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韓国ドラマ「19歳の純情」を読み解く[4] この言葉でわかる延辺の朝鮮語 ②アジュバイ

2011-04-05 21:38:41 | 韓国ドラマ
 2つ前の記事で挙げた「일없습니다(イロプスムニダ)」とともにグッカがよく使っている延辺らしい言葉が、「おじさん」に声をかける時の「아주바이(アジュバイ)」。韓国語なら、これまたおなじみの「아저씨(アジョシ)」ですね。
 この言葉はNAVERの国語辞典にあり、「아저씨の方言(咸南)」となっています。咸鏡南道、つまり北朝鮮の日本海側です。
 第7話で、グッカは食堂で同じ延辺の龍川(ヨンチョン)から来た女性に声をかけられます。(グッカは和龍出身。) その「おばさん」を、グッカは「아주마이(アジュマイ)」とよんでました。この言葉はNAVER国語辞典では「아주머니の方言(慶南、咸南、黄海)」とあります。慶南は慶尚南道、黄海は北朝鮮の西南部の黄海道です。(海の黄海と関係ナシ。)

 第6話では「아바이(アバイ)」という言葉が出てきました。NAVER国語辞典によると「아버지の方言(慶北、平安)」の他に、「할아버지の方言(咸南)」というのもありました。아버지(お父さん)と할아버지(おじいさん)、グッカが使っていたのはどちらの意味だったか・・・?
 またオープン辞典の方にはさらに「아버지の慶尚道方言」「어르신(肉親ではないおじいさんへの尊敬語)の北韓語」「할아버지という意味の北韓方言」と列挙されています。
 違いがビミョーですね。

 「アバイ」といえば、江原道の日本海に面した束草(속초.ソクチョ)市にアバイ村があり、またスンデで有名なアバイ食堂があることをご存知の方も多いのでは? ドラマ「秋の童話」のロケ地となった所で、日本からの観光客も多く、詳しいブログ記事もいくつもあります。たとえば→コチラとか、→コチラとか・・・。
 で、このアバイ村というのが朝鮮戦争の時に北から逃れてきた人たちが定住した村。上述のように北朝鮮の人は「お父さん」「おじいさん」のことをアバイと言いますからね。

※束草は昨年12月25日の記事<38度線と軍事境界線について(1)>で記したように、終戦後は38度線の北なので旧ソ連のナワバリに入っていて、朝鮮戦争後に韓国の領内になった所です。

    
            【束草のアバイ食堂】

 アジュバイ、アジュマイ、アバイとくれば、あと「おばあさん」「おかあさん」が残っています。このドラマでは(少なくとも最初の方では)出てきていませんが、見当はつくぞ、と「아마이(アマイ)」で引くと「할머니の方言(咸南)」とあり、「어머이(オモイ)」だと「어머니の方言(江原、慶尚)」との説明文。すると後者は北朝鮮・延辺方面では使われてないのかな、と思いつつ、<연변통신(延辺通信)>等のサイトを見たらふつうにあるじゃないの。

 ここから先、さらに速成で仕入れた知識はあるのですが、言葉の問題に深入りすればするほどドラマから離れてしまうので、それはまた別記事にします。

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