ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [8月16日(金)~8月18日(日)]

2019-08-20 23:39:43 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸15日(木)にシネマ・ジャック&ベティで「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を鑑賞。205分と長尺のドキュメンタリーで、とくに解説とか字幕の説明が入るでもなく、図書館での講演やコンサート、その他いろんな活動のようす、リファレンスや原資料のデジタル化等々の図書館員の仕事等をそのまま撮影したもので、とくに盛り上がる展開があるわけでもなく、最初の方でたぶん5分くらい( ?)寝てしまいました。が、むしろ「5分しか寝なかったゾ!」と自慢できるかも(笑)。それでも観てよかったです、とても。図書館は単に本を読みたい人、モノを調べたい人のためばかりでなく、たとえば親と子の学習教室のような、地域社会との関わる役割もあるんだなあと、いろいろ考えさせられました。

▸稼ぎ時のはずの8月。今夏の韓国映画はあまりパッとしないようです。カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したポン・ジュノ監督の「寄生虫[パラサイト]」がさっそく5月末公開されて観客動員1千万人を超えましたが、以後はこれといった大ヒット作ナシ。目下上映中の作品では「寄生虫」同様ソン・ガンホが主演した「わが国の語音」は大コケ、大型<反日>映画「鳳梧洞[ポンオドン]戦闘」は現在400万人に達したとはいえ、評価はあまり芳しからず。結局現在760万人を超えた「EXIT」の一人勝ちかも。それでも1千万人超えはどうだか・・・。
 個人的な注目作は、<ネチズンによる人気順位>で今回初登場1位の「愛の贈り物」。脱北者のキム・ギュミン監督が90年代の食料難の頃の北朝鮮を舞台に撮ったドラマですが、2年前に制作を終えた後世界各地の映画賞を受賞したものの、韓国内では親北の政府に<気がね>する配給会社6社に門前払いされるなどして上映館は2館に止まっていたのが、(保守系)市民たちのクラウドファンディンク等を経て多少は増えて公開されることになったとか・・・。それにしても、今に始まったことでもありませんが、人権重視のはずの進歩陣営がなぜ北朝鮮の住民の人権を抑圧している北の独裁政権を支持しているのか、また韓国内の脱北者たちに冷淡なのか、私ヌルボは強い憤りを覚えます。

▸私ヌルボが愛読している毎日新聞・鈴木琢磨記者のソウル現地ルポは→コチラ。上記の「鳳梧洞[ポンオドン]戦闘」のことも書かれています。

         ★★★ NAVERの人気順位(8月20日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(-) 愛の贈り物(韓国)  9.78(155)
②(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.65(150)
③(3) 主戦場  9.54(779)
④(4) アラジン  9.40(25,796)
⑤(5) アベンジャーズ/エンドゲーム  9.38(68,650)
⑥(6) レッドシューズ(韓国)  9.30(3,214)
⑦(8) 遠回りの道(韓国)  9.27(48)
⑧(9) 教会のお兄さん(韓国)  9.26(1,514)
⑨(-) 伊丹潤の海(韓国)  9.17(60)
⑩(-) BRING THE SOUL: THE MOVIE (韓国)  9.12(1,806)

 ①と⑨の2作品が新登場です。
 ①「愛の贈り物」は、韓国のドラマ、といっても監督は脱北者のキム・ギュミン監督、物語の舞台も北朝鮮です。監督が<苦難の行軍>と言われる極端な食糧難の時期だった90年代に見聞きした実話を基に制作したという作品です。場所は朝鮮半島の西側で平壌の南の黄海道(ファンヘド)です。イ・ソジョン(キム・ソミン)は、傷痍軍人の夫ガンホ(ムン・ヨンドン)の治療と家族の生活のために最善を尽くして生きてきた女性です。しかし、治療費や生活費を稼ぐために結局体まで売ることになってしまいます。<客>の見知らぬ男たちを見て、夫に申し訳ない思いつつ、あまりにも無力な自分に涙を流したりもしますが、男たちがくれたお金を見て小さな希望を持ったりもします。ところが彼女のそんな希望さえも壊されてしまいます。警察の取り締まりを理由にデチョルは、貸したお金の代わりにソジョンが家の権利書を出さなければソジョンはもちろん、家族が処罰を受けると脅迫します。もはやデチョルの魔の手から逃れることができないことを直感したソジョンは、次の日の朝まで夫を説得して家の権利書を渡すことを約束して家族のところに帰ります。その途中ソジョンは、今日は娘ヒョシム(キム・リョウォン)の誕生日ということを思い出し、せめてご飯でもお腹いっぱい食べさせてあげようと、市場に寄って行きます。ところが意外なほどの食べ物に驚いた夫ガンホがその出所をしつこく追及するので、ソジョンは言ってはならない嘘までつくことになります。その嘘で家族はとても幸せな一夜を過ごすことにはなりますが・・・。原題は「사랑의 선물」です。
 ⑨「伊丹潤の海」は、在日韓国人2世の建築家・伊丹潤(1937~2011)のドキュメンタリー。自然と時間の木目が込められた建築を遺した在日韓国人の建築家・伊丹潤こと庾東龍(ユ・ドンヨン)。境界で道を作ってきた彼の人生と、そこに住まう人々の時間と暮らしを基盤として尊重した建築の物語を通して、終わらない彼の<家>をうかがい見る・・・。参考記事は→コチラ。原題は「이타미 준의 바다」。「伊丹潤」で画像検索すると、彼の設計した済州島等々の建物が見られます。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) トイ・ストーリー4  8.09(11)
④(4) アベンジャーズ/エンドゲーム  7.62(13)
⑤(5) キム君(韓国)  7.57(7)
⑥(6) 主戦場  7.33(6)
⑦(7) EXIT(韓国)  7.23(13)
⑧(8) ミッドソマー[夏至祭]  7.20(10)
⑨(-) カメラを止めるな!(日本)  7.14(7)
⑩(9) ザ・デッド・ドント・ダイ  7.00(4)
⑩(9) 僕はイエス様が嫌い(日本)  7.00(4)

