新宿の京王百貨店で開かれている歳末古書市に行ってきました。
今までにも何度か行ったことはありましたが、初日(26日)は初めて。やっぱり込んでましたねー。
古書展の目録を見る度に、世の中にはいろんな本があるものだなあとつくづく思います。「正信念仏偈の教相」(4,500円)とか「志斐語附録」(21,000円)とか「腹證奇覽翼」(5,250円)とか・・・。
また古書展に行くと、世の中にはそんなワケもわからない本を買おうという人が予想外に多いことに驚きます。
まあ、考えてみれば自分もその一人になってるんですがね。
目録中の朝鮮韓国関係の本をピック・アップすると、高価なものでは保高正記・村松祐之「群山開港史」(1925.50,000円)、東大東洋文化研究所「朝鮮研究文献目録」(1970.50,000円)、朝鮮総督府鉄道局「朝鮮鉄道史第1巻」(1937.40,000円)。
う~む、「群山開港史」なんてどういう人が購入するんでしょうね。中身だけちょいと見てみたいです。
見てみたいといえば、高くはないけど咸興府「咸興府勢一班」(1937.1,575円)というのもあります。しかし古書の値段なんてどういうふうにつけられるのか・・・。
金奉鉉「朝鮮民謡史」(1990.8,000円)は1200円だったら見ないで買うんだけど・・・。
目録を見て注文したのが朝鮮モノ以外も含めて4冊。
その中で、迷いぬいて結局は年末ジャンボにあたることを念じて注文したのが薬師寺知「韓語研究法」(1909.5,000円)。日韓併合の前年に、朝鮮語の研究とかがどんなものだったか、(ホントはそれ以上に半島に渡った日本人の言語状況がどんなものだったか)興味があったもので・・・。
ま、結果は抽選に外れてある意味ホッとしたんですけどね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/88/57b40f4b25bd09148c33a2a4adade231.jpg)
抽選で当たった本が金素雲「朝鮮史譚」(1943.上の写真)。岩波文庫「朝鮮詩集」等の訳者。(というより独自の金素雲節の作品になってる。) 私生活面でもいろんなエピソードのある人。戦時中にどんな本を書いてたのかな、という興味から。
内容を見ると、高麗の建国から李朝末期の大院君の時代までを、テーマごとに読みやすい物語にまとめてあります。
最後の一文は以下の通り。
「大院君去り、李太王の親政となるに及んで、再び李朝は閔妃一族による外戚専権時代を現出したが、これより歴史は急速に進展して、「日韓合体」の新たなる歴史の朝を迎へるために半島は数々の貴い陣痛の(ママ)経験したのである。」
当日の会場で入手した村松武司「朝鮮植民者」(1972.三省堂.絶版)はこの日一番の収穫でした。著者は1924年ソウル生まれ。母方の祖父を主人公に朝鮮への植民者の姿と明治期からの朝鮮の姿を描くとともに、自身の朝鮮からの引き揚げや、金石範・小林勝等の小説にまで筆が及んでいます。読了したら記事にします。
当日、1,500円で安いかなと思い衝動買いしてしまったのは「小學外國地誌」(1900.下の写真)。後でネット古書店で見たら800円だって? とほほ・・・。
国定教科書制になる直前の小学校の教科書です。(日韓併合の10年前。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/d0/51b3ae3cdf60865ed37839418fa4b666.jpg)
各国地誌の最初が<亜細亜洲>で、その最初が<韓帝國>。
「韓即チ元ノ朝鮮ハ古ヘノ三韓ノ地ニテ對馬ト僅カニ二十里ヲ隔テタリ。・・・」から始まり、なかなか簡明で要を得た説明文になっています。
「京城ハ漢江ニ臨ミ、人口二十萬、大凡我ガ名古屋程ノ處ナレド市街ハ不潔ナリ。大抵韓人ハ不潔ナル土屋ニ住ミ、緩キ上衣ヲ著シ、性質懶惰ニシテ愛國心薄シ」とはなんともひどい書きよう・・・。(イザベラ・バードも少し前に同じように書いてはいるが・・・。)
(京城方面から)「忠清南道ニ入レバ成歎驛アリ、日清ノ役最初ノ交戦地ナリ」とか(京城の北方)「昔小早川隆景ガ勇戦セシ碧蹄館等ヲ過ギテ黄海道ニ入ル」とか、日本軍の<輝かしい>戦跡はきっちり小学生にも教えるんですねー。私ヌルボは知りませなんだ。
「韓國ハ農業國ナリ。・・・餘リ漁業ヲ榮マザレド、吾ガ國人ハ韓國政府ニ納税シ、盛ニ其ノ海岸ニテ漁猟セリ」等々、他にもいろいろ興味深く書かれています。
※成歎(ソンファン)驛は天安市にある京畿線の駅。
この教科書で<感心した>のは、大きなまとまりごとに<摘要>として要点を七五調(!)の歌(?)にまとめていること。
この韓国の場合は次のとおりです。
「韓國即ち朝鮮は 對馬のあなた二十里程。
白頭山脈貫きて、區分はすべて八道なり。
京畿道なる京城の 南の方の鐡道は
牙山成歎地方より 釜山に至る豫定線。
北には京畿の豫定線、平壌包圍攻撃の
戦地を過ぎて満洲の 界に鴨緑、豆満江。
其の三港は仁川と、釜山、元山、産物は
米と大豆と牛皮なり。」
明治初期、教科書として広く用いられた福沢諭吉の「世界國盡(くにづくし)」も七五調でしたが、それが当時の音読重視の授業と連動していたわけですね。しかし、レベルが高いなー。
今までにも何度か行ったことはありましたが、初日(26日)は初めて。やっぱり込んでましたねー。
