大抵の日本人も?) 朝鮮ではもっとポピュラーなようで、「チャングムの誓い」第21話にも出てきたそうな。(全然記憶ナシ。(^^;))
 そして今、サンチェヒャン(or山菜香)で検索してみると、→<ソウルナビ>の記事等々がヒットしました。あ、それはソウル歴史博物館の裏手の方にある本店の方ね。そして清渓川路の店に行った方の記事は→コチラや→コチラ。なかなか好評のようですね、料理も店の雰囲気も。→本店のメニューを見ると定食もほとんど2万ウォン未満だし、今度行ってみよう!という気になりました。(サークル仲間の皆さん、たまにはこんな店どうですか? トドクマッコリというのもありますよ。)

 ところで、先の記事の中で書いてないことがありました。トドクを食べた店でアジュマがザル(?)に入れて持ってきて見せてくれた植物の実です。(下左)

   
 ピントが合ってなくて(^^;)なんだかよくわかりませんが、球状のものもあれば、それらがヒョウタンのようにつながっているものもあります。<헛개나무(ホッケナム)>という木の実なのだそうです。和名は<ケンポナシ(玄圃梨)>。漢字だけだと読み方がわかりません。10月頃に上右画像のように「枝つき干し葡萄のような実がなる」ので英語では<Japanese raisin(レーズン) tree>というとか。ただし韓国サイトでは<Oriental raisin tree>。韓国はこういうところまでこだわっているのかとつくづく思いますが、まあいつものことではあります。
 その(本来はサムギョプサルの)店ではホッケナムの実は見せてもらっただけ。私ヌルボもただホッケというモノと名称を知っただけでした。
 ところが旅行中の2月27日、ホテルの近所のコンビニでドリンク類を物色していると、<헛개수(ホッケス)>つまり<ホッケ水>と表示されたペットボトルがあるではないですか。  

     
 その上の字は<갈증에 한水위>。「のどの渇きに一枚上」といった意味でしょう。
 さっそく買って飲んでみました。するとクセのない味で飲みやすく、少し香ばしい香りで、ちょっと気に入りました。〇〇に似た味、と言えばわかりやすいでしょうが、似てる飲み物は全然思いつかず。後で見た韓国記事に「二日酔いに良い」とありましたが、たしかにそうかもしれません。
 ※→コチラのブログ記事では「佐賀県の神社でお祭りの時に枝付きの束が売られている」とか、「秋田出身の父親がケンポナシを食べながら遊んだ」とか書かれています。日本でも、時代や地方によって違いがあり、私ヌルボはたまたま知らなかっただけなのでしょうか?

 その後、<ホッケナム茶>という商品もあることを知りました。(下左右) もしかして売ってるかなと思って横浜市内の韓国食品店で探してみましたが見つかりませんでした。

  
 このホッケ水の製造販売元はCJグループ内のCJヘルスケアという会社で、こうした健康飲料の他医薬品も製造しています。またホッケ水はこれ以外にもハイト真露の<새벽헛개(セビョクホッケ)>という製品等も発売されています。<セビョクホッケ(夜明けのホッケ)>というネーミングは、これまた「숙취해소(宿酔解消)」というキャッチコピーに沿ったものでしょう。両社のCFを比べてみると、健康志向のCJヘルスケアに対し、本来は焼酎メーカーの<セビョクホッケ>の方はとれもお酒とワンセットになってるのは当然ですね。
 このようにホッケ水が大量に商品として製造されているとうことは、もちろん野生のホッケナムの実を採集しているのではなく、広い農場で栽培したものを出荷しているからです。例えば→コチラは慶尚北道・亀尾(クミ)市にある農場の公式サイトです。(画像多数)

