学問空間

【お知らせ】teacup掲示板の閉鎖に伴い、リンク切れが大量に生じていますが、順次修正中です。

0055 内村美代子『晩年の父内村鑑三』

2024-03-25 | 鈴木小太郎チャンネル「学問空間」
第55回配信です。


内村祐之(1897‐1980)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%9D%91%E7%A5%90%E4%B9%8B

尾身茂氏と内村祐之『わが歩みし精神医学の道』(2020年05月13日)

内村美代子(旧姓大舘・久須美、1903‐2003)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E6%9D%91%E7%BE%8E%E4%BB%A3%E5%AD%90
住雲園
「住雲園と久須美家の人々 曽我物語・勘定奉行・越後鉄道」
久須美東馬(1877‐1947)

(p29以下、「関東大震災」)
「私はといえば、そのとき、目白の家(今の川村学園の裏)の二階の八畳にいたが、ドンと突き上げるような衝撃が来た途端、ふすまと障子はパラパラとはずれ、私は室の端から端へと何度もころがされた。第一回目の大揺れがおさまったところで、ようやく階段を下りると、階下は至るところで壁土が落ちて散乱していた。しかしその他には、建具もはずれず、家具も倒れていなかったので、実のところ、私たちはそれほどの大地震とは思わなかったのである。
【中略】私の家から道を隔てて筋向いの二階家にひとり住まいをしておられた田中耕太郎さん(東大教授で、のち最高裁長官、はじめ父のお弟子)などは、その午後のあいだじゅう、ピアノを弾き続けておられた!」

「商法なら日本に帰ってからやれるので、やれないことをやった方がよい」(by 田中耕太郎)(2016年09月08日)
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/18fd544ff10c3cc3bc785522b8ee984d
牧原出『田中耕太郎―闘う司法の確立者、世界法の探究者』
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2022/11/102726.html

(p77以下、「父と子」)
「(前略)内村鑑三先生の御子息なら、あなたもクリスチャンでしょうねというのは、私が繰り返し受ける質問である。また私の学問的自叙伝に宗教のことが少しも語られていないといって、非難めいた批評をする人もある。この種の話題は、実は私にとってすこぶる苦手のものなのだが、今回はひとつ、このことに触れてみよう。
 私は神羅万象の偉大さと精巧さを知るたびに全能の存在、すなわち神の存在を信ぜざるを得ない。私はまた、教会や寺院の中で、祈りや読経を心を澄まして聞くことが好きである。それゆえ、私は、自分に宗教心が全くないとは絶対に思わない。しかし、自分は罪人のかしらであるといった深刻な罪障意識はどうしても持ち得ないし、また、キリストは人の形をとった神の子であり、人類の罪は、キリストが十字架上で流した血によってあがなわれるという贖罪の信仰が、キリスト教信仰の中心だと言われると、どうも私はクリスチャンを自称することができないのである。同じように、キリスト教の信仰で大切な、来世とか、復活とか、再臨とかいう教えをも私は信ずることができない。但しキリスト教の持つ倫理性、また人類愛の精神といったものを高く評価するには、私はつねにやぶさかではない。
 では、私は鑑三から、どんな宗教教育を受けて成長したのか。それは多くの人が興味を抱く点と思うが、あれほど干渉がましく圧政的であった鑑三の、このことに対する態度は存外に自由だったのである。私は鑑三から、かつて一回も信仰不足をたしなめられたことはなく、また自分の事業を継げと強制されたこともなかった」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ご連絡 | トップ | 0056 「余は上州の地と人と... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

鈴木小太郎チャンネル「学問空間」」カテゴリの最新記事