学問空間

『承久記』『五代帝王物語』『とはずがたり』『増鏡』『太平記』『梅松論』等を素材として中世史と中世文学を研究しています。

閑話休題

2009-03-26 | 網野善彦の父とその周辺
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2009年 3月26日(木)00時57分22秒  

「甲州財閥」一般や、東京電灯の支配をめぐる若尾と三井の争いの概要を知るには『新編 甲州財閥物語』(斎藤芳弘著、山梨新報社、2000年)が手ごろですが、サービス精神溢れる読み物なので、個々の事実の信頼性については不安が残ります。
きちんと調べたい人にとっては、山梨大学教授・齋藤康彦氏の諸論文が参考になります。

http://erdb.yamanashi.ac.jp/rdb/A_DispInfo.Scholar?ID=990876E2DDBC3101

『紳士録』に類する資料を引用する場合、家族関係については特に必要がない限り省略していますが、家風がうかがえて面白い点もありますね。
例えば学歴を見ると、網野善右衛門氏は東京高等商業学校(一橋大学の前身)卒で、その子供は男子3人のうち長兄は武蔵高校・東京帝国大学法学部、次兄は東京高校・東京帝国大学法学部、三男(善彦氏)が東京高校・東大文学部、女子2人は聖心女子学院ですね。
お金持ちには違いありませんが、真面目で教育熱心、そしてキリスト教に親和的な家庭のようです。
他方、若尾璋八・鴻太郎父子の場合、若尾璋八は東京法学院(中央大学の前身)出身ですが、子供は鴻太郎以下男子5人全員慶應義塾大学、また鴻太郎の男子1人も慶應義塾大学で、男子は慶応に入るものと決まっていたようです。
トップクラスのブルジョワ家庭ですね。
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