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村井章介氏の「地域国家」論のことなど。

2016-11-04 | 丸島和洋『戦国大名の「外交」』

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2016年11月 4日(金)20時09分35秒

明日は最高裁で原告敗訴が確定した「七十七銀行女川支店」のケースを紹介したいと思いますが、控訴審の仙台高裁の判決文をまだ入手していないので、少し遅れるかもしれません。

朝日新聞2016年2月19日
「津波被害、遺族側の敗訴確定 七十七銀行女川支店など」
http://www.asahi.com/articles/ASJ2M00RWJ2LUTIL05T.html

>筆綾丸さん
>華麗な文体とは裏腹に、普通の地味な人なんですね。

憲法学界もここ数年の「立憲主義」の空騒ぎを経て、世代交代が急速に進みそうですね。
『シノドス』の浅羽祐樹(新潟県立大学教授、政治学)・横大道聡(慶應義塾大学准教授、憲法学)・清水真人(日本経済新聞編集委員)氏による鼎談を読むと、そんな気配を如実に感じます。
憲法考古学者の石川健治氏は既に過去の人かもしれません。

-------
憲法論議を「法律家共同体」から取り戻せ――武器としての『「憲法改正」の比較政治学』
http://synodos.jp/politics/18397

石川健治教授の「憲法考古学」もしくは「憲法郷土史」
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/cf4f5a44c409b736631232d49b35e0f1

>参考文献に丸島和洋氏の著作はないものの、殆ど定説になったような塩梅ですね。

村井氏の『分裂から天下統一へ』は未読ですが、村井氏が国家論のような基礎理論の分野で丸島氏の影響を受けて自説を変更するようなことはありえないですよ。
もしそうなら村井氏は必ず参考文献に丸島氏の著作を挙げるはずです。
私が「門前の小僧」(by ラウンド君)なりに垣間見た範囲でも、歴史研究者の世界ではその種のルールは非常に厳しく、みんな敏感です。
村井氏の「中近世ドイツの「領邦国家」になぞらえて「地域国家」と呼ぶことができよう」との表現は、村井氏がドイツの歴史研究者の影響を直接受けて理論構成したことを示しているはずですね。

丸島和洋氏のご意見
https://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/a13b5bb5ba75b6b580fb6381da91abfb
ラウンド君の教訓
http://blog.goo.ne.jp/daikanjin/e/8304076f3ff25df843015e68cedd5389

※追記(2016.11.5)

>筆綾丸さん
読まずに決めつけるのもまずかったですね。
後で『分裂から天下統一へ』を確認してみます。
ただ、今はどうも中世史には集中できそうもないので、少し後になります。


※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

プライムニュース 2016/11/04(金) 16:51:57
小太郎さん
http://www.bsfuji.tv/primenews/schedule/
関連のない話で恐縮ながら、昨日のプライムニュースに石川健治氏が出演していたのですが、華麗な文体とは裏腹に、普通の地味な人なんですね。

https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-431582-7
以下の記述を読むと(村井章介氏『分裂から天下統一へ』26頁~)、参考文献に丸島和洋氏の著作はないものの、殆ど定説になったような塩梅ですね。
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 この国家は、将軍や天皇のもとにゆるやかに統合されながらも、領内統治においては上位者の掣肘をなんら受けない自立性をもち、大名当主は、ポルトガル人が諸大名をそうよんだように、「国王(rei)」の呼称がふさわしい存在だった。国内史料でも、永禄十二年(一五六九)武田信玄によって駿河を追われた今川氏真をかくまった北条氏政は、「駿国の儀、氏真、縁者の筋目を以て、名跡国王に相渡され候」といっている(「垪和氏古文書」)。この「国王」は氏政の嫡子でこのとき氏真の猶子となった氏直をさす。
 この国家及び国王が、自己完結的な発給文書体系と国法・法度をもち、独自の土地文書=検地によって年貢収納と知行制度を実現し、有事には領内の全住民を動員しうる名分(「大途」の語で表現される)と体制を備えていたことは、すでに述べた。これを、中近世ドイツの「領邦国家」になぞらえて「地域国家」と呼ぶことができよう。
 以上のようにとらえたとき、大名間の通信や交渉や戦争は地域国家間の「外交」として把握しうる。
----------------

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%98%E9%82%A6
戦国大名の「国家」がドイツ語訳されれば、「Territorialstaat」になるのでしょうね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9E%AA%E5%92%8C%E6%B0%8F
文中の「垪和」には「はなわ」のふりがながあるのですが、私はずっと「はが」と読むものと思っていました。
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