古書展の目録を見る度に、世の中にはいろんな本があるものだなあとつくづく思います。「正信念仏偈の教相」(4,500円)とか「志斐語附録」(21,000円)とか「腹證奇覽翼」(5,250円)とか・・・。
また古書展に行くと、世の中にはそんなワケもわからない本を買おうという人が予想外に多いことに驚きます。
まあ、考えてみれば自分もその一人になってるんですがね。
目録中の朝鮮韓国関係の本をピック・アップすると、高価なものでは保高正記・村松祐之「群山開港史」(1925.50,000円)、東大東洋文化研究所「朝鮮研究文献目録」(1970.50,000円)、朝鮮総督府鉄道局「朝鮮鉄道史第1巻」(1937.40,000円)。
う~む、「群山開港史」なんてどういう人が購入するんでしょうね。中身だけちょいと見てみたいです。
見てみたいといえば、高くはないけど咸興府「咸興府勢一班」(1937.1,575円)というのもあります。しかし古書の値段なんてどういうふうにつけられるのか・・・。
金奉鉉「朝鮮民謡史」(1990.8,000円)は1200円だったら見ないで買うんだけど・・・。
目録を見て注文したのが朝鮮モノ以外も含めて4冊。
その中で、迷いぬいて結局は年末ジャンボにあたることを念じて注文したのが薬師寺知「韓語研究法」(1909.5,000円)。日韓併合の前年に、朝鮮語の研究とかがどんなものだったか、(ホントはそれ以上に半島に渡った日本人の言語状況がどんなものだったか)興味があったもので・・・。
ま、結果は抽選に外れてある意味ホッとしたんですけどね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/88/57b40f4b25bd09148c33a2a4adade231.jpg)
抽選で当たった本が金素雲「朝鮮史譚」(1943.上の写真)。岩波文庫「朝鮮詩集」等の訳者。(というより独自の金素雲節の作品になってる。) 私生活面でもいろんなエピソードのある人。戦時中にどんな本を書いてたのかな、という興味から。
内容を見ると、高麗の建国から李朝末期の大院君の時代までを、テーマごとに読みやすい物語にまとめてあります。
最後の一文は以下の通り。
「大院君去り、李太王の親政となるに及んで、再び李朝は閔妃一族による外戚専権時代を現出したが、これより歴史は急速に進展して、「日韓合体」の新たなる歴史の朝を迎へるために半島は数々の貴い陣痛の(ママ)経験したのである。」
当日の会場で入手した村松武司「朝鮮植民者」(1972.三省堂.絶版)はこの日一番の収穫でした。著者は1924年ソウル生まれ。母方の祖父を主人公に朝鮮への植民者の姿と明治期からの朝鮮の姿を描くとともに、自身の朝鮮からの引き揚げや、金石範・小林勝等の小説にまで筆が及んでいます。読了したら記事にします。
当日、1,500円で安いかなと思い衝動買いしてしまったのは「小學外國地誌」(1900.下の写真)。後でネット古書店で見たら800円だって? とほほ・・・。
国定教科書制になる直前の小学校の教科書です。(日韓併合の10年前。)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/b6/c7cab4bef33a22b81f252b85034bab4b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/d0/51b3ae3cdf60865ed37839418fa4b666.jpg)
各国地誌の最初が<亜細亜洲>で、その最初が<韓帝國>。
「韓即チ元ノ朝鮮ハ古ヘノ三韓ノ地ニテ對馬ト僅カニ二十里ヲ隔テタリ。・・・」から始まり、なかなか簡明で要を得た説明文になっています。
「京城ハ漢江ニ臨ミ、人口二十萬、大凡我ガ名古屋程ノ處ナレド市街ハ不潔ナリ。大抵韓人ハ不潔ナル土屋ニ住ミ、緩キ上衣ヲ著シ、性質懶惰ニシテ愛國心薄シ」とはなんともひどい書きよう・・・。(イザベラ・バードも少し前に同じように書いてはいるが・・・。)
(京城方面から)「忠清南道ニ入レバ成歎驛アリ、日清ノ役最初ノ交戦地ナリ」とか(京城の北方)「昔小早川隆景ガ勇戦セシ碧蹄館等ヲ過ギテ黄海道ニ入ル」とか、日本軍の<輝かしい>戦跡はきっちり小学生にも教えるんですねー。私ヌルボは知りませなんだ。
「韓國ハ農業國ナリ。・・・餘リ漁業ヲ榮マザレド、吾ガ國人ハ韓國政府ニ納税シ、盛ニ其ノ海岸ニテ漁猟セリ」等々、他にもいろいろ興味深く書かれています。
※成歎(ソンファン)驛は天安市にある京畿線の駅。
この教科書で<感心した>のは、大きなまとまりごとに<摘要>として要点を七五調(!)の歌(?)にまとめていること。
この韓国の場合は次のとおりです。
「韓國即ち朝鮮は 對馬のあなた二十里程。
白頭山脈貫きて、區分はすべて八道なり。
京畿道なる京城の 南の方の鐡道は
牙山成歎地方より 釜山に至る豫定線。
北には京畿の豫定線、平壌包圍攻撃の
戦地を過ぎて満洲の 界に鴨緑、豆満江。
其の三港は仁川と、釜山、元山、産物は
米と大豆と牛皮なり。」
明治初期、教科書として広く用いられた福沢諭吉の「世界國盡(くにづくし)」も七五調でしたが、それが当時の音読重視の授業と連動していたわけですね。しかし、レベルが高いなー。
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