 いろいろ書きましたが、トドク=チョウセンニンジンにしてもホッケ=ケンポナシにしても、一般的な飲食文化の中で漢方(韓国では「韓方」)の占める比重は韓国の方がはるかに大きいようです。
 考えてみれば、1992年の最初の韓国旅行でアマドコロ(둥굴레.トゥングルレ)に出会って以来、実にいろんな漢方関係の食材を知ったなー。ウルシ(옻나무.オンナム)のドリンク等々、未だ味わったことのないモノもたくさん。そしてまた、知れば知るほど新たな興味がわいてきます。

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愛を歌う花 (yab)
2019-08-28 20:37:26
「愛を歌う花」は、チョン・ウヒが出てるというだけで見ましたね。
内容自体はありがちなメロドラマでしたが、個人的には一般的によくイメージされる日帝による抑圧と差別という植民地時代のイメージを変えるような映画でした。
この映画では、「自虐史観(余り良くない表現だと思いますが)」だけではない、当時の朝鮮の人たちの営みや娯楽が描かれていたのに驚きと新鮮さを覚えました。

それでヌルボさんのこの記事(https://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/db0983fb268595b0b5b9c6042d02593a)を読んで、
歴史学の事情によって日帝時代のイメージが変わりつつあるという推察に、
浅学ながらスッと入ってくような合点がいったような気がします。


韓国の事情はさておき、同様のことは日本でも当てはまる所もあるのではと考えてまして、
「この世界の片隅に」や(まだ見てませんが…)
近年のNHKの朝ドラ(これもちゃんと見てはないのですが)では、
昭和の戦時中の描写が決して悲惨で暗いものばかりでもなく、当時を生き抜く人たちの生活がよく描かれている印象があります。
朝から暗くなるような描写を望んでないという視聴者やそれをくみとる制作者の意図だったり、
美化し過ぎで本質を見てないという批判も往々にしてあるでしょうし、ヌルボさんの記事を読んでそんなことを考えました。
それとも歴史修正主義は右の専売特許でもないということかも?

すみません、旅行の感想とはズレてしまいました。
関連した話題の記事でいつかコメントしようと思ってましたが、この機会がいいかなと思ったもので。
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歴史の見方 (ヌルボ)
2019-08-30 21:27:41
 レスが遅くてすみませんm(__)m

 大仰なタイトルをつけてしまいましたが、要は史実を尊重すること、そして特に「つまみ食い」せず自分にとって不都合な過去に目をつぶらないことが大切だと思います。
 これは韓国の進歩系vs保守系にも、日本の左右両派にも言えることです。
 最近韓国では教科書から「漢江の奇跡」とか「セマウル運動」という言葉をなくしたというニュースがありましたが、こんなことをやっていて過去の軍事独裁政権の反共教育を批判できるか大いに疑問です。

 かつて日本史の授業の中で「江戸時代の農民になったつもりで日記を書いてみなさい」といった課題を出すとほとんどの生徒が「今日もつらい1日で・・・年貢の催促が厳しく・・・」等々、奴隷の日記のようなものでした。それじゃ村祭りとかお節句等の年中行事とかどうだったんだ!?ということになりますよね。

 ちょうど2年前の8月30日、「従軍慰安婦」という1974年の日本映画を観ました。 →ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/従軍慰安婦_(1974年の映画)
 慰安所で慰安婦たちの運動会(!)の場面もあったりするので、たぶん韓国の人たちは驚くと思います。が、だからと言って慰安婦制度に対する批判を全否定することはできないでしょう。

 私はラベリング(レッテル貼り)は基本的にすべきではないと思います。「親日派」の排除とレッドパージと、なんかすごく似ていますよね。そう決めつけた時点で疎通は遮断されます。レイシズムは当然批判されるべきですが、「レイシスト」という言い方も1つのレッテルのような感じで好きではありません。「歴史修正主義者」というのもなんか抵抗があります。

 しかし、自分の主張に合った史実(orそれさえも不明)だけをかき集めて強く主張する人がなんと多いことか・・・。

 韓国の歴史学者・林志弦(イム・ジヒョン)漢陽大教授の記事、もし未読でしたらご一読を。 →
https://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/236c58189ca4a910c629c7392958d2af
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