五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

平家物語から想う

2012年07月22日 | 第2章 五感と体感
吉川英治氏の新平家物語と岩波ワイド版の平家物語を一年以上かけて読み進めています。全16巻の15巻目となり、いよいよ義経が頼朝に追い詰められていく場面が描かれています。

平家物語を能楽の諸々の謡本と重ね合わせながら読んでみると、曲想のイメージがより具体的になり、どっぷりと惹き込まれていく心地良さを感じ得ています。そして、世阿弥のエンターテナーとしての脚本作り、そして演出力の類い稀なる才能をひしひしと感じるのです。平安時代の歴史的な出来事を語り継いだ琵琶法師の存在も大きいわけですが、語り琵琶で継いできたものや舞楽をストーリー化し舞台で表現し、普遍的な価値を高めた世阿弥の国、日本に生まれた私はほんとうに幸せだと思います。そして平安後期の私達の祖先の生き抜き方を現代に生きる自分に投影しながら、読みふけていることに気付くのです。

源氏物語を散々読み更けた祖先、つまり平安後期の人々が、源氏物語が無くてはならない文化を作り上げ、そして史実を基にした悲喜交々の平家物語が語られる、、、こんな面白い繋がりを知らずして私は死ねないぞ、と強く思うわけです。

平家物語を読み続ける事で、西行法師と芭蕉をもっと知りたくなり、長年学び続けている奈良時代の歴史上の人物にも深く繋がっていくことが面白く、私の興味をどんどん助長させているようです。

夏草や兵どもが夢の跡

義経堂が建つ高舘の丘から北上川を眺め、源平の戦い後、ついに果てる義経を想う芭蕉の気持も、もしかしたら私感じていることと似ているのかもしれません。
歩いて旅した芭蕉と車や電車で気楽に訪れる自分との感情移入は雲泥の差でありましょうが、西行が詠んだ歌を想う芭蕉の気持の背景は、多分私とそう変わらないのでは、と、ちょっと偉そうですが、ほんとうにそうだ、と思います。

高校の授業で暗記させられた平家物語の最初の一節を知っているだけでも、私達のアイデンティテイの大きな部分を担っているような気がするのは大げさなことではないように思うのです。

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