歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

蒼井優と高橋一生で「スパイの妻」⑮ いつも時代に政治に翻弄されています!

2021年05月12日 | 映画の話し

前回の続きです。

精神病院に入院していた聡子。面会に訪れた懇意の医師からの、退院手配の申し出を断った聡子。

その夜、神戸は空爆され、病院も被災。

このシーンは聡子の心象風景的な映像になります。

聡子の心のつぶやきがナレーションで流れます。

『これで日本も負ける』

聡子が密航で検挙された年の12月に、日本はアメリカに宣戦布告。その後、精神病院に入院させられ、戦況は大本営発表の日本の勝利を伝えるのみ。

しかし、日本各地で米軍の空爆で大きな被害が出ていることが、病院の患者にまで伝わり始め、そして、神戸にも空爆が始まり、病院も被災し、日本が負けることを確信する聡子。

『戦争も終わる。お見事です』

「アメリカが参戦すれば日本は負ける」と、断言した優作に向けての言葉。 

朝焼けの渚、虚ろな表情、苦しそうな息遣い、危うい足取り・・・。

倒れ込み、うずくまり、泣き叫ぶ、聡子。

幼なじみの泰治から、売国奴とされた聡子。

大望の為に、優作の甥、文雄を権力に差し出した聡子。

優作から、大望の為に権力に差し出された聡子。

戦争の時代、狂っていた世界、優作も、文雄も、泰治も、そして、聡子も、時代に翻弄され、狂っていたのです。

すべてを失い、そして、すべてが終わりを告げる。

終戦のテロップ。

ここで、ENDマークと思っていたら・・・。

またしても、こんなテロップ。

死亡が確認されたとは、公的機関から聡子に、夫優作の死亡通知が届いたと云う事?

そして、このテロップ。

偽造の形跡が?とは、公的機関を装って聡子の元に届いたと云う事。

だとすれば、公的機関に問い合わせをすれば、直ぐに、決着する。

そして、また、また、このテロップ。

聡子が、旅立った目的は?聡子の想いは?行動の意味は、いろいろ、想像し、推測し、そして、楽しんで下さいとの、黒沢清監督からのメッセージ?

新たな出発のため、優作と共に暮らした日々、共に大望の為に行動した事実を、切り捨て、否定し、決着し、納得させるため。

『戦争という時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念と愛を貫く女性の姿を描くラブ・サスペンス』(NHK番組HPより)

時代のうねりに翻弄されたと、思い知るのは、翻弄されている真っ只中ではなく、その時代が終わりを告げたとき。

戦争の時代でなくても、時の権力者によって、人々は翻弄されます。

ましてや、いま、百年に一度の感染症という病の流行によって、各国の感染対策によって、世界中の人々が、翻弄されています。

政治は、政策は、人の生死に関わる身近なものです。無関心でいると、命を奪われます。

話が、少しそれました。

兎に角、「スパイの妻」、それなりに、引き込まれ、面白く見させて貰いました。

蒼井優は本当に良い役者です。

これで、15回続いた「スパイの妻」を終わります。

 

それでは、また。

 

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 蒼井優と高橋一生で「スパイ... | トップ | 蒼井優と高橋一生で「スパイ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スパイの妻 (ささまる)
2021-05-12 23:23:41
見終わった後にモヤモヤが残りまくりの映画でした。こちらの感想を読んで腑に落ちることがあったり、新たな疑問が出てきたりして興味深かったです。
映画を観たとき、聡子が文雄を売ったことが理解できなかったし、その時の変わりようが極端すぎてついていけなかったりしました。
子供っぽさの残る聡子が大胆な行動に出たのは、優作を独り占めにしようとしたからなのか。にもかかわらず、無邪気に楽しんだりして結局はスパイの妻ごっこをしていたのかなと。
優作はそんな聡子に見切りをつけていたのかなと。
そして、最後のテロップでまたもやもや。
この映画は原作小説があり、ラストは映画とは違っていているのですが、私的には小説のラストも受け入れがたいものになっています。
あと、エキストラさんにもう少し気を配って演技指導してほしかった。
なんかいろいろ惜しい映画だなあ、でも悪くはないし、そこそこ楽しめたし、妙にいろいろひっかかる映画でした。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画の話し」カテゴリの最新記事