 今回新登場の作品はありません。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績8月16日(金)~8月18日(日) ★★★
           日本から遅れてスタートの「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ワイルド・スピード・・・・・・・・・・8/14・・・・・・・・1,127,814・・・・・・2,033,008・・・・・・・・18,272・・・・・・1,311
       /スーパーコンボ
2(2)・・鳳梧洞[ポンオドン]戦闘(韓国)・・8/07・・・・・・・・・792,453・・・・・・3,944,946・・・・・・・・33,734・・・・・・1,183
3(1)・・EXIT(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31・・・・・・・・・・769,073・・・・・・7,558,461・・・・・・・・63,773・・・・・・1,042
4(19)・・こんにちは、ティラノ・・・・・・・・8/14・・・・・・・・・・・65,166 ・・・・・・・147,164・・・・・・・・・1,175 ・・・・・・・511
       :永遠に一緒(韓国)
5(46)・・暗転(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・8/15・・・・・・・・・・・50,464・・・・・・・・・85,530 ・・・・・・・・・・763 ・・・・・・・421
6(3)・・ペット2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31・・・・・・・・・・・47,137 ・・・・・・1,062,452・・・・・・・・・8,126 ・・・・・・・342
7(22)・・みんなあつまれ!ワンダーパーク・・8/14・・・・・・・32,186 ・・・・・・・・・73,996 ・・・・・・・・・・572 ・・・・・・・384
8(9)・・レッドシューズ(韓国)・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・・27,543・・・・・・・・731,664 ・・・・・・・・・5,700 ・・・・・・・200
9(5)・・使者(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/31 ・・・・・・・・・・20,687・・・・・・・1,603,714・・・・・・・・12,873 ・・・・・・・213
10(6)・・アラジン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・・16,404・・・・・・12,502,246・・・・・・・106,510 ・・・・・・・114
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 5月公開の「アラジン」が6位にとどまっています。累計の観客動員数は1,240万人。外国映画では「アベンジャーズ/エンドゲーム」(約1,390万人)、「アバター」(約1,390万人)に続いて第3位。ただ追い越すのはむずかしいか?
 今回の新登場は1・4・5・7位の4作品です。
 1位「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」は、日本ではすでに8月2日から公開されています。韓国題は「분노의 질주: 홉스&쇼(憤怒の失踪: ホブスとショウ)」です。
 4位「こんにちは、ティラノ:永遠に一緒」は、韓国のアニメ。「君はもう1人じゃないよ」。胸が痛む悲しい秘密と大切な約束を秘めたティラノとプノンが2人だけの天国を探して旅に出る・・・。愛と友情、そして希望の物語です。原題は「안녕, 티라노: 영원히, 함께」です。
 5位「暗転」は、韓国のミステリー&ホラー。ホラー映画を準備して8年目になる新人監督ミジョン(ソ・イェジ)は、ある日後輩から残酷すぎて上映禁止になった映画の話を聞きます。その事実を中で出会ったその映画監督ジェヒョン(チン・ソンギュ)は、「その映画のことは忘れろ。死よりも恐ろしい人生を生きたくなければ」と警告しますが、ミジョンは彼の警告を無視してその映画にこだわり続けます。以後、わけもわからない奇怪なことが繰り広げられてゆき、劇場に火が消える瞬間、恐怖はすぐ背後に迫ります・・・。原題は「암전」です。
 7位「みんなあつまれ!ワンダーパーク」は、アメリカ・スペイン合作の冒険&コメディ・アニメ。ジューンは想像力豊かな女の子。彼女はママからワンダーパークという遊園地の話を聞いて育ちます。その遊園地は人間の言葉がわかる動物たちが運営しているのです。時が経ってママは病気で入院することに。ジューンはストレスのためワンダーパークを描いた絵を焼いてしまい、動物たちと空想の中で遊ぶこともしなくなります。しばらくして、パパはジューンを数学キャンプに行かせることにしました。キャンプに向かう途中、ジューンはパパのメモ書きを見て「パパが私に助けを求めている!」と勘違いし、家に帰ろうとしてバスから降りますが、その近くの森の中で廃墟と化した遊園地を発見! 驚いたことに、そこは空想の遊園地だったはずのワンダーパークだったのです・・・。韓国題は「원더랜드」。日本では劇場公開はなく、10月にDVD発売の予定とか。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・DINOTASIA ダイナソー・クロニクル・・8/15・・・・6,376・・・・・・・・・16,762 ・・・・・・・・・131 ・・・・・・・・・212
2(31)・・伊丹潤の海(韓国) ・・・・・・・・・・・・・8/15 ・・・・・・・・・4,430 ・・・・・・・・・7,909 ・・・・・・・・・・66 ・・・・・・・・・・53
3(1)・・主戦場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7/25 ・・・・・・・・・3,735 ・・・・・・・・31,354 ・・・・・・・・・250 ・・・・・・・・・・40
4(2)・・誰もがそれを知っている・・・・・・・・8/01 ・・・・・・・・・3,786 ・・・・・・・・26,209 ・・・・・・・・・204 ・・・・・・・・・・27
5(新)・・愛の贈り物(韓国) ・・・・・・・・・・・・・8/15・・・・・・・・・・1,781 ・・・・・・・・・2,372 ・・・・・・・・・・19 ・・・・・・・・・・・8

