歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

「三丁目の夕日」と「ミゼットの嘘」

2006年12月07日 | 映画の話し
先日テレビで放送された「三丁目の夕日」を、録画したビデオで「少し」だけ見ました。

冒頭に出てくる子供3人が「ゴム動力の模型飛行機」を飛ばして遊ぶシーンで、「ゴム」を巻くカットが出てきましたが、飛行機の持ち方が逆です。あんな持ち方でゴムは巻きません。非常に不自然でした。

そして、最も不自然と云うか、「嘘」と云うか・・・・・・。明らかに、監督も知っている筈と思いますけどね。

画面にに建設中の「東京タワー」が映しだされます。東京タワーは1957年6月に建設が始まり、1958年10月に完成しています。

それが、それなのにです。
青森から集団就職してきた女の子を、上野の駅に迎えに来た雇い主の社長が、乗ってきたのが「丸ハンドル」の「ダイハツ・ミゼット」なのです。

これはあり得ないのです。「丸ハンドルのミゼット」は1959年9月の発売です。ビデオを観ていておかしいと思い調べました。

「バイク型ハンドル」の「ミゼット」でも、1957年8月の発売です。
「丸ハンドルのミゼット」しか見つからないので、しかたなく撮影に使用したのでしょうが、それでもおかしいです。

画面に出て来た「ミゼット」は「錆びだらけ」の「ポンコツ」でした。そんなことはありえないのです。当時、車は大切に扱われていました。

画面から観る限り「10年」以上使われたようにみえます。それに、画面全体から受ける印象は、風景が古ぼけ、錆だらけに描かれているのです。

何かの思い違いなのか、意識的な演出なのか、当時を知る私には「不自然」に見えます。錆びた「看板」、「古ぼけた町並み」、おかしいですよ「山崎貴監督」

山崎監督(1964生)にとっては、この時代が「遠い過去」なのでしょうか?
私にとっては、つい昨日の事なのです。いろいろな風景を覚えています。

画面全体の「色調」をおとして、「昔」を演出しているようなので、「ポンコツのミゼット」も、演出なのでしょうが、あの時代は「安っぽくて」、そして、もっと「明るかった」ですよ。

看板も錆びていません。現在から見れば、町並みの「様式」は古いですが、当時は「新しかった」のですから。

作品は、あの時代を知らず、未来に夢をも持てない、「若い世代」に向けられているのでしょう。あの頃を、美しいものとして語る人達がいますからね。いつの時代でも年寄りにとっては、過去は懐かしく、美しいものですら。

あの頃の街は汚かったけれど、みんな元気だけはありました。今は街も綺麗になりましたが、元気がなくなりましたね。


【丸型ハンドルのミゼット】

若い世代が、過去を美しいものとして、憧れるのは良くない傾向と思います。
年寄りが、懐かしく語るのが「過去」です。

ただ、あの昭和30年代までが、「人間の速度」と「時代の速度」の限界点であった・・・・・・・かもしれないですね。

今の速度は、人間の、動物としての「生理」を越えてきています。

 さぁ。ゆっくりお風呂に入って寝~よッと。  



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2 コメント

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Unknown (ゴエ)
2007-11-15 20:05:20

はじめまして、ゴエと申します。
山崎監督は、汚し過ぎも未来の車も承知の上だったようです。

http://app.always3.jp/diary/index.php?type=article&diary_id=4&article_id=960

http://www.nipponstyle.jp/exhibition/spot10/3chome.html

この車体はMP3という型で、実は昭和34年発売のものなのです。1年前の昭和33年を描いた前作では、まだ発売されていなかったはずです。ただ、昭和30年代を描く「記号」としては、この型しかない!という山崎貴監督の強い要望で特別にタイムスリップされてきたそうです。
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Unknown (cocoro1)
2007-11-15 20:38:17
それなりの監督の、それなりの演出であった事は承知しました。

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