 1・2・5位の3作品が新登場です。
 1位「DINOTASIA ダイナソー・クロニクル」(仮)は、アメリカのアニメ。ミンジェ[韓国版]はお母さんと一緒に恐竜の世界への時間旅行に旅立ち、地球の長い歴史に直面することになります。想像するだけだった陸地の王ティラノサウルスの家族はもちろん、3つの角があるトリケラトプスまで。陸と空を支配した恐竜たちのスペクタクルアドベンチャーが目の前に繰り広げられます! 自然科学の専門チャンネル、<ディスカバリー>が企画・制作に参加したこのアニメは、(ドゥリのように)韓国で親しまれてきたかわいい作画と親しみやすいストーリーラインで恐竜を描いてきた作品とは異なり、CGを活用して恐竜のリアリティに重点がおかれています。その分、教育的な側面を強調した学習用アニメという側面もあります。韓国題は「지구공룡대탐험(地球恐竜大探検)」です。同じ監督の「ダイナソー・キングダム」(2012)は日本では劇場公開はなくDVDのみだったので、これも同じかな?
 2位「伊丹潤の海」と5位「愛の贈り物」については上述しました。

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2 コメント

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Unknown (野薔薇)
2019-08-23 06:43:49
いつも楽しい旅行記、映画情報を載せてくださり、興味深く拝見しております。

「工作 黒金星・・・」は、私も観ました。一緒に行った友人と「こんなこと日本でもあるね」と話しました。「衆議院や参議院の選挙の前に、北朝鮮がミサイルを飛ばして、政府は国難を煽るよね。北朝鮮にお金を出してやってもらってるんだね・・・」と。

マ・ドンソクの映画「守護教師」を見ました。面白く作ってありますが、「無双の鉄拳」もそうですが、若い女性があまりにも残酷な被害に遭うという設定が、私は好きではありません。でも、びっくりしたことに、大阪の映画館は満員でした! 国を挙げて嫌韓を扇動する雰囲気の中で、韓国映画を愛する人がいっぱいいるんだ!と思いました。

韓国でベストセラーになっているという「82年生まれ、キム・ジョン」(チョ・ナムジュ著)を読みました。女性差別の問題がテーマです。反響を恐れてか、とてもゆるーい描き方のように私には思えました。文学というものは、そうなのかもしれませんが・・・。まだまだ日本も韓国も女性差別の問題を多く抱えています。

ソウルの日本料理のレストランのお話、面白かったです。私も今度ソウルに行ったら、ぜひ行ってみます。
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「ゆるーい差別」 (ヌルボ)
2019-08-27 00:34:11
 「楽しい」とか「面白かった」との感想、うれしいです。とても励みになります。

 日本の「選挙前のミサイル」と北朝鮮との裏取引ということは全然考えませんでしたね。(笑) 自民党も切羽詰まれば何か奥の手を使うかもしれませんが(?)。

 男女差別の話に限りませんが、何か突出した差別事件があったとしても、それを支えている(生み出している)のは、ふつうの多くの人たちの「ゆるーい差別」なのでは、とも思います。処罰されないレベルだからタチが悪いし、もしかしたらそんな差別の意識も場合によっては「常識」だったりして・・・。(賃金差別、結婚退職等々・・・)
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